ー 昨年のとある秋の日、枚方つーしん宛にこんな情報提供が来ました。
合法的・・・?なんか怪しい・・・!
これこれかくかくしかじかで・・・
え、それめっちゃおもろいやん!?いくいくー!
え〜、かる〜!話はやっ!
鈴木さんってどんな人やろ?
ね〜、農家でもないのに自分でぶどうから育ててワイン作るってだいぶすごいですよね…
(絶対変わってる・・・!!間違いない!!)
ー 待ち合わせは15時。どんな人がワイン作ってるのか不安でビビって早く着きすぎてしまったので、それまで杉のまちブラをすることにしました。
大西さん:杉って車で通るだけで、歩くの初めてやわ〜。
にしても何もないな〜!笑
と・・・
そこで見つけた、・・・恋!?
いやいや、バレンタインは終わりましたし。
大西さん:あ、鯉がいる!
こちらの施設「京阪錦鯉センター(公式サイト)」の中は釣り堀になっていて、たくさんの親子連れのお客さんがいました!中で鮮やかで大きな錦鯉がたくさん泳いでいました。
鯉の地方発送も取り扱っているようです。これはかなり面白い発見。こんな場所があったとは知りませんでした!また改めてゆっくり取材に来たいです!
ー そろそろ15時になりそうなのでのんびり引き返します。
不安と期待が半分ずつ・・・。
あ、どうもどうも。初めまして!
こちらの男性が今回情報提供をくださった鈴木さん。枚方で自らぶどうを育て、ワインを作っている人。
(意外と普通だった〜!!)
そしてこちらの男性は鈴木さんと一緒に来てくださった大阪ワイナリー協会の天羽(あもう)さん。
天羽さんはいろんなことがあって、昨年急遽ワイナリーのオーナーになってしまい、ワインを作ることになってしまったという希有な大阪のワイン醸造家さん。
ー すでにしっかり取材のスタンバイしていただいてました!
我々が恋・・じゃなくて鯉に夢中になっている間に。笑
農園名は「りころファーム」!
(枚方杉リコロファームFacebooページ)
鈴木さん:私の農園の「りころファーム」という名前の由来は『リサイクルエコロジー』です。略して「りころ」。
鈴木さん:これで10坪くらいですね。これくらいだと自分が好きな土に出来るのでちょうどいいです。
鈴木さん:土は弱アルカリ性で、PH7.5ぐらい。今は冬剪定が終わったところなのでなにもないですけど、シーズンはここで10本4種類のぶどうを育てています。この畑のぶどうは3年目の苗です。実は家で育てている方が多くてそちらは5年目。両方合わせて最大8種類30本ですかね。
例えばピノノワールとベリーA(←それぞれぶどうの品種)の交配をしてみたり、っていう実験的なこともしています。
土をより良くするためにクローバーが植えてあります。土づくりにもこだわりがあることが伝わってきました!
鈴木さん:いやそれがね・・・
鈴木さん:実は昔はラーメンにハマってたんです。
もともと僕はラーメンブロガーで、アメブロで1位も取ってたんですよ。
でも諸事情でブログはやめました。
で!僕はラーメンとワインって似てると思っていて。
大分類があってラーメンで言う、みそ・とんこつ・しおなど。
ワインだと白・赤・ロゼ・スパークリングですよね。
ラーメンで言う「こってり」がワインの「フルボディ」、「あっさり」が「ライトボディ」。
そしてそれぞれ地域性があって・・・・・・
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大西さん心の声:
(うん、やっぱりちょっと変わってるかもしれへん(笑))
鈴木さん:説明しやすいように資料を持ってきたんですけど・・・
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大西さん:すごいこだわりがあるんっすね!!
ー 大変丁寧に、詳しく教えていただきました!
要約すると、大好きなラーメンでしたが極めるには限界があると感じていた鈴木さん。どうしたものかと思っていたら昔から大好きだったワインも極めがいがあるのではと気付き、ワインに手を付けはじめたそう。
すると案の定ハマって、飲むだけでは飽き足らずついには自分で作りたくなって、独学で勉強したり週末にこのあたりの有名なワイナリーに通って教えてもらい、ワイン製造のノウハウを身につけ、今に至るんだとか。
▽ワインについては言葉で説明するより写真を見ていただいた方が早いので、ざっくりワインが出来るまでの流れをご説明します!
(デラウエア/リースリング/サペラヴィ/キャンベルス、他)
委託醸造するのに足りないぶどうは神宮寺のぶどう園やワイナリーにわけてもらって補ったそう。ちなみに、枚方市で栽培したぶどう(シャルドネ&デラウエア)はそのうち約3割使用。
大西さん:趣味でここまでできるって、本当にすごいです。
大西さん:ワイン作る上で、何が一番大変でしたか?
