枚方市駅前に枚方T-SITEがオープンして約半年がたちましたが、それに続いて今後枚方市駅周辺がどのように変化して行くのか!?気になっている方も多いと思います。
そんななか、11月26日(土)に「枚方市駅周辺まちづくりシンポジウム」が枚方市及び北大阪商工会議所主催で開催されました。
定員が100名だったのと土曜のお昼だったので、『行きたかったけど行けなかった…』という人もたくさんいらっしゃるかと思います。おさや@ひらつーが参加してきましたので簡単にはなりますがレポートします!
(※クリックで拡大)
(会場)
枚方市駅周辺では、中心市街地として魅力あふれ、賑わいのあるまちとなるよう、再整備に向けた様々な取り組みを進めています。また、平成28年10月に行政と多様な関係機関・事業者が連携して、枚方市駅周辺活性化協議会を設立し、市駅周辺の活性化に取り組んで行きます。そこで、今後の市駅周辺のエリアマネジメント(協働のまちづくり活動)について考えるまちづくりシンポジウムを開催します。(ポスターより)
まずはじめに、枚方市駅周辺の再整備に向けての今年の動きを枚方市HPから抜粋しておさらいします。
2016年7月1日(金)
枚方市駅周辺の将来イメージについて発表される(枚方市HP)
2016年10月13日(木)
枚方市駅周辺活性化協議会が設立される(枚方市HP)
2016年10月27日(木)
枚方市と京阪ホールディングス株式会社と株式会社ソウ・ツーが三者協定を締結(枚方市HP)
枚方市は、京阪ホールディングス株式会社、株式会社ソウ・ツーとの3者で、枚方市駅周辺再整備の早期実現に向けた相互協力に関する協定を締結。
(枚方市提供写真)
という流れを経て、枚方市駅周辺活性化協議会の目的でもある官民連携したエリアマネジメントの推進に向けた取り組みとして、今回のシンポジウムが開催されました。
“官民連携したエリアマネジメントの推進 “ってなんだか難しく感じますが、簡単に言うと、行政と民間で協力しあって一緒にまちづくりを進めて行きましょう!ということです。
前置きが長くなりましたが本題に入ります!
近年枚方市外への転出が増え人口が減少し続けています。枚方市に活気を取り戻すために『人が集まるまちづくり』に重点を置いて今後も取り組みたいと考えています。今回のシンポジウムは駅前を考える貴重な機会として大いに活かしていきたいです、というお話でした。
▽続いて、同じく主催の北大阪商工会議所の北本会頭、来賓で大塚議長からも挨拶がありました。
(北大阪商工会議所の北本会頭)
京都と大阪の間にあり古くから栄えてきた枚方ですが、近年まちににぎわいを取り戻すべく市駅周辺の再開発を求める声が高まってきています。今日は先進事例から学び、今後住みたいまちにして行けるよう取り組んでいきたい、とのことでした。
(枚方市議会の大塚議長)
枚方市の顔は枚方市民のみなさんですが、枚方市駅はその枚方市の玄関口として、今後更に魅力あるまちにするべく、駅前の再開発は重要な課題です。というお話でした。
実際はたくさんの文献や事例、写真などもご紹介いただき具体的でわかりやすいお話でした。
「エリアマネジメントによるまちの魅力創出」
第1部の基調講演の講師は、法政大学の現代学部・人間社会研究科教授で、全国エリアマネジメントネットワーク副会長の保井美樹(やすいみき)氏。
テーマは『エリアマネジメントによるまちの魅力創出』について。
保井氏:今日は東京から来ましたが、枚方市は生駒の山並みが見えて淀川があって、地域資源に恵まれた豊かなまちだと感じました。
まずは枚方のことから確認です。
・大阪府全体で人口減少が進んでいる
・枚方市も近年は減少が続いている
・唯一、駅前など利便性の高いエリアでは人口増である
パワーポイントにひらつーの写真が出てきてびっくり!(光栄です!笑)↑右下
枚方市役所のデータによると、20〜30代の転出が特に多く、主に大阪市内・京都市内など関西圏内の都市・東京などに出て行っているそう。枚方市内に大学は多いけれど、その後までは続かないという現状。
それはなぜか?
