一雨ごとに秋が深まる気がするこのごろ
風に乗ってくるにおいも、なんだか秋っぽい…気がします
(思い込みかもしれませんが)
そんなほんちゃん@ひらつーがお送りする、秋の新シリーズ。
「津田サイエンスヒルズ見せて!」
(シリーズ概要はこの記事をチェック!)
(過去の「津田サイエンスヒルズ見せて!」シリーズはこちらから)
20を超える企業・施設が集う場所、「津田サイエンスヒルズ」。
そこには果たしてどんな技術やお仕事があるのか…?
第二回目はここです!
「株式会社 アスク」さん!どーん!
(今回はちゃんと白衣を着ました!)
サイエンスヒルズ内での場所は、この辺りになります。
ちょっと奥に入ったあたりですね。
アスクさんのwebサイトには、
「アスクは弱電・自動車・医療機器・半導体・実験装置など様々なジャンルの多品種少量部品加工や試作部品加工が得意です。短納期(Speed)、安心の品質(Safety)、ワンストップ対応(Service)の3Sをモットーに熟練技術者が切削加工・レーザー・プレス・ワイヤー放電加工等の技術を駆使しお客様に喜ばれる加工品をお届けします。」
と書かれてあります。
何か作っている、というのは分かるのですが、果たしてどんな会社なのでしょうか?
今回もできるだけ(できるだけ、ね)分かりやすく、お伝えできればいいなぁ。
では、いってきます!
1:「アスク」って、どんな会社?
2:超絶なスピードとテクニックを提供!
3:サービスはものづくりを超えて 〜まとめ〜
今回お話を伺ったのは、アスクの長倉さんです。
長倉さん、ずっとひげを気にされていました。
ほんだ
すごいポップなwebが印象的だったのですが…いつからある会社なんですか?
長倉さん
1989年に設立した会社でして、当時は守口にありました。
当時はパナソニックの下請けとして、エアコンやテレビ・洗濯機などの新作開発の際に作る「試作の部品」を作っていました。
ほんだ
「試作の部品」なんですね。
長倉さん
そうですね、開発段階の一品ものに特化しているので、量が必要なものは作ってないですね。
ほんだ
なるほど。ちなみにアスクでは、どんな「一品もの」を作っているんですか?
(ロビーに飾られた一点ものたち)
長倉さん
今はロボットや自動車の部品などでしょうか。どこの部品を作っているのかまでは分からないんですが…相手の会社を見たら「あぁ、これは自動車だな」とか、ね。笑
あとは、大学などの研究機関からお仕事をよくいただきます。全国の名だたる大学などからお仕事をいただいてますよ。
ほんだ
これは日頃の営業の成果なんでしょうか?
長倉さん
それが、…アスクには営業が1人しかいないんです。
同規模の企業(社員は4~50人くらい)では考えられないでしょうけど。
ほんだ
え?たった1人ですか??
(バランスボールに座って仕事をしている人発見)
長倉さん
そうなんです。外回りの営業車もなければ、営業は社長がやってます。変わった会社やなぁ、と言われますよ(笑)あとは、口コミが大きいですね。アスクの仕事にはある「特徴」があって、それが口コミで広がる、と。
ほんだ
そんな口コミが広がる「特徴」とは、どんなものなんでしょうか??
長倉さん
アスクの特徴を一言でいうと“超絶短納期”です。「即日から数日で納品します」というのが売りですね。もちろん相手が望む時間に望む場所へと配達まで行います。
(だんだん説明に熱を帯びてきます)
ほんだ
え!納品が即日から数日ですか?普通だとまず価格を見積るだけでも1日くらいかかるのでは?
長倉さん
見積りも1時間ほどで出しますよ。「出来るか出来ないか」、そして出来るとしたら「どのくらいの価格でできるか」はすぐ返します。見積る時間も納期の一部って考えですね。でもって、作れるものなら品質も超一流で作る、そして相手の要望にお応えする時間で出す、というのがアスクの売りです。
ほんだ
特注や一点ものばかりなのに、見積もるだけでも難しくないですか?
(それぞれ加工のジャンルごとに分けられた作品)
長倉さん
そうですね。普通であればそれぞれの会社に得意不得意があるので、一つのものを作ろうとすれば「材料を扱う会社→表面加工をする会社→…」と、いろいろ専門の業者に値段を聞かないと見積もれません。でも、アスクはほとんどの加工ジャンルが中で出来てしまうんです。なので、手間がかからずにスピーディなんですよ。
ほんだ
それぞれに特化するのではなく、様々な加工がアスクだけで出来るんですね。
長倉さん
さらには、それぞれの加工分野(旋盤、フライス…など)を担当している社員が“凄腕”の持ち主なので、高精度+超短期での製作が可能なんです。なんたって現場で担当している作業員の半数が国家検定の「一級技能士」をもってますから!
技能士…国家検定である「技能検定」に合格した人に与えられる国家資格。合格しないで名乗れば、法律で罰せられます。現在は100を超える職種で検定が実施されており、1級の合格者は、自分が持つ職種の「職業訓練指導員免許」を取得することができます。つまり、人に教えることができるほどの「スペシャリスト」ということなんですよ!