鈴木さん:虫と病気が本当に大変でした。だから、農薬にめっちゃ詳しくなりましたよ。なんでこんなにか弱いねん!って。夜見に来たら虫が大量についてたりして・・・1匹1匹つぶして行くんです。俺なにやってんねんやろって思いましたよ。
大西さん:ワインって優雅なイメージやけど、実際育てている方の話を聞いたら、本当に大変なことですよね・・・。
まだ誰も酔ってないはずなのに、3人ともワインについてのマシンガントークがスタートします。
ワインマニアにはたまらないけど一般庶民にはほとんどなんのこっちゃわからない専門用語がびゅんびゅん飛び交いまして、説明すると大変長くなるので、いくつかのポイントだけ書きます!
どうしても詳しく気になる方は、大西さんの「ワイン大楽」に入会するか、大西さんが主催するイベントなどに参加して、直接質問してみてください!
▽では以下、豆知識的に参考にしてもらえたらいいかなと思います
★ワイナリーでも製造工程に対して許可をもらう必要がある。(特に発泡ワインは難しい。)
その土地で作られたぶどうが85%以上の割合を占めていないと「○○産ワイン」とは名乗れない。
2年目で実はなるがまだまだ小さい。
3年目でちゃんとしたぶどうになる。
5年目で重さが出てくる。
10年目でしっかり美味しくなる。
だいぶんはしょっていますが、ざっくりこんな感じでした!
(30分ぐらい話していたかな?笑)
マシンガントークが落ち着いたので、そろそろ飲みましょう!
ちなみにこの猫のキャラの名前は「アニマルバリニャン」というそう。鈴木さんが働いている会社のキャラクターです。よく見たらぶどう持ってる!!
鈴木さん:まだまだ今後につなげていきたいということで、ワインの名前は、
NEXT TO「…」
にしました。本当は「NEXT YO YOU」=「あなたのそばに」って言う名前にしたいんですが、まだ未完成のワインなので、あなたが好きに決めてくださいということで「…」としています。
バックは「コンクリート」模様になっています。自分の中で『理想のワイン』が完成したら「木目柄」にしたいと思っています。
ー 早速鈴木さんに注いでもらいます!
ズーム。
グラスに夕焼けと田んぼが映っていい感じです。澄み渡った美しい透明!
『RICORO FARM NEXT to 「. . .」2016』
淡いイエローの色調。白い花やりんごのような、ほのかな甘みを感じるチャーミングな香りがグラスから昇ってきます。
ワインを口に含むと、思ったような甘みは感じず飲みやすい辛口スタイル。おもしろいのがほのかに感じる渋み。この渋みがワインに骨格を作っているので、ワインの構成要素としてはかなり重要な要素だと思います。
ぶどう品種は、シャルドネ80%、デラウェア20%。海外のシャルドネ種を使ったワインというとコクがあり、パワフルなワインが多いですが、このワインは繊細でとても日本的。
とてもピュアで、ワイン自体は海外のワインのようにグイグイ前に出てこないので、お料理を引き立てるようなワイン。おばんざいなど和食との相性も良さそうです。
少し宮之阪ワインとスタイルが似ている気がします。
鈴木さん:私的には、ろ過をしすぎて個性が飛んでしまっている印象なんです。基本的に全てをお任せするかたちで委託醸造を受けてもらっているので、細かいところまで作り方を指定するのに遠慮してしまって・・・。
今年は天羽さんに委託醸造をしてもらう相談をしているのでまた違ったワインになると思います。
味の方向性としては、骨格がしっかりしていて無ろ過でクセのあるワインを作りたいと思っています!
大西さん:なるほど、いいっすね〜。100%枚方ワイン!ぜひここで作ってほしいです!
ところでお酒を造る技術って門外不出だと思うんですけど、どうやって作り方学んだんですか?
鈴木さん:そうなんです!実際にワイナリーに行っても、作り方の肝心な部分は素人になかなか教えてくれないんですよ。
栽培の方法については最初は独学でしたが、「NHKの『趣味の園芸 ブドウ』って本が教科書だ」と、某大阪のワイナリーの栽培長に教えてもらい、それで基本を学びました。その後はワイナリーに実際に農園やワイナリーに手伝いに行って、足りないプラスαの技術を学びました。
家のベランダで洗濯物を干すスペースを奪いながら栽培を始めて、今は省スペース&日当たり確保の意味を込めて、「行灯(あんどん)仕立て」っていうやり方で、朝顔を育てる感覚でぶどうを育ててます。めっちゃ簡単なんですよ!
大西さん:なるほど〜、そうなんですね!
ー で、飲むと何かアテが欲しくなりますよね!
グラスの奥に見えている食べ物は・・・
鈴木さん特製、塩麹をたっぷりつけていぶした塩麹チキンと薫製チーズ!!
強い目のスモーキーな香りがいい感じ!めっちゃワインと合います。
こちら、なんと!!
デラウエアという品種のぶどうの木のスモークでいぶした薫製ですって!!凝ってますな〜!
おさや:(笑)
ー 続いてこちらは天羽さんが今年初めて作られた無ろ過のワイン!(詳しくはこちら)
「NICORI(ニコリ)」の赤と白。
(天使の羽ワイナリーFacebookページ)
「にごり」と「にこり」をかけてるんですね!
