枚方市立地域活性化支援センター主催、お茶しながら起業についてのリアルな話が聞ける
第6回ひらかたビジネスカフェ
が、2016年11月27日(日)に鍵屋別館の4階のひらばで開催されました。
『ネットショップ』という言葉は知ってるけど、「実際どうやって運営されているのだろう?」と気になる方も多いのではないのでしょうか?現在に至るまでの経緯やビジネスを成功させるための秘訣についてお伺いしました!
↓「第6回ビジネスカフェ」ゲストのみなさん
左から、
森本 茂樹さん(リアライズ・マーケティング株式会社)
植田 陽太さん(株式会社三吉)
藤原 一鶴さん(たまごボーロ専門店LeCoco)
です。
イベント中は、LeCocoさんのボーロバーとドリンクを楽しみながらお話を聴いていただきました♪
それでは、当日の様子を抜粋してご紹介します!
最初にお話いただいたのは、先日ひらつーでもご紹介させていただいた、たまごボーロ専門店LeCocoの藤原一鶴(もとつる)さんです。
今日は、僕がどのようにネットショップのスキルを学んできたのか自己紹介を兼ねてお話しながら、同業者である僕のネットショップ仲間の事例を挙げて、ネットショップの運営方法やビジネスとして成果を挙げるための工夫について知っていただければと思います。
僕は大阪の天下茶屋で生まれ、大学は早稲田に六年間通った後に中退しました。在学中は遊び倒し、「早稲田の恥」といわれてしまうほどやんちゃをしていたのですが、ありがたいことに大学内で僕を気に入ってくれる人がいて、その後大学職員として勤めることになります。当時は、業務のひとつとして起業支援にも携わっていました。
東京から大阪に帰ってきた時は全くのノープランだったのですが、当時からネットショップはおもしろそうだなと思っていたので、その後「キムチでやせる」というネットショップを運営している会社に転職し、主にシステム分野や事務的な仕事を担当しながら販売ノウハウを学びました。
19万点以上の商品が登録されている楽天では、年に4回「楽天市場スーパーセール」が開催されます。僕は、毎回「この難しい機会こそ、とことん売ったろう!」と意気込み、スーパーセールの期間中に1位を取り続けるという目標を立て、働いていました。
こうした努力が実を結び、楽天市場内や色々なところで商品や僕の名前が知られ始めたことで自信がつき、会社で学んだノウハウを生かして起業しようと考えるようになります。
思い立ったらすぐに動くという性格だったので、ここでもノープランでした(笑)。赤ちゃんのおやつであるたまごボーロは、客単価は何十円と低く、おまけにリピーターを付けようにも子供の成長に合わせてお客さんが離脱してしまうなど、ビジネスをやっていく上では非常に難しい商材です。
でも、僕はなぜか「難しい商材であればあるほど面白い!」、「まだ誰も成功していない商材でビジネスをしたい!」と思ったんです。これがたまごボーロという商材を選んだきっかけです。
商材の珍しさによって雑誌に取り上げられたのが1年目、テレビでの紹介が増えた2年目、そして3年目である今年は、ルクアや高島屋などデパートの催事に呼ばれるようになり、ネットショップの枠を飛び出して実店舗での販売が増えた1年でした。
これだけ多くのメディアからお声掛けをいただけたのは、すべてネットショップがあったからこそだと考えています。
↓たまごボーロ専門店LeCocoのネットショップはこちら
ネットショップで利益を上げるためには、ただ価格を下げるのではなく、他のショップとの差別化を図り、価格変動に対応しながらさまざまな工夫を凝らしていくことが大切です。
