枚方市立地域活性化支援センターが主催する『第6回 ひらかたビジネスカフェ』が去る12/19(金)に鍵屋別館にあるカフェ “かさね” にて開催されました。(告知の時の記事はコチラ)
今回のテーマは「ARTの世界で起業 〜自分の好きなことを仕事にして食べていくこと〜」。難しいと言われているART分野で自分の好きなことを仕事にして生計を立てているお三方のお話を、カトゥー@ひらつーが聞いてきました。
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枚方つーしん編集長 カズマ@ひらつーもコーディネーターとして参加。
お三方とも興味深いお話を色々と聞かせてくださいました。抜粋してご紹介していきます!
まずお話を聞かせてくれたのが大阪発のロックバンド plane のボーカル・ギターを担当されているキクチユウスケさん。ミュージシャンとして活動されているだけではなく、お店のプロデュースやデザイン関係のお仕事もされているそうです。
「興味をもったらやる。わからないことは後から聞く。そうしてやってみれば形にはなりますし、他の人にそれを面白いと思ってもらえれば…」
そう話すキクチさんは最近、駐車場にあった倉庫をカフェスペースに改装されたそう。
「好きなことをひとつにしないといけないと思っている人が多いと思うんですが、そうではないんじゃないかと思うんです」
興味のあることをやっていく中で出会う人たちとのコミュニケーション。そこから機会をもらって次の仕事につながっていくこともあるとキクチさんは言います。
東京で活動されているキクチさんは2011年の東日本大震災の直後にもライブ予定があり演奏されたそうなのですが…
「震災のあと、東京ではミュージシャンはライブしてはいけない空気だったんです。震災直後の東京でのライブにはお客さんが9人しか来なくて…。でも、そのライブの一週間後に香川にライブに行ったんですが、そこで『医者は医者を、料理人は料理人を、ミュージシャンは音楽を続けるしかない』という言葉をもらって音楽を続ける決意が固まったという出来事がありました」
最後に東日本大震災のあとに作ったという『あと何度』という曲を演奏してくださいました。
続いては以前ひらつーでもご紹介したトリ風土研究所の宮武祐右さん。『日本のトリ文化を創造する。』というビジョンのもとで『一羽まるごと食卓へ』を実践されています。
播磨農業高校生と一緒につくる『みんなの地鶏プロジェクト』では幻の地鶏と言われる“ひょうご味どり”を800羽限定で高校生に生産依頼。トリ風土研究所が全量買い上げて販売した“「ひょうご味どり」一羽まるごと食卓セット。”は完売という人気ぶりです。
リクルートでご活躍されたあと起業。現在のトリ風土研究所に至るまでの経緯をお話してくださいました。
このあとプロジェクターで映しだされた言葉は…
“競合のリプレイスに特化”
“自分の原体験をおって転職”
“給与未払いにより起業”
続いて…
“イケてそう!金選んで失敗”
“自分の強みに特化”
“クロスメディアの可能性”
項目を読むだけで興味が湧きますよね〜。
宮武さんは軽妙な語り口で、ご自身の失敗経験も包み隠さずお話してくださいました。
「失敗経験から得意領域に特化しようと思ったんです」
「これからは広く告げる『広告』ではなく『狭告』の時代だと思うんです。いかに狭く、深くコミュニケーションをとれるか?が重要になるのではないか」
「ダメなら『才能ないからやめたらいい』と思っています。でも、必ず『自分が活躍できる場所』があると思うんです。戦う場所は人それぞれなので、思い切ってやってみてダメなら次の場所を探せばいい。僕もそう思ってやってきました」
などなど、聞いているだけで元気になるようなエネルギーに溢れたお話でした。
続いては元永彩子さんのお話…かと思いきや、マネジメントをされている宮武さんが『元永さんのお話』をされました(笑)。ビジネスパートナーでもあるお二人は、実はご夫婦でいらしゃいます。
元永さんの作品の一例。
公式HPだともっとたくさんご覧いただけます!
「日本で一番有名なギャラリーに画集を持っていったんですが、画集を開いてもくれなかったんです。『紹介なしでは無理』『賞をとっていなかったら無理』と門前払いでした」
日本のアート市場の規模は世界に比べるとずいぶん小さくまだまだ閉鎖的なようです。
「日本は展覧会は数々行われていますが、個人が気に入った絵を買う…という文化はまだまだ根付いてはいません。国内だけをターゲットにせず、世界に対して作品をもっと発信していくことが必要だと感じます」
「今は国が起業をサポートしてくれているので、その潮目に乗ることも大事だと思います。セーフティーネットはあるので」
起業に対する国のサポートは政権が変わると大きく変わる可能性があります。起業を考えている方はタイミングをうかがい、チャンスを逃さないことも大切になるのかもしれません。
ここでちょっとブレイクタイム。
休憩中に販売されている雑貨を見たりできるのもビジネス『カフェ』ならでは。
第2部はフリートーク。
参加者の方からの質疑応答を紹介します。
Q.アートとお金のバランスについてどうお考えでしょうか?
