イベントなどに実際に行ってご紹介する【ひらつーレポ】!
今回は12月8日に総合文化芸術センターで行われた、枚方HUB協議会シンポジウム -『パブリック空間が多様な人々の「居場所」となり「誇り」となるまち』の実現に向けて- にアンドゥ@ひらつーが行ってきましたのでその様子をお伝えします!
枚方HUB協議会って?
枚方HUB協議会は、産学官が連携したまちづくり団体。
構成員は、枚方市・摂南大学・関西医科大学・京阪電気鉄道株式会社・京阪ホールディングス株式会社・枚方市駅周辺地区市街地再開発組合・枚方信用金庫・三井住友信託銀行株式会社・株式会社三井住友銀行・ひらつーを運営している株式会社morondo。
枚方市駅周辺におけるエリアマネジメントやスタートアップ企業支援、多様な人材が集う交流拠点の整備等を目指すことを目的とした団体です。
今回のシンポジウムは、総合文化芸術センターの大ホールで開催。
枚方市駅再開発で駅前などのパブリック空間が市民の「居場所」となるまち、そして「誇り」となるまちづくりには何が必要か、講演やトークセッションが行われました。
枚方HUB協議会シンポジウム プログラム
・ご挨拶「枚方HUB協議会シンポジウム開催にあたって」
枚方HUB協議会 代表幹事 佐藤 道彦さん
・第1部基調講演
「居心地の良い公共空間のつくり方」日建設計シビル 八木 弘毅さん
「公共空間におけるデザインとは」GK設計 門脇 宏治さん
「人々の居場所となり誇りとなる公共空間の活用」大阪市立大学大学院 嘉名 光市さん
・第1部特別講演
「まちづくりにおけるイノベーションの役割」枚方HUB協議会 代表幹事 佐藤 道彦さん
・第2部トークセッション
『パブリック空間が多様な人々の「居場所」となり「誇り」となるまち』の実現に向けて
市駅の再開発で、駅前はどう変わる?
例えばどんなことができるん?
まずは、枚方HUB協議会の代表幹事で大阪市立大学大学院の佐藤道彦さんから開演の挨拶が。
そして第1部の基調講演がスタート。
まず始めは株式会社日建設計シビル(→公式サイト)の八木弘毅さんによる「居心地の良い公共空間のつくり方」です。
八木さんは日本各地の駅前広場や道路などの公共空間のデザインを主に行っていて、大学の非常勤講師などもされているんだそう。
講演では公共空間をデザインするときに重要なことの1つとして「当事者意識を育むプロセスデザイン」をあげていました。
例えば自分が植えた木があったり、自分の意見が反映されてつくられた公園だったら、何も知らされずに急にできた公園よりもより良く使っていこうという意識が生まれやすいんだそう。
その空間を使う市民も当事者として計画段階から参加してもらうことが大切とのことでした。
続いては株式会社GK設計(→公式サイト)門脇宏治さんによる「公共空間におけるデザインとは」の講演。
GK設計は総合的なデザイン事務所で、都市デザインから企業のブランディングなど様々な分野のデザインを担当。門脇さんの専門は公共デザインなんだそう。
まず、都市デザインで重要な要素について。
地域の魅力を創出し、「いい街になったよね!」とみんなで共感すること、そして市民が「自分たちもなにかやろうよ」という意識を持てるようにして市民参画で取り組むこと、それが観光客を呼び込むことにもつながり、良いまちづくりの循環につながるんだそう。
こちらが実際に門脇さんがデザインした富山のまちづくりの例。
街中を走るLRT(Light Rail Transit=次世代路面電車)をトータルデザインして愛称を募集したり、市民からの寄付でメッセージ入りのベンチを設置するなど、市民参画で街の魅力を創り出した結果、サザエさんのオープニングで紹介されるまでになったんだとか。
駅前再開発で生まれ変われば、枚方もサザエさんのオープニングに登場することだって夢じゃないかも!?って司会の方が言ってました。ぜひ登場したい!