ネットショップは、果たして儲かるのかどうか・・。
僕は、工夫次第で儲かる!と考えています。
続いては…
★植田陽太さん(株式会社三吉)
株式会社三吉の植田と申します。僕はお二人とは違って起業したというわけではなく、会社の中のネット部としてショップを運営しています。
三吉に就職する前は、枚方にある関西外国語大学に在籍していましたが、4回生のときに「働きたい」と思い中退しました。
そして、枚方つーしんで「みつよしレンタル株式会社」のひらつー求人を見て応募し、採用していただきました。その年の11月に兄弟会社である「株式会社三吉」と合併して現在に至ります。
(植田さんが入社するきっかけとなった、ひらつー記事)
三吉は、主に「営業」、「卸し」、「ネット部」で構成されています。僕は会社が合併したタイミングでネット部に配属されました。取り扱う商材については、特にこだわりはなかったのですが、ネットで物を売ることに興味があったので、ネット部に配属された時は嬉しかったですね。
↓株式会社三吉のネットショップはこちら
ネット部は現在4名で運営しています。会社の方針としては、主に海外から大量に仕入れた商品を、楽天やAmazonなどで販売するという形をとっているので、先ほど藤原さんがおっしゃっていたように価格競争は非常に重要なポイントになってきます。
今日は、僕自身の話というよりは、ネットショップを運営する上での「価格」に焦点を当てながら、可能な限りオープンにご説明できたらと思っています。
まず、Amazonで売上が伸びるきっかけとなったのが、ひらつーさんでも何度か取り上げていただいたこちらの商品です。
(そんな使い方知らんかった!ただ座れたらいいんじゃない3244STOREのオフィスチェア!みんなで検証してみた【ひらつー広告】より)
販売から1年経った2015年、こちらの商品は強豪商品を抜きベストセラー1位が定着しました。
ただ今年の10月頃から競合商品が多く販売され始めたので、製造原価のコストダウンだけでなく、商品自体のクオリティーを上げて、できるだけセールなどの価格競争をしなくても売上を伸ばす方法を模索してきたいですね。
楽天で売上の山を作れるきっかけになった商品がこちらの商品です。
競合商品より100円ほど安く販売し、なおかつ送料のサービスをつけて対抗しました。
楽天は、Amazonと違って商品ページの中に別の商品を掲載することが比較的簡単にできるのも特徴ですね。チェアのページに、組合わせて購入してもらえるように、別の商品である座布団を掲載してみるとセットで売れて売上が増えました。
配送費用については、ネット販売をしていく上で必ずついてくるものだと考えています。
販売台数がしっかり増えていけば、運送会社との価格の交渉も可能になってくるのではと思っています。
ネットショップは初めのころは儲けにくいかなという印象かもしれません。しかし、色々なコストや広告費をできるだけ削減して利益を出せる商品を一つずつ増やしていけば、利益を出していくことできるのではないかと思います。
最後に…
★森本茂樹さん(リアライズ・マーケティング株式会社)
リアライズ・マーケティング株式会社の森本です。「今日何をお話しようかな〜」と考えてきたのですが、20分間という短い時間ですので、皆さんの知りたいことをお伺いして、そのトピックに沿ってお話していきたいと思います。
ネットショップを始めるにあたっての基本は「人、もの、金」の三つなんじゃないでしょうか。では、まず「人」に関するお話。どういう体制でスタートしたらいいのか聞きたい方いらっしゃいますか?