宮武「初期投資は抑えていますし、行政や企業の生態系からお金を引っ張るということも大事です。ただ、アートという分野はお金とのバランスは難しいところだとは思います」
元永「値段を考えながらは書けないですが、プロとしての意識を持って書いています」
宮武「逆算して計算したらいいと思うんです。絵画の場合で日当1万円欲しいなら、その絵に何日かかったか…材料費はいくらか…ギャラリーの取り分はいくらか…などを差し引いていくらで売ればいいのかがわかります。その金額は正当な対価なので」
Q.印象的な出会いを教えてください。
キクチ「最近出会った67歳の方は昼はエステをされていて夜はスナックをされているんですが、70歳になったらカフェを開きたいという夢も追いかけていて、その生き方は印象的でした。自分の33年後を想像するキッカケにもなりましたし」
元永「ミナ・ペルホネンのファッションデザイナー・皆川明さんとの出会いです。憧れの方だったのですが最初の個展で作品を購入してくださって…。とても嬉しかったですし自信もつきました」
宮武「僕はまだお会いしていないんですけど、お会いしたいと思っているのがTSUTAYA創業者の増田宗昭さんです。ホンマに好きな人に自分の作品やアイデアをぶつけるのは大事だと思います。お会い出来そうな機会は何度かあったのですが、結局会えず今に至っているのですが…絶対にお会いしたいですね」
Q.どんなところからヒラメキを得てモチベーションを保っているのですか?
キクチ「僕は人との出会いから刺激をもらっていて、それがモチベーションにもなっています」
宮武「 今はお金の面ではリクルート時代に比べて厳しいですが、『やるべきこと』と『すべきこと』が一致しているのでモチベーションは高い状態を保てています。起業した直後は、煮詰まって苦しくなったら夜中に突然走りだしたりしていました(笑)」
元永「好きなことをやっているのでモチベーションが下がることはないです。もちろんテンションの波などはありますが、デザイン会社に勤めていた頃に比べると自分のペースで仕事ができているので」
Q.時代に合わせて人を飽きさせない工夫などはされていますか?
キクチ「給料をもらいながらやるのとは違いますし、興味のあることしかやっていないので…時代に合わせたり人に合わせたりということはしていないです。ただ、『自分が飽きないように』は努力しています」
宮武「真正直にお客さんと向き合いながらコツコツ少しずつ変えていっています。定番と言われている食品なども、30年前と同じ味ではなくて少しずつ改良を重ねて味を変えていることで、今でも支持されていますし。変わり続けることは大切だと思っています」
元永「『誰にどこで見てもらうか?』というシチュエーションは大切だと思い意識したりしますが、時代に合わせても自分に嘘をつくことになるので…」
Q.これから皆さんのようなお仕事をやっていきたいと考えている方にアドバイスをするとしたらどんな言葉をかけますか?
キクチ「僕は『やめたほうがいいですよ』っていいますかね(笑)。音楽は作詞作曲をしても儲けの6%しかもらえない…という仕組みなので、自分で独自の音楽の『届け方』を考えられる人でなければならない時代だな、と。それができる人なら音楽で食べていけると思います」
元永「私も『やめとけば…』といいます(笑)。絵の場合、『自己表現だから…』と基礎をやっていない方も多いんですが、そうじゃないぞ…と。『表現だから何をしてもいいんだ』って思う人も多いでしょうが、やはり専門職なので『基礎』がないと表現にはつながっていかないので、そこは伝えておきたいです」
宮武「リクルート時代に教わった『自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えろ』という言葉は今も意識している大切な言葉です。Apple Inc創業者のスティーブ・ジョブズが残した『Stay,hungry. Stay,foolish(ハングリーであれ。愚かであれ。)』という言葉もあるんですが、あんな天才でも毎日そう意識していたんだ…と思うと自分もまだまだ頑張らないと!と思えます。まだまだ道半ばの僕が皆さんにアドバイスできることは少ないですが、天才も毎日頑張っていたので僕たちも頑張っていきましょう!」
以上、抜粋してお伝えいたしましたがいかがでしたでしょうか?
お三方とも皆さんのご質問に真剣に真摯に向き合ってお答えくださいました。
枚方市立地域活性化支援センターでは様々なイベントや講演会を開催されています。創業支援などのサポートも充実しているので、興味のある方は是非お尋ねくださいね!
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