枚方の知られているような知られていないような新たな魅力を発掘していくべく、枚方市役所と枚方つーしんがタッグを組んでお届けしている文化財シリーズ!!
枚方市役所×枚方つーしんで、枚方市内の知られざる文化財の魅力をお届けします。
これって、つまり一言で言えばなんなん!?
っていうのを枚方市教育委員会の文化財課の方に教えてもらうという企画です。
・・・が。
今回は番外編
2018年の1月、ちょうどアゼクラ遺跡(コマツ大阪工場に隣接する部分)の発掘調査をしてるところで、特別に中に入らせてもらえましたので発掘調査のレポートをさせていただきますっ
地図ではここ↓
古墳時代末期の横穴墓(おうけつぼ)群が発見され、2018年2月10日(土)に現地説明会が開催された場所です!もちろんひらつーの記事にもなっています(笑)
(「コマツ大阪工場付近のアゼクラ遺跡で重要な発見があったみたい。7世紀頃の北河内の墓制を根本的に考え直すかも」)
時系列が前後しますが、横穴墓が発見される前にアゼクラ遺跡の発掘調査現場取材に行っていたので、今回は横穴墓発見前の発掘段階の記事ですよ
さて、今回の登場人物はこの4名
川嶋さん
以前文化財担当部署に在籍していたとき、1月26日の文化財防火デーを担当していたが、この日が偶然にも交際中の彼女の誕生日であることを知る。
その運命的な出会い(?)から結婚したのが現在の奥様らしい。
枚方市教育委員会事務局文化財課
井ノ上さん
柔らかな雰囲気が魅力的。
丁寧でわかりやすい解説に定評がある。
井ノ上さんが社会科の先生だったらもっと成績良かったかも!
と思わせてくれます(笑)
枚方市教育委員会事務局文化財課
井戸さん
井ノ上さんの先輩。今回の発掘調査現場の担当者。
普段は説明会なんかも担当しているので、説明がわかりやすい。
井ノ上さんと同じく社会科の先生として出会いたかった!(笑)
枚方つーしん
くら@ひらつー
枚方生まれ、枚方育ちのアラサー。
約30年枚方にいた割に枚方については詳しくない。
好奇心は旺盛なので、きっかけがあれば楽しめるタイプ。
「枚方市の井戸です。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いしますー!」
「今日来ていただいたこの辺は「アゼクラ遺跡」っていう遺跡になっていまして、それの本格調査をしているところなんです。」
ちなみに、このあたりにある『粟倉神社』は『あわくら』と読みますよ。」
そうしたら、ここで遺構が出てきたんです!」
「そうなんですね!遺構が出てくるなんてスゴイ」
「へぇ〜、こんな設備あるんや!すごいなぁ!」
「え?何を考えるんですか??」
「このベルコン、すごく重くて簡単に持ち運びできないので、どの場所に置くかをしっかり考えないといけないんです。」
「なるほどな〜。確かにあれは動かしたくないわな…(笑)」
「奥から手前にベルコンをひきながら遺構を探す作業をしています。」
「私が指揮官なら、めっちゃ邪魔なところにベルコンを置いてしまいそう(笑)」
「今回の調査地は面積が広く、しかも縦長のためベルコンを置いてますが、ベルコンを置かない時もあります。
なので、調査で考えないといけないのはベルコンだけじゃないですからね。」
「今作業している作業員さんたちの足元のオレンジ色の地面、わかりますか?」
「えっ、奈良時代!?(えっと…何年前か分からんけどめっちゃ前やな…)
あ、あの段々は何か意味があるんですか?」
「今は奈良時代の地層まで掘り進んで、その地層の上面をきれいにしながら柱の跡とかの痕跡を探してます。」
「土を削る時は、こういう『ガリ』と呼んでいる三角形の草削り道具を使います。」
「ふむふむ。色々な道具があるみたいですが、どう使い分けるんですか?」
「削っていくと、ゴロゴロの石が沢山でてくるんですよ。だからこれだけでは取り切れないところがあるんで、『手スコ』っていうスコップ(移植ごて)を持って細かい土を取ってキレイにしたりします。」
「そして土がたまったらベルコンへ。」
「めっちゃ土器とかが出てきたら取材のしがいもあると思うんですが、まだそういう段階じゃないんですよ・・・。」(※2018年1月現在)
「いやいや、ここに入れただけでもめっちゃラッキーです!」
「いや〜、ホンマこれはラッキーやで〜。
ひらつーさん、ちゃんと記事にして残しときや〜」
「モチロンです!っていうか私、その為に来てますからねー!(笑)」
今作業員さんたちが立ってる場所あたりで奈良時代の土器が見つかっていて、それより下では人が住んでた地層はありませんでした。」
「え、人が住んでた地層とかってわかるもんなんですか?」
「地層の上や中から土器などの生活用具が見つかることがあります。土器は時期によってそれぞれ特色があるので、これらをヒントに今掘っている地面はいつくらいの時期かな?と判断していきます。」
「へ〜・・・
いや〜、なんか楽しくなってきた!転職しよかな!」
「え、えっと…とりあえずここの遺跡は奈良時代から人が住み始めたっていう風に考えられています。」
「今見えているのは、全部奈良時代からずーっと積み重なってきた地層なんですよ。」
「いや〜、ロマン感じるよな!俺ってロマンチストやから…。」
(ロマン・・・?なんで?)