暮らし続けるには“働く場所“が必要である。
でも今は大きな企業を誘致してくるような時代ではない。
もっと枚方市で働き、枚方市で暮らし続けるイメージを醸成する方策が必要である。
そのためにはまず再開発が進む駅周辺からスタートすることが重要。(←理由は後ほど)
すでに豊かな居住環境を持つ枚方市ですが、それをいかに実感し、暮らし方の質と多様性を高められるかが鍵となります。
“積極的に暮らしの質の向上を目指す市民”、”どんなまちを創るのかを能動的に考え、了解し、参加して行く市民”の厚みがあって、そういった市民間のつながりを広げて行くことが重要です。
文化・情報業界などの“クリエイティブな人財”ではないでしょうか。
(※”人財”は誤字ではなく”人材”と区別されています。)
例えば、情報・映像・映画・デザイン等の会社などの業界がそのような人を引っ張ってきて確保する。
・いろんな価値観があるまちであること
・多様な人たちが多様な暮らしをするまち
となることが必要だと考えています。
能動的に参加する人財の厚みとそのつながりがどんなまちをつくるのかを決める。
“パブリックスペース(公共空間=例えば、公園や広場など)”は、周りにもいい影響を及ぼします。民間に動きを与えるきっかけになるからです。地域側につながりをつくること。セクターを越えての取り組みは難しいものですが、行政も体制をしっかり整えることが重要です。
地域資源をどれだけ活かせるか、市民が実感し暮らし方の質を上げることができるか、と言うところにかかってきます。
また、地域経済の発展には人の”つながり”が重要です。
そのためには初対面の人がゆるやかに集う場所を作ることができればいいのではないでしょうか。
▷エリアマネジメントとは?
地域の未来を切り開く新たなソーシャルキャピタル(社会関係資本=絆)。
『行政』・『民間』・『市民』のトライアングルで地域に新しい組織をつくり、これまで出来なかった取組みを実現し、続けて行くための仕組みのこと。
均質化した(=どこも似ている)まちを個性豊かなまちにする。
行政と民間のパートナーシップでもって、地域の未来を切り開くつながりをつくり、目指すビジョンを共有し、得意を活かして協力し合って行く。
では例えば、エリアマネジメントといっても何に取り組むのかと言うと、
①エリアの将来を考え、ルールをつくること。
②エリアの財産を守り、使うこと。
③エリアの将来のために、自ら動くこと。
④エリアのなかまの絆を強めること。
と言うようなことです。
【(出典)「エリアマネジメント推進マニュアル」】
それがエリアマネジメントです。
かつて、『公共=行政』だった日本。
最近はようやく、まちづくり協議会やまちづくり会社など民間が主体となってまちづくりをする動きが出来始めました。
今や行政が幅広く手厚く何でもやってくれますが、行政サービスを受けるだけでは社会は変わらないんです。新しいパブリック(=公共)が必要です。
しかしながら、継続するには『財源』が必要です。収益を生み出すこと、循環する仕組みを作ることが継続する上で、必要不可欠なのです。
エリアマネジメントの導入と発展は、まちが変わって行くときがチャンスです。
まちの再開発が連動しています。
つまり枚方市駅前周辺はまさにこれからがチャンス。
ですから、まちが変わる前に動かす仕組みを作っていくことが重要です。
そのために、逆算して考えること!
市駅周辺が良くなるにはどうすればいいか?
アイデアを出しあって、ローカル人財(元からの住民)がグローバル人財(外の人)をひきつけることが必要です。
まちを構成する人は、大きく4種類にわけることが出来ます。
①マネージャー:エリアマネジメントの担い手。ビジョンを持ち、人や組織の関係を構築し、まちを変える新たな事業を起こす。
②プレイヤー:コト起こしをする人たち。まちに新しい経済・社会活動を生み出す。
③サポーター・ファン:企画に参加し、支援し、見守り、何より楽しむ人たち。
④住民・ビジター:まちを楽しむ人たち。
これらの人々が緩やかに組織化し、エリアマネジメントの組織とともに継続的にイベントや学習会等でつながりをつくっていくことでさらに新しい試みが起こるようになります。
パブリックスペースを人の営みの空間に変えて行く、実践を伴う時代です。
そのような理由から、今、エリアマネジメントが重要なのです。
ちなみに時間の関係で割愛された分もありますが保井氏からのお話の中で、
その1「アイデア力を高めましょう。
枚方市駅周辺で、活用の可能性の高いパブリックスペースの活用方法を話し合ってみましょう。」
その2「妄想力を高めましょう。
将来の枚方市駅を想像し、そのパブリックスペースでどんな楽しい一日を過ごせたらいいか、お互いつぶやいてください。」
という課題が出されました。
みなさんはどのように考えますか?
