枚方市立地域活性化支援センター主催、お茶しながら起業についてのリアルな話が聞ける
ひらかたビジネスカフェ
が、2016年1月22日(金)に鍵屋別館の3階で開催されました。
ひらかたビジネスカフェと言えば、昨年の11月に「女性オーナーが語るカフェ経営の本音」、7月にも「五六市出店者が語る!手づくり市の魅力」をテーマに開催。
一昨年も「女性の起業」や「ARTの世界で起業」をテーマに開催しました。
今回は枚方で大好きなことを仕事にしている女性3人をお迎えしてお話を伺いました。
参加者の皆さんにはお茶とお菓子(「呼人堂の暁」)をご用意。
さらに当日ゲストのお一人「れんげそう」の渡部さんが「ひらのは」を持って来て下さったので、それらを楽しみながらお聞きいただきました。まさにビジネス『カフェ』!
それでは、当日のようすを抜粋してご紹介してまいりましょう。
最初にお話いただいたのは牧野にあるナチュラルスイーツ工房れんげそうの渡部さん。
れんげそう 渡部
静岡出身でパティシエ歴32年の俗にいうこの道一筋です。
パティシエになろうと思ったきっかけは、中学校のころ料理天国という番組があったんです。辻調理師専門学校の先生たちがうんちくを交えながらお菓子などを紹介する番組に影響を受け、自宅でお菓子作りをはじめました。
家族が食べてくれたのが今につながっています。
高校卒業後は辻調理師専門学校に入学し、卒業後ホテルに就職しました。
2年後にウエディングケーキを作りたいという夢を達成し、結婚・出産を経て専業主婦を5年間経験しました。
れんげそう 渡部
ホテルに再就職した時は「お菓子はレシピだけあれば作れる」と思っていたんですが、入ってすぐ総料理長に「勉強しなさい」と言われたんです。「お菓子の本なんて見ていたらアカン」と。
お菓子のことを知っているのは当たり前で、「専門以外のことをたくさん勉強しなさい」ということを言われたんだと今は理解しています。
れんげそう 渡部
そのあとワインを飲む練習や旬の材料の特徴の勉強などに取り組み、今もお料理の勉強をして五感を磨いています。その経験をお店のお菓子作りにも活かしています。
今のれんげそうのお菓子の基礎はそのときに出来たわけですが、ホテルでの17年間は毎日がガチンコ勝負でした。コンクールに出ることを推奨しているホテルで、周りは世界大会にもいったことのあるすごい人ばかりで。でもとても良い体験ができたので、本当に感謝しています。
「ヘルパーの資格でも取るか?」と思ったんですが、今持っている資格で誰かの役に立てればいいなと思い、勇気を出して財産を投入しお店を開きました。
キッカケになったのは「女性のための起業セミナー」に参加した時に枚方市の創業実践塾を知ったことで、人とつながっていく楽しさを知りました。
そこで資金を借りるための話を聞いたり、塾生の先輩にお店の内装をやってもらったりでたくさんの人に支えられてきました。
れんげそうのお菓子「ひらのは」↓
れんげそう 渡部
れんげそうでは「おいしい、楽しい、おもしろい」をコンセプトとして、地域の人と結びついていろんな事をしたいと思っています。
お配りした「ひらのは」は枚方のこだわりの材料を使って、枚方名菓になればいいなという想いで「年輪の形」になっています。
他には、近所のお庭で取れたブラックベリーを摘ませてもらってジャムにしてお返しして余ったものを販売したり、春休みと夏休みには子どものパティシエ体験もしています。
スキルを持っているお客様も多いのでフェルトの教室をしたり、お花の教室をしたり…とお客様と楽しいことを発信中です。
お菓子を通して地域の人とつながって、癒される場であったり、情報発信をできる空間をつくっていきたいと思っています。
続いてお話していただいたのはみるりぼんの松村さん。
みるりぼん 松村
性格は好奇心旺盛で、高校時代はバンド活動に熱中し、今はない枚方市駅にあった枚方ブロウダウンというライブハウスで100人くらいお客さんを呼んでライブしたりしていました。
枚方帰ってきたのは8年前なんですが、その頃から「鍵屋別館気になるなぁ〜」とは思っていました。
もともとひとつの企業でやるつもりなかったので、タイミングをみて退職し、昨年鍵屋別館のテナントが空いているのを知って応募しお店を始めました。
みるりぼんのHP↓
みるりぼん 松村
店名の「みるりぼん」はあまのがわ、ミルキーウェイのりぼんという意味です。
私のやっているのは「おせっかいビジネス」で「裏方のスペシャリスト」を目指しています。