「たまたまそこに割れたコンクリートが見えてるんですけど、近代に陸軍の爆弾の製造所がここにあったので、おそらくその建物がこれかなと。」
「井戸さん、今掘っていらっしゃる作業員さんはプロの方たちなんでしょうか?」
「そうです。そういう会社があって、専門の職人さんみたいな人たちに来てもらって作業をしてもらってます。」
「なるほど…!」
「ちょっとちょっと、マジで転職する気なんちゃいますー?(笑)」
「あはは、じゃあせっかくなんで、調査区の奥へ行ってみましょうか。」
「ほぅ・・・。いいなぁ、私も作業したいなぁ、こんなんめっちゃ好きやわぁ。
いや、こんなん素人が楽しそうとか、やりたいとか言ったらアカンとは思うけどさ、ブツブツブツ・・・」
(撮影で取材同行していたおさや)
「ちょっと、遅れてるで〜。見とれてんと早く行ってや〜(笑)」
この土の中に結構奈良時代の土器が入ってるんですよ。入っているものを見ると、まだ今掘っているところは江戸時代ぐらいだと思うんですけどね。もうちょっと掘り下げていくと奈良時代とみられる斜面があって、それを目指しています。」
「すごいなぁ・・・広いなぁ・・・ワクワク・・・」
「いやぁ、ホンマ古代のロマンやなぁ〜。」
「すみません、それはちょっとよくわかりません。」
「あ、出てきた土器を見せてもらえるそうなのであっちに行きましょうか。」
「はいー!行きましょ〜」
ベルコンが土を運ぶ方向と同じ方に向かって行くので、どうせならベルコンで運んで欲しい。動く歩道みたいな感じで。
・・・なんて思っていたことは内緒です。
「これはカメっていう水をためる容器です。それの首の部分。
表面にちょっと筋みたいな痕跡が残ってるでしょ。この文様とかで奈良時代のものだってわかるんです。」
「へ〜、面白いなぁ・・・。」
「あ、せやせや。井ノ上さんも普段はこういうところで作業したりもするねんで。」
「えっ、そうなんですか!?」
「ちょっとやってみてや〜。」
「・・・そうですね。こんな感じで土を削って、昔の人の痕跡がないか探します。」
「ちなみにこの道具って使う人によってちょっと形が違うんです。それぞれの手にフィットするやつを使うんですよ。」
「で、土をここに入れて・・・」
「ベルコンへ。」
「そういえば、このベルコンで運ばれた土って最終的にどうなるんですか?」
「ひとまず土置場にためてます。最終的にここは道路になるので、発掘調査が終わると、元の場所に埋め戻しますよ。」
「こういう作業って、道路を作るとなったらどこでもやっているんですか?」
「どこの場所でもっていうよりは、遺跡の範囲に入っている道路は基本的には最初に確認しますね。これが確認調査です。」
「で、確認した時に昔の人の痕跡がいっぱい出てきたら、ここみたいに全面に広げて調査するっていうわけ。」
「この『野帳』って雨や風に強いメモやねん。ええやろ。」
「えええー、いいなぁ、ほしいなぁ…。」
「大きな雑貨屋さんや文房具屋さんでは売っていますよ。ぜひ買ってみてください。
野帳を使う人をヤチョラーって言うそうなので、くらさんもヤチョラーになりましょう!」
「ヤチョラー・・・ また探しに行ってきまっす」
「くらさんは現場に興味があるんですね(笑)」
「そうですね〜、なんでしょう…専用道具とか見るとワクワクしちゃいます。
今日は貴重な体験が出来てとっても楽しかったですー!あ、転職考えておきますね!(笑)」
「コラコラ、ちゃんとひらつーで頑張りや〜(笑)」
大阪府枚方市上野3丁目
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井戸さん、現場スタッフのみなさん、お忙しいところありがとうございました!