(ずらりと並ぶ技能士の面々。まだ貼りきれてないそうです)
ほんだ
同じように複数のジャンルを一社でできます!って会社は多いんですか?
長倉さん
めちゃ少ないんとちゃいますかね。だって単一の技術でまとめた方が工程管理しやすいし、技術力も上がるでしょ?だからこそアスクは「全部行けます、しかも全部高品質です」が売りなんです。
(ポスターに囲まれながら取材)
ほんだ
なるほど、聞くほどにすごいですね!webにあった「ものづくりのコンビニ」という表現にも納得です。
長倉さん
コンビニって、値段は安くないけど欲しいもんはちゃんといつでも売ってる。アスクも価格はしっかり設定していて決して安くないんです。でも、望み通りのものを望み通りの時間で届ける、まさに「コンビニ」の位置を目指しています。ですので、難しいと思う案件は、きっぱりお断りしています。あくまでも相手が満足する「サービス」を提供するというのが至上命題なんです。“もの作りはサービスの域に達している”と考えています。
ほんだ
なるほど、サービスという捉え方は特徴的ですね。一つ気になることがあるんですが…「モノづくり研究所」という部署では何を?
長倉さん
ここはですね、「うれる」商品を開発しています!
ほんだ
なんてわかりやすい!(笑)…って、どういうことなんですか?
長倉さん
これまでアスクは「ものづくり」の枠を超えていろいろなビジネスにも挑戦してるんです。例えば、出版事業とか、アスパラ資材事業とか。
(アスパラ資材の説明がはじまりました)
ほんだ
アスパラ資材事業?
長倉さん
社長のアスパラ好きから始まったんです(笑)周りの環境に繊細なアスパラガスの栽培を助ける資材を開発して、販売するという事業です。今でもちょくちょく売れていますよ。
他には銅のリサイクル事業も始めまして、そこで使う「電線を剥く機械」を開発しました。これも「電線マン」という名前で販売しています。
ほんだ
もはや「ものづくり」の枠を超えつつありますね。
長倉さん
ものづくりのビジネスは徐々に難しい時代へと突入しています。「なんでも作ります!」だけでは厳しいんですよね。なのでアスクでは、“超短期+高品質”という特徴をキンキンに尖らせています。
でも、もっと事業に幅があったほうが時代に対応できるはず…そこで“売れる商品”を次々考えることが重要だと思うんですね。もはや「ものづくり」という分野に縛られず、次にお客様が必要なものはなにかを考えていかないと。
ほんだ
まさに「サービス」が大事ということですね。
長倉さん
そうそう、実は最近「福祉事業所」も始めたんです。
ほんだ
おぉ、また全然違う分野じゃないですか!?どんなことをされているんですか?
(事業所のパンフレットを見つつ話を進めます)
長倉さん
始めたのは、障害を持った方のショートステイや放課後ディサービスを行うもので、あくまで「アスクの福祉事業部」として運営しています。元々はアスクの社内に「NPO法人 夢桜ホーム」という作業所を設立して銅のリサイクルを行っていたところ、障害をもたれた方の親御さんからの声があつまって新しく事業化した、という経緯ですね。
ほんだ
あくまでも株式会社として運営しているんですね。
長倉さん
株式会社でやっている分、営利でやっているという割り切りのよさからいろいろなサービスがしやすいんです。この事業は、今後もっと力を入れていきたいと考えています。
ほんだ
なるほど、これはものづくりからついに飛び抜けましたね。でもニーズは確かにありますもんね。
(銅のリサイクル現場も見せていただきました)
長倉さん
そうですね。現代社会には“障害をもたれた方の工賃が低い”という問題もあります。夢桜ホームは全国平均の3倍の工賃で仕事してもらっているし、中で勉強を教える専門の塾も開いています。働いている方々はすごいんですよ、伸びしろもあるし、まじめやし。そういう人たちが勉強したいけどなかなか難しい…という部分をカバーできるかと。
ほんだ
ここにも「サービス」が出てきましたね。
長倉さん
お客様のニーズに応えてサービスを展開する、というのは先ほどの話と一致しますね。 加えて「うれる」というキーワードも重要なんですよ。高齢者事業はすでに敵が多いですもん。ビジネスとしてしっかり進めそうなものをチョイスする、この考えも一貫してます。
ほんだ
いやぁー、次にどんなものづくりからの飛躍をされるのかが楽しみです。
今日はありがとうございました!!
(長倉さんと加工品の前で記念撮影)
webを見たり取材の当初に持っていた「仕事がはやい、品質がいい」というキーワードが、最後の方にはかすんでしまうくらい、多種多様というか“幅の広い”ビジネスを展開しているアスクさん。もちろん本業の技術力でも超有名企業との信頼を築いているということなのですが、話を聞くにつれて「社長を中心とした組織のフットワーク」の方に注目するようになりました。すべてに一貫しているのは「お客様が欲しているサービスを全力で提供できるか」というこだわりなのでしょうか。次の一手がどんな方向に飛び出すのか、注目したいと思います。
《おまけ》
お客さまからいただいたというスダチをお裾分けしてもらいました。
◆関連リンク
・津田サイエンスヒルズ
・株式会社アスク