雑貨店なんですけど、こういう人がこういう思いで作っているんですよ〜というのを伝えています。また、普段芸術作品を作っている人にも商品作ってみない?と声をかけています。
珍しいものなのでプレゼントやギフトとしてオススメするのもいいなぁと思っていて、その後押しをできるスペシャリストになりたいと活動しています。
みるりぼん 松村
開店前の宣伝ですが、私は初日にドンと人を入れたい!という気持ちがあったので、準備段階から告知しオープニングのイベントをしました。(みるりぼんHPでオープニングライブペインティングの様子が見られます)
20代だとこんなことはできなかった、色々な経験をしてきたからこそできたと思います。今まではインプット、これからはアウトプットをしていく段階です。やりたいことは毎日出てきます。
お店のセレクトに関してはブレないようにしています。リピーターさんも多いのですが、商品が替わっていないと話すだけで終わってしまうので、こまめにイベントをするようにしています。
みるりぼんのHPでは「今日は開いてるか?」「今どんなイベントをしているか?」などシンプルにしています。
3番目にお話していただいたのはビートブティックの山田さん
ビートブティック 山田
私は鳥取の米子出身で、大阪外語専門学校を卒業後、JR東海の新幹線のパーサーとして新大阪と東京を行き来する毎日を過ごしていました。
その後、実家に帰りアパレルや、携帯ショップで働き、また関西に戻ってきまして、京都の携帯ショップで働き、京都代表として舞台の上でロールプレイングをさせていただいたりもしました。
そのあと30歳からインストラクターとして人材育成をして携帯ショップで働きながら、副業として今のアクセサリーを作る仕事をはじめました。
ビートブティックの作品の一部↓
ビートブティック 山田
作品はすべて型から掘っていて、ファッションと音楽をからめたものです。
ブランドコンセプトとしては1964年。ビートルズとか、デビット・ボウイ、ヴィダルサスーン、マリー・クワント、ピエール・カルダン…そういった人たちが活躍した時代です。
1996〜97年に日本にもプラスチックやビニール素材、コスモルックを使った60年代ブームがきました。そこでワンピースはあるけど、アクセサリーはないなぁと思って作りはじめたのがキッカケです。
ビートブティック 山田
ブランドは2014年の10月1日に立ち上げました。最初はフライヤー、販促物づくりをしました。
店舗がないので販促方法としては、イベントや委託販売、Facebook、Twitter、Instagram。SNSはプライベートのアカウントと分けて準備をしました。
友人に宣伝し、委託店舗ができました。まずは同じ趣味をもつ人の中から広げていくようにしました。
売れ筋の研究などもイベントでお客様の生の声を聞いています。ネットは再度購入していただくリピーターさんによくご利用いただいています。
売上につながるSNSは、Twitter、Facebook、Instagramの順番で特にInstagramは海外の人向けです。
海外に向けて発信したいという方はestyというサイトがあり簡単なアプリ登録からできますので興味のある方はご覧いただければいいかと思います。
ブランド立ち上げの費用に関しては、8割が材料費、2割が広告費で合計10万円以下くらいでした。材料費は月に2〜3万円くらい。オープン以来、赤字は出ていません。
月々の売上ですが…学生のアルバイト分くらいは平均してあるかな、といったところです。
ブランドコンセプトを立ち上げて、怖がらずにやってみるということが大事だと思います。一歩踏み出してしまえば後戻りできないので。
これからは新しいものを作りながら、60年代文化を広めていきたいと思っています。
続いて第2部はフリートーク。
質問に答える形でお話していただきました。
― 好きなことを仕事にしてキライにならないですか?
れんげそう渡部
私は好きなことを仕事にして、今も大好きで天職だと思います。好きじゃないとできない職業のひとつかなと思うので。
みるりぼん 松村
私はキライなことが少なく、野球や散歩など好きなことはたくさんあって、今の仕事も大好きです。
私は二足のわらじなんですが、プライベートの好きなことを形にしているので、高校時代から好きなモノが今も好きですし、お仕事関係の友達もいるのでキライにはならないと思います。
― 勤めていた頃と比べてお金はどうでしょう?
