みなさん、大回り乗車という言葉をご存知でしょうか?
名前からはなかなか想像しづらいですが、簡単に言うと、
JRで隣の駅に行くためにめっちゃ大回りして行く!
という乗車方法です。
キセルじゃない?と思う方もいるかもしれませんが、大回り乗車はJRに特例で認められている乗り方でして、最近だと日経新聞も大回り乗車のレポートをやっていたりもしました↓
なお、この大回り乗車ができる区間は大都市近郊区間に含まれる区間のみとなりますので、どこでもできるというわけではないので注意。
関西含む全国の大都市近郊区間についてはJRのこちらのサイトをどうぞ↓
大回り乗車をするにあたって守るべきルールは4つ↓
★途中下車不可(降りたら差額を支払う)
★大都市近郊区間外に出ちゃダメ
★きっぷを購入した当日のみ有効
このルールを守らないと、特例が適応されなくなってしまいますので要注意!
説明はこんなところにしておきまして、この記事は枚方(長尾)からスタートして藤阪でゴールするという枚方市民向けの大回り乗車をご紹介。
ルートを簡単に説明すると、
↓京都府
木津
↓
加茂
↓三重県
柘植
↓滋賀県
草津
↓
近江塩津
↓
大阪
↓和歌山県
和歌山
↓奈良県
高田
↓
王寺
↓
久宝寺
↓
放出
↓
藤阪
といったコースです。
視覚的に表すとこんな感じ↓
結論を先にいいますと、1回の大回り乗車で全部回るのはオススメできません!
何事もほどほどが良いですね!
なぜそんなに結論に至ったのか、それでは、レポートスタート!
そんなわけでやってきました長尾駅。早く終わらせたかったので始発です。
大回り乗車の旅に挑戦するのは写っているお枚の方と僕すどんの2人。
途中で枚方からバスでどこまで離れられるか対決の時に来た三山木駅を通って少しテンションがあがったり。
到着しました、JR学研都市線と奈良線、関西本線が交わる木津駅に。
すぐに加茂行きの電車に乗り換えるとこのとおり、旅行感ある豪華そうなシートの電車に興奮しましたが、木津から加茂はたったの1駅です。
木津駅を出てすぐ加茂駅に到着した我々。
待ち時間が30分あるということで駅の中を散策しましたが、
加茂駅で大阪環状線って文字を見ると違和感があるなーとかくらいしか特に言うこともなく。
加茂からの電車は非電化区間という区間になるそうで、電気で動くわけではなく、ディーゼルエンジンで動く気動車という括りになるんだとか。
ちなみにこの電車名はキハ120といいまして、キハのキは気動車のキ、ハはイロハ……のハで、ハは普通席という意味、120は電気方式やら用途やらでして、詳しくはこれまた日経のサイトをどうぞ↓
ちなみに「モ」はモーター駆動だそう。
電車も2両編成で、しかもワンマン電車。
これが乗り慣れていないと制度がわかりづらいんですが、ワンマン扱い駅の場合、2両編成の前の車両の後ろから乗り、前から降りる、これでいいはずです。
上の紙のワンマン扱い駅の中に、このあと降りる予定の柘植駅が入っていますので、今回は降りるときに運転手さんに切符を見せまして「大回り乗車中です」と言うと普通に降りることができました。
つり革広告が小学生の塗り絵だったりして、ほっこりするのがこの路線。
木津川沿いに山を越えていくこの路線は、景色もよくて旅行感を演出してくれます。
お枚の方が後々振り返った時、一番田舎感があったと言っていたのがこの周辺でした。
でもって線路が単線なのもなんとなくスタンド・バイ・ミーを思い出してアドベンチャー感マシマシ。
途中の伊賀上野駅では、忍者がたくさん見られて嬉しかったんですが、ですが……。
到着しました、今回の旅程では米原の次に東にある、三重県伊賀市にある柘植駅。
地図ではここ↓
これまた次の電車まで30分待ちということで、駅を散策することにしました。
しかもほとんどの忍者が伊賀上野駅へ行けっていうんです。どこの手のものや。
そして伊賀市は松尾芭蕉生誕の地と言われているそうで、俳句の投稿箱なんかもあったり。
せっかくなのでここで一句よみました。
りんりりりん 実りの秋の お柘植かな
(めっちゃ虫の鳴き声聞こえてた)
「柘植」と「お告げ」をかけたお枚の方による高等スタイル俳句。
僕は「上野へと やたら案内 忍びかな」と詠みましたニンニン。
最後「かな」で締めるとそれっぽいですよね。
その後、待合室で待っている間に次の草津駅の情報収集。
そこで気づいたのは、衝撃の事実!!