人任せにせず、一人一人が考えて行くことが大切ですね。
「エリアマネジメント」という言葉は、これからの枚方のまちづくりにおいても重要なキーワードになってきそうです。
①札幌駅前通地区「まちのにぎわいと広場のヒミツ」
続いて第2部は、まず札幌駅前通地区の広場等を活用したにぎわいづくりについて、札幌駅前通まちづくり株式会社の白鳥健志さんより事例報告がありました。
写真や図解を用いての、具体的で分かりやすく、楽しいお話でした。写真などは掲載できないので概要だけご紹介します。
私たちはNPO・社団法人・株式会社のなにがいいのか?と言うところで株式会社を選択しました。
・自主的に財源を生み出しながら経営する
・収益事業をまちづくり活動にすべて充てる
・株の配当はなし
というやり方で回しています。
主に駅構内の壁面を使っての広告事業などから収益を生み出しています。
エリアマネジメントは誰のために行うのかをいつでも意識しています。
まちに住む人・活動する人が住みやすい、暮らしやすい、働きやすいようにするために行う。
というわけで、まちづくり会社はまちの世話役でありたい、と考えています。
まちの主役はそこに働くビジネスパーソンです。
だから、
・育児施設の整備
・体力維持施設
・知識を高める機能施設
・交流の場をあつらえる
というような機能が必要です。
今後は、ビルの建替え・リノベーション・創造の場づくり・情報の受発信・まち施設の運営・テナント誘致なども行って行きたいと考えています。
▽もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
②竹芝地区「竹芝地区周辺のまちづくりについて」
続いて、東京都港区竹芝地区のまちづくり協議会設立までの経緯などについて、竹芝地区まちづくり協議会の田中敦典さんによる事例報告が行われました。
竹芝地区の歴史から、2014年から始まった官と民が一緒になってつくるまちづくり協議会の今までの経緯や変化を具体的にお話しいただきました。
田中氏の発表でも写真や地図を用いて、具体的で分かりやすいお話をしていただきました。
エリアマネジメントはハードだけではなくソフト面も大事です。
まずは地域資源を知ること。そのために協議会のメンバーと一緒に視察して回ったり、一般市民も参加して互いに交流できるようなイベントを開催したりしています。
そしてその中でお互いが顔の見える関係になり、コミュニケーションを取れるようになったことで、まちをもっとよくしたいという前向きで、よいサイクルになり、まちの空気感が変わりました。
また、デジタル×コンテンツ分野の拠点形成に向け、2015年に慶応大学の教授を中心として複数企業と協議会を設立しました。その協議会では、研究開発と人材育成・起業支援・ビジネスマッチングと情報発信・事業拡大を行っています。
▽もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
以上がそれぞれの先生の講演でした。
質問①:先ほどの札幌の事例は「面」のまちづくり、竹芝の事例は「軸(縦)」のまちづくりだと感じました。枚方の場合は、「面」か「軸」どちらのまちづくりを目指すべきだと考えますか。
回答:
▷保井氏:エリアマネジメントとしては「面」として取り組むべきだと考えます。面を大事にしながら縦の事業者を巻き込んで、まずは知り合いになるところからはじめることが大事だと思います。
質問②:まちづくりにおいて、『プレイヤー(コトを起こす人)』になりたい人はいても、『エリアマネージャー』をする人はなかなかいないと思いますが、どうすればいいでしょうか。
回答:
▷田中氏:行政の中にいた志が高い人でしょうか(笑)(注:2番目の発表の札幌の白鳥氏は元行政の人なので、白鳥さんのことを言っています)
企業の場合は、異動があるからおもいが続かないので難しいというのは感じています。
▷白鳥氏:誰のためのまちづくりか・暮らしやすいまちをどうつくっていくかと言うことが大事です。
早くそう言う組織を作り上げることでしょうか。「土地の人(=その土地の住民)」・「風の人(=外からやってきた人)」と言いますが、必ず土地の人がならなければいけないと言うわけではないので柔軟に考えてみることが大事かと思います。
▷保井氏:田中さんがおっしゃるように思いがつながらないので異動がある企業の人たちは難しいです。
となると、長く支えてくれる組織が必要なので、まちづくり協議会を出来るだけ早くつくることですね。
アメリカでは、まちづくりの担い手として適任は『オールドマンorヤングレディー』と言われています。
社会の酸いも甘いもわかる、退職近い年齢の男性。または、やりたいことがあってエネルギーがある若い女性。やりたい人・支えてくれる人を何としてでも見つけてくることが重要です。
以上、簡単にはなりましたがシンポジウムのレポートでした!
と、ワクワクするお話をたくさん聞くことができました。
道路をつくったり橋を架けたりと言ったハード面の整備は一般市民の私たちには出来ませんが、ソフト面でのまちづくりへの参画は少しの日々の心がけ次第でできるものです。
「誰かがやってくれるだろう」と無関心になるのではなく、自分ごととして捉えて、考えて、参加できるところがあれば積極的に関わって行くことが必要だと感じました。まちは人が集まって出来ているものだから、一人一人の意識が変わればきっともっとよりよいまちになって行くのだと改めて考える機会になりました。
枚方がどんなまちになったら楽しいでしょう?
まずは考えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
◆関連リンク
・枚方市都市整備部まちづくり推進課