あまりいないかな?では「もの」に関するお話。どういう風にネットショップ開設していったら良いのか聞きたい方。
(聞きたいテーマに手が挙がります)
なるほど。では、お金。決済や在庫をどうするか聞きたい方も多そうですね。では、今日は「物」と「お金」に焦点を当ててお話していきます。
まず、「物」のお話から。一番よくあるのがAmazon、楽天か独自ショップどちらから始めたらいいですか?」という質問ですね。
一番初めにスタートさせるなら、高いお金を出して出店するのではなくカラーミーショップやフューチャーショップなどの無料コンテンツを使いながら独自ショップをオープンさせるのが良いのではないかと思います。
楽天の優れている点は、マーケティングですね。すでに買う気が満々のお客さんがたくさんやってきます。独自ショップの場合は、まずこの購買意欲を持ってもらうことからスタートさせなければならないんです。しかし、どちらが最終的に利益が出るかと聞かれれば、僕は独自ショップだと思います。
もちろん「ページ作成なんて私やったことないんですけど」という方も多いと思います。だけど、もう初めは気合でやるしかないですね(笑)一番初めは自分でやることがおすすめです。なぜかというと、自分でやらないと外注さんにも自分の思いやポイントを伝えられないんですよ。
写真も、フリーランスの方にお願いすればすぐに動いてもらうことができますが、こちらも最初は自分で撮ってみることをおすすめしています。
うちの会社のホームページの写真もほとんどスタッフが撮影していますね。最初は下手くそなんですけどだんだんうまくなってきます。うまくなってきたら外注さんにお願いします。
↓リアライズ・マーケティング株式会社のネットショップはこちら
あと最初のデザインは何でもいいです(笑)
なぜかというと、かっこつけてすごいのを作ってもお客さん来ないので、とりあえず無料でできるものでこしらえてしまうといいと思います。今の時代ほとんどがスマートフォンからのアクセスなので、デザインを凝ってもシンプルに表示されるのであまり意味がないかもしれませんね。
あとは、決済ですね。佐川急便さんやヤマトさんと契約するには一ヶ月ほど時間が掛かってしまうので、うちが最初に使ったのはゆうちょ銀行です。
決済の方法として代引き、クレジットカード、銀行振込があるのですが最初から全て整えようとせずに、銀行振込だけを整えていくのもおすすめです。銀行振込だとお客さんあやしんで振り込んで来ないんじゃないかと思うかもしれませんが、そんなことはないので安心してください(笑)。
それから、ネットショップを運営する上で大事になってくるのが配送。配送コストの問題がものすごくて・・。今は一時的に売上が減ってもいいから送料無料をやめようかと考えています。
今から変更するとなると配送業者さんの場合ある程度の数がないと交渉が難しいですね。これも、ゆうちょなどの郵便局だと少し高いのですが融通してもらえることが多いという印象です。
仕入れに関しては、オリジナルの商品を扱うのか、仕入れを扱うのかで全然変わってきます。
うちがネットショップを始めた時は、仕入れ商品からスタートしましたが、当然メーカーさんからは、元々の価格を守ってほしいと言われてしまうので、ショップとの競争が大変でした。
あとはオリジナル商品を作っています。今後は、どこかからものを仕入れて販売するというビジネスモデルが非常に難しい時代になってくると思います。
なぜかというと、ネットショップ業界では、ワンクリックで全ての商品の価格を検索することが可能です。つまり、ほとんど差別化ができない。そのため、返品を一年間受け付け可能にしたり、翌日配送などの「サービス」で差をつけていくしかないですね。
ネットショップをスタートさせて、初めて注文が入った時これはどうしたらいいのか。初めて注文が入るとドキドキしますよね。
システムが整っていない時代だったので、メールで注文へのお礼から、入金のお知らせまで全て手動でメールを打っていました。大変なのですが、最初は低予算でお金をかけずにスタートすることがおすすめです。
あと、あまり手があがらなかったのですが「人」もすごく大事です。
一人で始める場合は、気合しかないですね。自分で頑張ってやるしかない。でも、自分一人で全ての仕事をこなしているとマーケティングやその他のことに手が回らなくなってしまうのが難点です。
独自ショップはマーケティングがすごく大事になってくるので、一番やりやすいのは、自分とパートタイマーさんが一人いるのが一番ベストなのではと思います。