続いての講演は大阪市立大学大学院の嘉名光市さんによる「人々の居場所となり誇りとなる公共空間の活用」について。
嘉名さんは公共空間の活用で「てんしば」(→公式サイト)や「水都大阪」(→公式サイト)などを手掛けているんだそう。
いま世界各地で行われているのが、普段は車がたくさん通る道路を封鎖して歩行者の空間にする社会実験。
例えば御堂筋や神戸の三宮駅前でも最近行われました。
ではその歩行者空間にした駅前を何に使うか・どう使うかというところが大事で、その土地らしさを体感できる場所にすることが重要なんだそう。
最近ではそうした空間をカフェなどのビジネスにも使えるよう、規制も緩和されているんだそうです。
第1部の最後、特別講演は枚方HUB協議会代表幹事の佐藤道彦さんによる「まちづくりにおけるイノベーションの役割」。
例えばアメリカのシリコンバレーを例にすると、起業する文化や起業したい人・起業の指導者・起業を応援する資産家のつながりや循環がよくできているんだそう。
コロナ禍でテレワークが普及したいま、サテライトオフィスを充実させたりして「ここで何か事業をはじめたい」と思う人を支援できる環境作りが枚方のまちづくりに重要だとのことでした。
じゃあ結局、市駅前はどうなるといいの?
枚方の未来を考えるトークセッション
続いて第2部は、『パブリック空間が多様な人々の「居場所」となり「誇り」となるまち』の実現に向けてというテーマでのトークセッション。
第1部で講演された皆さんを含め、枚方に様々な形で関わるメンバーで市駅前再開発について話合われました。
左から順に、トークセッション進行役の摂南大学の熊谷樹一郎さん、枚方市駅周辺地区市街地再開発組合の宮田明さん、大阪市立大学大学院の嘉名光市さん、枚方HUB協議会代表幹事の佐藤道彦さん。
こちらも左から、日建設計シビルの八木弘毅さん、はらだ@ひらつー、GK設計の門脇宏治さん、京阪ホールディングスの大浅田寛さんです。
まず現状の枚方の問題点の話に。
はらだ@ひらつーは今の枚方について「ちょうどいい温度のお風呂みたいな状況。でも今の子供たちが大人になる頃にこの状態が維持されているのかと言うと不安」と。
大浅田さんによると、実際に他の地域に比べても枚方の20代30代の人口比率は少なく、危機的状況にあるんだとか。
枚方市駅は京阪沿線では大阪府内でも有数の乗降者数なのに、土日になると人が激減してしまい、若い人たちが集まる場所が少ない現状があるんだそう。
嘉名さんによると、今までのまちづくりは「たくさんの人口をどうさばくか」という目的ですすめられていただんだそう。
人口が少なくなっていく今、「たくさんの人にきてもらう」より『長い時間過ごしてもらう』ことに焦点をあてたまちづくりが大切なんだとか。
そして、やはりそのまちづくりには市民のプレイヤー、特に若い方に入ってもらって一緒にすすめていくことが大切とのこと。
門脇さんが手掛けた他市の例でも、いかに若手に入ってもらうかが課題だったんだそう。
具体的には、まちづくりワークショップなど若い方に意見を出してもらえる機会を積極的につくったり、駅前広場にキッチンカーの出店などを促したり。
それにはもちろん、行政も一緒になって取り組んだり規制緩和なども必要になってくるとのこと。
市民のプレイヤーということで、「枚方には個人で輝いている若い方が本当に多い」と、はらだ@ひらつー。
例えば小さい子供がいるママさん達や学生のNPOなど、面白い活動をしている方はたくさんいるけど、それぞれがつながる機会がまだ少ないのが現状。
この点と点が、線として、面としてまとまっていくと、枚方のまちづくりの大きな推進力となるとのことでした。
これまで実際に様々なまちづくりに携わってこられた嘉名さん、八木さんによると、社会実験こそがそういう面白い市民のプレイヤーとのお見合いの場でもあるんだとか。
例えば駅前に歩行者空間をつくって市民のプレイヤーにキッチンカーなどを出してもらうと、「こんなことができるんだ」「こういうお客さんがいるんだ」ということが分かって、その土地に出店を検討する場合も。
どんなまちにしたくて、何を検証するのかという目的をはっきりさせて社会実験を行うことが、プレイヤーの点と点をつなぐ重要な機会となるとのことでした。
というわけで、枚方市駅前を歩行者空間にする社会実験がそのうち行われるのかも…!?
再開発で生まれ変わる駅前がどうなっていくのか、期待が膨らむトークセッションでした!
市駅の再開発なんて、なんだかめちゃくちゃ大きい話で他人事のようでしたが、市民こそがプレイヤーで、つくっていく段階から市民が関わっていくなんて確かにすごいワクワクする話やなって思いました。
今後も駅前再開発がどうなっていくのか、ひらつーもこの枚方HUB協議会のメンバーの一員として、そしてプレイヤーである一市民として、引き続きお伝えしていきたいと思います!
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