始発じゃなくて長尾7時27分発の電車に乗ろうが草津発の時間が一緒!
ということでした。つまり始発に乗ったのは無駄だったということです。
ちなみに7時27分発だと待ち時間はすべて10分以内でした。
この旅をやろうと考えている方はこの失敗を糧にしていただければと思います。
せっかく4時半に起きたのにぃ!!
このスケジュールを組んだ僕はお枚の方に全力で謝りました。
そんなときにやってきたこれから乗る電車がこれ。SHINOBI-TRAIN!!!
失敗も許せそうな、個性的な電車でテンションあがる!
中吊り広告も暖簾つきでニンニン!
JR草津線の電車で、この路線やと伊賀上野も通らんのにこの忍者感はなんでやろ?と思っていたら、
二大忍の里の甲賀の駅があるからだと思われました。
それにしても時刻表、昼間は1時間1本クラスなんですね。
そう、ここは国道307号線の旅のときに罰ゲーム発表場所であった貴生川駅!
そんなわけでこの駅の近くには枚方が始点の国道307号線が走っておりまして、やっぱり道はつながっている感が。
さらに進み、栗東市に入ったときに車窓から見えたのがこの山↓
すぐそばを名神高速道路が走っているので、名神から見えるこの稜線がキレイな形の山がどういう山なのか気になっていた方もいらっしゃるに違いないと思い、調べてみたら「近江富士」と呼ばれる山であることがわかりました。
これまた松尾芭蕉や紫式部も歌を詠んだ山だそうですし、名神高速道路を通ってるときに豆知識としてぜひ。
こんな風に、景色を楽しむのもまた一興。
というかもう景色を楽しむのがこの旅の9割くらいを占めるような気もします。
(さらばSHINOBI-TRAIN)
駅構内もだいぶ整えられていて、力の入っている駅だとひと目でわかる草津駅。
駅前にはこのように高い建物やショッピングセンターなどが立ち並んでいたので、きっと都会。
降りられないのでわかりませんが。
でも草津といえば、新名神高速道路が全開通したら繋がりますので、枚方からはさらに行きやすくなる街です。
2023年度の開通が楽しみですね〜!
本当は草津駅で1時間くらい待ち時間が発生する予定だったんですが、なんか隣のホームに次の目的地方面への新快速があったので、ロクに確認もせずに乗り込みました。
乗り込む方向としては間違えてなかったんですが、乗り込んだ新快速は野洲が終点。
野洲は草津から目的地側へ3駅進んだ駅です。
実は朝からずっとお腹が減っていた我々2人。
これまで待ち時間があった駅では駅構内に売店がなく、お腹が減り続けていたんです。
本当は草津になにかあるって期待していたんですが、ノリですぐ電車に乗っちゃったので調べられず。
野洲駅に売店があることに期待しながら階段を登っていくと……
セブンイレブン&キヨスクの文字が!!
これはついにご飯にありつける…!と思っていたら、
無情にも立ちふさがる改札の壁。ごはんはお預けです。
この旅の場合、前半はあまり売店がありませんので、乗る前に買っておくほうが賢いかもしれません。
野洲から普通に乗って、到着したのは米原駅。
滋賀県唯一の新幹線停車駅であり、いろんな電車がつながっているターミナル駅でもあるので、ご存知の方も多いのでは。
米原駅には立ち食いそばやうどん・お弁当のお店がある!ということで、
早速うどんを注文。
立ち食いうどんらしく、別にめっちゃ美味しい!ってわけじゃなくて、袋麺を目の前で茹でられたりする感じの、旅行感あるうどん。
でもって安い。
肉うどんは450円で、これは+100円で麺を大盛りに。
2玉入ってまして、大ボリュームにむせそうになりました。
何よりも、駅で立ち食いでうどん食べてるってシチュエーションによって、美味しさがプラスされてる気がします。(→うどんそばメニュー / その2 / お弁当メニュー)
なお、営業時間は9:00-19:00(L.O.18:30)で、うどんそばは9:30から、土日祝日は15:00(L.O.14:30)までなので注意。
わかりづらいですが新幹線も見られますよって写真です。動いてる新幹線は早すぎて写真撮れず。
草津駅で待つだけなら、米原に行くという選択肢もめっちゃありですよ!