続いて第2部では、司会のカトゥー@ひらつーを加えてのフリートーク。
ー 売れ残りや在庫を減らすための工夫を教えてください。
株式会社三吉 植田さん
「僕の商材は家具なので、在庫は一見問題ないように思われるかもしれませんが、倉庫のスペースを占めてしまうのである程度の時期が来たら値下げはします。海外からの輸入の際にある程度の台数を予測しながら仕入れるようにしています。」
リアライズ・マーケティング株式会社 森本さん
「うちはマタニティー用品など、ある一定の時期が来ると必要のなくなってしまう商材も扱っていたので、在庫問題は本当に頭が痛くなりますね(笑)。
しっかり値下げをして叩き売りをする時は、別サイトに流す。その一方で、自分の独自ショップでは価格を下げずにブランディングを守るといった工夫もありなのではと考えています。」
ー 他のショップとの差別化やブランディングを図るために工夫したことを教えてください。
たまごボーロLeCoco 藤原さん
「とにかく、デザインややりたいことを妥協しないことにこだわってきました。僕は、出店する場合でもあえてお金をかけることで覚悟を決めて、進めてきたことが大きかったのかもしれません。」
株式会社三吉 植田さん
「納期にはとくに気にしていますね。大型商品であっても、日にち指定ができること配送の早さにこだわっています。家具など同じような商品が並んでいても、ちょっとしたこだわりの積み重ねで差別化を図れると思います。
レビューは『悪いことを書かれたらどうしよう。』という怖さはあるのですが、影響力があるのでこれからは増やしていきたいですね。」
リアライズ・マーケティング株式会社 森本さん
「そうですね・・。僕のネットショップ業界のメンターであるゴンウェブコンサルティングの権さんという方がこんなことを言っています。『集客ができないのは価値がないからだ。価値があれば集客は困らない。』もっともなんですが、難しいですよね。
でも、集客ができないという人に限って付加価値が出せていないケースが多いのでは思います。」
ー送料のつけ方が難しいです。例えば、1000円の商品を売るとなった時、送料はどのように設定すれば良いでしょうか?
たまごボーロLeCoco 藤原さん
「うちは、500円のたまごボーロに対して500円の送料を支払う方も沢山いらっしゃいます。北海道だと1000円の送料をいただいています。
ネットショップだけでなく、枚方から大阪市内に買い物に出かける際にも、皆さん1000円相当の交通費や時間のコストを払っていますよね。『この商品が欲しい、ここで買いたい』とさえ思ってもらえれば送料はそこまで問題にはならないと思います。」
ー クレームに対する対応の仕方を教えてください。
たまごボーロLeCoco 藤原さん
こちら側のミスでクレームが来るということは、それだけ期待されていたんだと考えるようにしています。だからこそ迅速に、ファンとして期待してくれていたお客さんに真摯に対応する。世の中で言う3倍返しですね。僕はクレームが来たらいっぱいお詫びの品を送ります!」
株式会社三吉 植田さん
「とにかく問題解決のために迅速に対応します。メールでのクレームより、電話の方が解決が大変だと思います。多少お金がかかっても長期化させず、すぐに対応するようにしています。」
リアライズ・マーケティング株式会社 森本さん
「うちの会社では、どんなクレームであってもすぐに返金します。昔は、不当なクレームと戦っていたんですよ。でも、そこで言い合いややり取りを続けると、電話を受けたパートタイマーさんも嫌な気分を1日引きずって仕事をしなくちゃいけないんですね。
だから、お客様と従業員みんなにとって、気分良く過ごせるようにすることを第一に考えています。今はどんなことがあってもお客様が正しいと考え、すぐに返金するようにしていますね。」
以上、ビジネスカフェの様子を抜粋してお送りしました!
枚方市立地域活性化支援センターでは様々なイベントや講演会を開催されています。
最後に今回のゲストスピーカーの皆さまを改めてご紹介して記事を締めくくりたいと思います。
3名のゲスト・スピーカーの皆さま、ありがとうございました!
★たまごボーロ専門店LeCoco
藤原一鶴さん
▶︎公式サイト
ネットショップやテレビ通販での食品販売を事業とする企業に勤め、楽天市場ショップオブザイヤーグランプリの受賞歴のある店舗の店長を担当する。※この賞は楽天市場の年間グランプリに該当。早稲田大学の職員として起業支援業務にも携わった経験あり。