れんげそう渡部
勤めていた頃と比べると収入は半分くらい。
ただ、サラリーマンとは違う得るものがたくさんあるので、皆さんも起業するならどっちをとるかだと思います。また、サラリーマンと違い一生懸命しないと収入にはつながっていかないということは実感しました。
友達と久しぶりに会ったら「サラリーマン時代には私もこんなこと言ってたな…」とか思っちゃったりして、そんなことを言えない自分だったりもするし、言わなくなった自分は人間的に成長できたかな…と思います。
― そんなこととは?
れんげそう渡部
愚痴とか仕事に関するしょうもないことです。今なら「どうでもいいや」と思うこともサラリーマン時代はメインの話題だったりしましたし。
肩の力を抜いて考えたら、別にそこはこだわるところじゃなかったのかな?というようなところにサラリーマンの頃はこだわっていましたね。
みるりぼん 松村
私は前職では愚痴を言う時間もないくらい忙しかったんですけれど、今はなんだかんだ言って毎日楽しい楽しいと言っています。
働いている時間としたら、営業時間はすごく短いんですけど、メールも電話もきますしけど、臨機応変な対応があるので…ただ、自分の裁量で自由にできるのは自営ならではだと思います。
お金の面では今はどんどん投資する段階で、1年の予算を組んで計画しています。最終的な目標の数字をみながら、投資の段階なので今年の1月は赤字です。
― 起業に踏み出したキッカケは?
れんげそう渡部
先ほども少し話しましたが、子育てが終わって「この会社にいる意味はなんやろう?」と考えたのがキッカケです。
子育て中は「生活のための仕事」のなかで充実感を求めて働いていたんですが、子育てが終わった時「これからもしんどい思いをしてここにいる意味があるんかな?」と考えたのがキッカケになりました。
みるりぼん 松村
20年間くらい「なんとなく自営業するようになるんだろうなぁ」とは考えていたんですが、お店を開くまでは勝手にどんどん仕事が来て必要とされていたんですね。
で、必要とされていることが嬉しくてそれに応えたいな、といろんな企業さんの仕事を受けてきました。
前職もいい会社だったんですが、起業を相談すると「それもいいんじゃないか」と会社が言ってくれたのもキッカケになりました。
ビートブティック 山田
キッカケは60年代の音楽を聞きに行くパーティーに行っていたんですが、みんなワンピースはある、靴もある、バッグもある、ただアクセサリーがないな、と気がついて。
― 枚方を仕事場にした理由は?
れんげそう渡部
私はすごく直感人間で、あまり深く考えなくて。深く考えたことはだいたい失敗するんですが…(笑)
れんげそうの場所は牧野駅から徒歩15分の立地なんですが、十何年前にはじめて牧野の駅に降りた時に穂谷川が流れていて、「とってもキレイやな…私ここでお店するかもしれん」と思ったのがキッカケです。
その頃はサラリーマン時代で、お店するなんて考えたこともなかったし、それから十年以上牧野の駅に降り立つことはなかったんです。でも「お店をするなら牧野」とはずーっと思っていました。
創業実践塾に参加して、車塚にある輝きプラザきららに通うことになったんですが、私の大好きな穂谷川の横を通って通うことになったんです。そこを毎日歩けるようになって、たまたま今のお店が見つかって。
今も毎日穂谷川の横を自転車で通っていて、とっても楽しいです。
みるりぼん 松村
私も同じく直感で「鍵屋別館空いているな。なんかいいな」というタイミングで募集がかかったんです。
東京で仕事をしていた頃、枚方に帰ってまた東京に戻るときに手土産に困りまして。今日も配られている「呼人堂の暁」をよくお土産にしていたんですが「毎回同じものも…」と思い、ほかにも枚方にいいものないかな?と思ったんです。
それで枚方のお店を色々周ったら「いいものあるな」と思って。自分も何か枚方から発信できないかな?と思って「直感」と「枚方」にこだわりました。
ビートブティック 山田
職場が京都というのもあるんですが、枚方は地元の米子にすごく環境が似ていたんです。
大きな川が流れていて、人もおだやかで、治安も良くて…いいな、住みやすいな、ということで枚方に住んでいます。
みるりぼん 松村
どんなお店をされるのかによって、インターネットの必要性は変わってくると思います。
整骨院をやっている友達がいるんですが、ラジオ体操しているおじいさんおばあさんにチラシを配りに行くのが一番効果的だと言っていました。
業種業態によっては必ずしもインターネットは必要ではないかなと思います。
ビートブティック 山田
SNSをされるなら絶対に個人のアカウントとは別にお店のアカウントをとられた方がいいと思います。
会社にも迷惑がかかるかもしれませんし、個人のアカウントは友達までに範囲を限定して、ブランドの方は色んな人に見てもらわないといけないので、そっちは開放して…と使い分ければいいかと思います。
― ビートブティック山田さんへの質問
自分が作りたいものとお客様がのぞんでいるものにズレがあるんですが…自分の作りたいものをつらぬくべきでしょうか?