米原を出発すると、田園風景と奥に見える伊吹山の荘厳さが旅行感を演出。
ここでお枚の方を襲ったのが……!
睡魔です。
始発出発なんかにしちゃったので、昼間にお腹もいっぱいになると眠たくもなります。
実際問題、眠っちゃうとこの旅行の意味は移動にあるので、意味がなくなりかけますので、これをやってみようと思う方は眠気対策を用意しておくといいかも。
地図ではここ↓
福井県の敦賀まであと2駅というくらい、北の駅。
ここから先は、新快速にのって大阪駅までの1時間48分に渡るずっと電車に乗るタイム。
滋賀から大阪まで、移動距離は122kmのツアーです。
途中にはマキノ高原やメタセコイア並木で有名なマキノがあったり。
なによりも湖西線は琵琶湖沿いなので琵琶湖が楽しめるのがステキ!
これは完全に見逃した後に必死で撮った写真ですが、琵琶湖に沈む鳥居で有名な白髭神社(→公式サイト)も見えるはず!
琵琶湖ってエメラルドグリーンの水の色になるところもあるんですね。手前の建物的にも地中海感!
滋賀を越え、京都駅に停車。すると次の停車駅は高槻とのこと。
ということは……
見えた!くずはタワーシティ!!
他にもひらパーの観覧車なんかも見えましたよー!
この辺で、なんで長尾から藤阪へ行くために枚方を通りすぎないといけないのか、という気持ちに少しなりました(笑)
大阪駅に無事到着すると、らぽっぽやらカフェやら駅内にいろいろありまして、この旅の補給スポットやなって思いながら、財布に全然現金が入ってなくて買うのを諦めました。
ちなみにもっと旅の食事を充実させたい!という方は1つ手前の駅である新大阪駅で降りるともっといろんなジャンルがあるんだとか。
大阪駅に停まってる電車はなんか未来的なデザイン!これに乗るわけではないですが、なんとなくウキウキ。
aikoの楽曲「三国駅」は淀川区にある阪急の三国駅を指していて、堺の三国は関係ないんやで、とか言いながら、1時間半に渡る大阪〜和歌山の旅を終えました。
この区間の要注意ポイントは日根野駅。
ここで電車が関空行きと和歌山行きに分離するので、関空に行ってしまうと行き止まりで、大回り乗車が成り立ちません。
我々の時は4両目以降が和歌山行きでした!
今回とは逆ですが、関空に行きたいのに和歌山いっちゃって飛行機に間に合わなかったって話も聞いたことがあるので、ここは本当に気をつけたほうがよさげ。
念の為地図ではここ↓
和歌山県の県庁所在地、和歌山市の和歌山駅!
MIOといえば天王寺のショッピングセンター、というイメージでしたが、まさかの和歌山のMIO!!
これはまさか……駅内でショッピングが……?
まぁ無理でした。でもMIOの建物の中には入ることができるんですよ!!
地下にもMIOの入り口があるんですよ!!悔しさを胸に入り口写真。
なお、和歌山駅はたま駅長でおなじみの「わかやま電鉄貴志川線」の改札がホーム内にあるので、記念撮影だけならバッチリ!
和歌山駅は駅内に売店もありまして、お土産も購入できるので、和歌山旅行に行った!ってアピールしたい方はぜひ。
僕は前述のとおり、現金がなくて購入できず。改札の外にはATMが見えているのに利用できないという、この旅ならではの悔しい出来事となりました。ですので、お金は下ろしてきたほうがいいという当たり前のアドバイスを残しておきます。
なお、和歌山駅はこの旅唯一となる、ホーム内にある改札を抜ける必要がありまして、
のりつぎ精算機で、駅員さんに連絡して「大回り乗車中です」と告げる必要があります。
すると改札を通れるように!