また、ラベルは天羽さんのステキな笑顔をイメージしているんだそう。
確かに似ています〜天羽さんの人柄が伝わってきます。
ー よく見ると白濁しているのがわかります。沈殿しているものを「おり」と言います。
通常はおりが入らないように作ることが多いですが、天羽さんはあえてろ過しないで、おりを残して作られています。
天羽さん:日本のぶどうのおいしさを突き詰めると「にごりワイン」にたどり着きました。素材を大切にしたいと思っています。
トクトクトク・・・
ぶどう(デラウェア)・内容量750ml・アルコール分11度
『NICORI2016(赤)』
ぶどう(マスカットベリーA・コンコード)内容量750mlアルコール分11度
まるで液体の宝石。美しいルビー色。
渋みは隠れていて、ほとんど感じないので、飲みやすい赤ワインがお好きな方にはおすすめかも!ホワイト同様、とっても人懐っこいワイン。
個性やパワフルさは無いですが、家庭料理に合わせやすいすてきなワインです。
鈴木さん:家飲みには濃いのよりも薄い方が飲みやすくていいですよね!これくらいライトであれば1杯目から赤でもいい感じ。
天羽さん:できればこのワインを年5,000本つくりたいんです。ワイナリーとしてちゃんとしたいのでね。それにはあと2,200本増やさないといけないから、倍作らないとだめなんですよー。
大変ですけど、でもがんばります!!
大西さん:今まで「日本のワイン」のイメージってあんまり良くなかったと思うんです。でも最近は個人経営でこだわって作っているワイナリーが増えてきて、なんていうか日本の繊細さが出てきてて、すごくよくなってきましたよね!応援したいと思います。
天羽さん:昔は単一の大手のメーカーが大量に『同じもの』を作っていたので、きっとそこに難しいところがあったと思うんですけど、最近の個人経営のワイナリーが良くなってきているのは嬉しいですよね。
ー そしてみんなが気になっていたラベルがついていない右の赤いボトル。
こちらは鈴木さんが育てられた「ピノノワール」(80%)と「ベリーA」(20%)(それぞれぶどうの品種)を絞ったもの。ワインではなくジュースなんです!
「ピノノワール」って育てるのがめっちゃ難しくて、大変貴重なぶどうだそう。それを贅沢に使っています!
大西さん:せっかくなのでこちらもいただきますっ!
『RICORO FARM ピノノワール&ベリーAジュース』
綺麗なルビー色。このジュースはかなりオモシロイ!
マニアックな話をすると、スペックが素晴らしすぎる!かの世界一高価なワイン、ロマネコンティのぶどう品種と同じピノノワール種と日本固有品種マスカットベリーAをブレンドした豪華な内容。
ピノノワールのぶどうジュースは本当に珍しい!糖度がそれほど高くないので甘すぎず、とってもバランスが良い味わい!ノンアルコールワインの代わりとして、ドライバーのためのワインとして重宝するかも(笑)
ピノノワールの高貴なニュアンスがしっかり残ったユニークなワイン風ジュースです!
大西さん:これからもっとぶどう畑を作るとしたら、枚方ですか?
鈴木さん:そうですね!それはもう枚方に作りたいです!
商売にするにはまだまだ足りないですけど「100%枚方ワイン」はやろうと思えば出来る環境です。なのでちょっとずつですけど、たくさん作って行きたいですね。ワインづくりは楽しくないと出来ない!
天羽さん:そうですね、ワインづくりって体力勝負で大変ですけど、渦を巻いていい香りを出して発酵している様子を見ていると、ほんとにほっこりしてきます。あぁ頑張ってよかったなって。
大西さん:「100%枚方ワイン」と名乗れるものをこれから作ってほしいですね!応援してます!
鈴木さん&天羽さん:もし興味を持っていただいた方がいらっしゃったら…励みになるので僕たちのFacebookページに「いいね」をお願いします!!
▶︎枚方杉リコロファーム(Facebookページ)
▶︎天使の羽ワイナリー(Facebookページ))
・・・と、はじめはビビりながら行った取材でしたが、鈴木さんと天羽さんと大西さんがワインについてひたすら語り合う、真冬のアツい屋外ワインバルの会となりました!!
「ワインを製造する」って本当に大変なことなのに、それを1人で地道にコツコツやっている人が枚方にいたなんて、驚きでした!まだ量が少ないので販売は出来ませんが、マジメでこだわりを持って、何よりも「ワインが大好き!」という鈴木さんですので、きっといつか必ず「100%枚方ワイン」を完成させて発売されるのかなぁと、思いました。
「枚方ワイン」の名前が『NEXT TO YOU』になったとき(=鈴木さんなりに枚方ワインを完成されたとき)には、ぜひまた取材に呼んでいただきたいです!!
鈴木さん、天羽さん、ご協力いただきどうもありがとうございました!
〜おまけ〜
トークは激アツでしたが、長時間寒いところにいたので身体は冷えきってしまいました。
う〜、さぶかった〜〜〜!!
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