ビートブティック 山田
過去に80年代のファッションを取り扱う店から依頼を受けてやってみようとしたんですが、どういうものが80年代なのかイメージできなかったんで、試行錯誤した上にお断りしたんです。
でも実際お客様とお話をして、個人的にオーダーを承ったりはしています。
全てを断ると販売のチャンスを失ってしまうので、可能な範囲で柔軟な対応をするのがいいかと思います。
― れんげそう渡部さんへの質問
初期投資が大きかったと思うんですが踏み切った時の気持ちは?
れんげそう渡部
れんげそうのお菓子は、たくさんの通りがかりの人に食べて欲しいというよりは、心をこめて一生懸命作っているので、私のお菓子をわかってくれる人に食べて欲しいという思いがあります。
「私にしかできない私のお菓子を食べてもらいたい」と思った時に、駅から遠い所をわざと選んだのではなく、私らしくできる場所がたまたま現在のお店の場所だったという感じです。
投資はものすごくしていますし、今、回収を頑張ってしようという感じです(笑)。
思い切りはものすごくいりました。
一歩踏み出してしまったら後戻りという選択肢はないので、目指すところへいかにブレないでいけるか…というただ一点だけだと思います。
― これからやりたいことは何でしょう?
れんげそう渡部
将来的にはお店がありながら、お菓子の楽しさを色んな人に伝えていけるような仕事に自分がシフトしていきたいなと思っています。
れんげそうというお店をベースにしながら、こんな面白いこともやってる、という将来を想像しています。
お店で楽しいことをお客様と発信していくことができれば、そういう所にたどり着くんじゃないかと思っています。
みるりぼん 松村
私もお店を拠点に色んなことをやっていきたいです。
もっとおせっかいなおばちゃんになって、もっとアーティストやクリエイターのみんなをプッシュできる存在になっていけたらと思っています。
ビートブティック 山田
ブランド名がビートブティックなんですが、アクセサリーから入って、小物、そしてワンピースなどを取り扱ったりという実際の店舗をもつという夢を持ってこのブランドを立ち上げています。
(アンケートより一部抜粋)
好きな事を仕事に出来た事を改めて幸せに感じ、今後もワクワクすることが大切だと感じました。
自分の持つ悩みは、他の人も持つのだなということを感じました。
自分のこれからの活動のイメージのヒントになりそうだと感じました。
始める前に参加できてよかったです。
子育てや家庭を言い訳にしてSNSをサボっていたのでもっとがんばろうと励みになりました。
コンセプトやネット利用する事の大切さを感じました。勉強になりました。
大変共感しました。沢山の方が来られていて、良い刺激になりました。
生まれ育った枚方がますます好きになって創業を実現できればと思います。
結構具体的なことまでお答え頂けて良かったと思います。
やはり最初の1歩が大切だと感じました。勇気を持ちたいです。
枚方市立地域活性化支援センターでは様々なイベントや講演会を開催されています。
また、れんげそうの渡部さんも出身である創業実践塾で開講されています。興味のある方は是非お尋ねくださいね!
最後に今回のゲストスピーカーの皆さまを改めてご紹介して記事を締めくくりたいと思います。
3名のゲスト・スピーカーの皆さま、ありがとうございました!
渡部 人美 さん(菓子製造・販売)
パウンドケーキやクッキー、パイなどの焼き菓子もたくさんあります。店内で飲食も出来ます。
先日「たべくら部」でもご紹介した「ひらのは」もこちらで作られています。
くずはモールや五六市などのイベントにも出店されています。
Happy Halloween!見て歩いて嗅いで食べて聴いて、くずはモールでハロウィンを五感で満喫してきた【ひらつー広告】
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お次は、
みるりぼん
最後は、
Beat Boutique (ビート ブティック)
店舗は持たずに、ネットショップやイベント出店で販売されています。
山田さんは店舗は構えられていませんが、枚方市内にお住まいです。
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