ここからは再びワンマン電車になり、長い長い鈍行の旅がスタートです。
中も扇風機がついていたり、時代を感じる仕様の車両。
次の目的地である奈良県大和高田市の高田駅までは、約2時間。
個人的にはここが鬼門でした。お枚の方は首をカクカクしながら爆睡状態。
ハナから言い訳しますと、始発から電車乗ってたらいい加減疲れてきたといいますか、この辺りに冒頭に書いた「1日ですべて周るのはオススメできない」というところになってきます。
そんなわけでクイズです。掖上、なんて読むでしょう?
答えは……ワキガミでした!
これは高田〜王寺の間の写真なんですが、本当は高田から桜井へいき、奈良にいって王寺へ行く予定だったんですが、和歌山〜奈良で心が折れまして、早く帰りたいが故に奈良はショートカットしました。
元気な方はぜひ奈良へ!
なにが懐かしいって、この駅は国道168号線の旅の時に僕が罰ゲームで降り立った駅なんです(笑)
他にもお枚の方が罰ゲームを受けた北宇智〜五条駅もありましたし、もうこの旅で行くところがそんな駅ばっかり!極度のひらつー好きにもオススメできるツアーとなりました。
これは久宝寺についた写真。王寺で間違えて快速に乗らず鈍行に乗っちゃったので到着が遅れたり。
放出に到着した時なんか、もう帰ってきたような気持ちになりますよね。
20時手前に、ようやく目的地であった藤阪に到着!やりとげた感がすごい!
改札でついにゴール!!喜びの顔がガチのお枚の方!!
普通にいくと3〜4分で行ける長尾〜藤阪間を14時間以上かけて移動することができました。
しかし旅はここで終わりではありません。
切符を買ってもう一度電車に乗る必要があります、だって車を長尾においてるから!
そんなわけで、長尾〜藤阪を歩く!という方以外だと追加でさらに120円かかります。
藤阪駅には枚方津田高校通信、略してひらつーが置いてあって思わず読んじゃいました。
そして長尾駅。たぶん僕の名前はれいなだった気がするので、お帰りって言ってくれた朋には感謝の念しかありません(違う)
そうしてこの長い長い旅が終わりました!
全部一気に周るのは二度とせーへんぞ!という気持ちでいっぱい。
ポイントは、
みたいな感じ。
この旅は、結果(長尾→藤阪)じゃなくて過程(移動時間)を楽しむことが重要。
そういうもんやって楽しめる人にはオススメできる旅です。
電車の中で寝ちゃうのは、観光地いって寝るみたいなものなので、本当に対策していったほうがいいと思います!僕はレッドブル飲みました!
なお、実際にお金を払う計算でいくと……
高田から久宝寺まで500円
合計 9400円
(※最短になりそうな分割で駅をチョイスしております)
【追記】
遠距離逓減制という制度で考えると、営業キロから8210円になるそうです!(→遠距離逓減制の解説)
と120円の78倍くらいの値段がかかります。
78倍って考えるとすごいお得な気持ちになれますね!駅からは降りられませんが!!
この旅の感想をお枚の方に聞いてみました↓
改札の向こうに広がる売店に手が届かない!
思わぬ長さの待ち時間っ!
お腹が空いて力が出ない!
広大な自然が全てを満たしてくれる事は無いですが、やり切った感はハンパないです。
120円には、夢と希望に溢れていました♪
さすが、プラス思考の化身、お枚の方です。
僕としては、何度もいいますが、分割をオススメします。
琵琶湖周るなら琵琶湖周るだけ、和歌山行くなら和歌山行くだけ、これくらいが多分一番楽しめると思います。何事も程よいのがベスト!
もっと全力で楽しみたいという方は、今回のルートでいうと大阪にいかずに新大阪で降りて、新大阪から新ルートであるおおさか東線の北側をエンジョイし、鴫野から京橋。京橋からは東西線にのって尼崎、尼崎から大阪、大阪から反時計回りで天王寺にいくルートもいいんじゃないでしょうか。
また、今回スルーした桜井・奈良方面も工夫の余地があります。
全力で楽しみたい方から、ちょっと軽くお出かけ(したような気持ちになる)したい方まで、いろいろと挑戦してみてはいかがでしょうか!
探してみては、自分だけのベストルート!