ローカルメディアサミット2019
presented by スマートニュース
の様子をレポートします!
(告知記事はこちら)
「ローカルメディアサミット2019 presented by スマートニュース」は、2017年に枚方で開催したイベントを東京に移しての1年ぶり2回目の開催です。
日本各地で注目を集めるローカルメディア運営者の皆さんに集まっていただき、編集の方針やどのように運営しているのか、継続してやっていくために重要な収益のことなどが聞ける、一日限りのスペシャルイベントとして開催しました。
開始前には会場はほぼ満員に。
ローカルメディアを運営している人を中心に全国からたくさんのお申込みがあり、100名の事前申し込みは定員に達し前回以上の注目の高さを感じました。
▽当日の流れ
・Keynote1 ローカルメディア全員集合
・Keynote3-2 モバイルで記事の読まれ方 from SmartNews
・スマートニュース(鷹木 創さん)
・Keynote4 16:00〜16:50 枚方つーしんのこの3年における取り組み
「ローカルメディア全員集合」
今回全面的に協力いただいたスマートニュース株式会社、ヴァイス・プレジデント メディア事業企画担当の佐々木さんによる挨拶。
佐々木さんは1回目のローカルメディアサミット2017にも参加されていまして、2回目の開催にご尽力いただきました。
また、2013年に書籍出版、2016年に3日間で13万人を動員した「横浜家系ラーメン祭2016」を開催。
はまれぽ.comは社長が近所で起こった新聞などで大きく扱われていない事件のその後どうなったかを知りたいということで、そういう情報を発信していきたいと思ったことがきっかけではじめられたそうです。
2010年の11月にオープンして現在9年目とのこと。
読者層として全体的に男性が多いそうで、観光ネタや台湾スイーツやハロウィンなど若い女性向けの記事よりも安くて美味しい飲み屋さんの記事やブラタモリ的な土地の歴史やディープな情報が人気になりやすいそう。
また体を張った企画もして「横浜に流れる川の水でおいしい川の水は?」というので、実際に川の水を飲んだりご飯を食べたりしたそうです(笑)
さらには「終電を逃した!どこまでなら始発を待つより歩いた方が早い?」という終電逃したシリーズも人気だそうで、頑張っている、体をはっている、苦しんでいる姿は好まれるそう(笑)
10周年に向けて、Instagramも頑張って女性読者を増やして頑張って行きたいとのこと。
しがトコ 林 正隆さん
3番目は、しがトコの林さん。
1981年滋賀県守山市生まれ。大学在学時よりWebサイト制作に携わり、デザイナーとして5年間経験を積む。2009年よりWebディレクターとして企画・設計を始める。2010年から大阪のWebマーケティング企業にて、大手鉄道会社ポータルサイトや飲料メーカーキャンペーンサイトなどの企画制作やWebマーケティング支援に携わる。
2012年、地元の滋賀県にて独立し、Webマーケティング専門のプロダクション「プラスエイチ・ワークス」を立ち上げ。同年、“滋賀を自慢したくなる”をコンセプトとしたローカルメディア「しがトコ」を開設。Facebookを中心にSNSでのシェアを設計し、開設1年でファン数が1万人を突破、滋賀県No.1のファン数を誇るメディアとなる。
自慢したくなるというのはどういうことかという話で、SNSでシェアしたくなる情報を発信出来ないかというところを考えてPVよりもSNSを重視し、Facebookでは現在滋賀で一番ファン数が多いそうです。
ハッシュタグで検索してもらってもいろんな情報が集まって来ているのでそこから探してもらうというのもできるようになってきているそう。
収益の話では滋賀の魅力を発信するというところで行政さんとの取り組みや、
新しい取り組みとしてリアルのお店を出そうという計画もあるそうです。
最後には正社員募集も飛び出した楽しいプレゼンでした。
4番目は、Kyotopi[キョウトピ]林さん。
インターネット黎明期からモバイルマーケティング支援に従事。
2014年に海外スマホアプリ企業の日本展開向けマーケティングコンサルで起業したのち、京都観光・グルメ情報をコンセプトとしたローカルメディア「Kyotopi[キョウトピ]」を2015年にスタート。
開始1年でSNSフォロワー数は5万人を超え、現在のSNSフォロワー数は12万人オーバー、京都最大級のおでかけサイトに成長。2016年に株式会社化、2018年には第三者割当増資を実施し、さらなる事業拡大を目指しています。
趣味、月1回の会員制レストラン、焼肉のタレを使わないBBQ、食べ歩き年600軒、カメラ、サウナ。
地元京都を調べていると、京都のネットメディアは空白地帯ということに気づかれたそうで、最初は住んでいいたエリアでメディアを立ち上げて分からないなりに記事を書いていたが、エリアが狭いということで京都全域に範囲を拡げKyotopi[キョウトピ]として展開してくことになったそうです。
現在は京都をもっと好きになるというコンセントで運営。
運営方針としてあえて今は編集長を置いていないそうで、テーマもライターさんの興味に任せているそうです。
観光地でもあるので、有名どころを狙いがちだが、あえて鉄板を狙ってPVを追わない記事を大事にしているというお話と、熱量のあるライターが記事を書いてそれが多様性を生みその集合体が広く深いメディアになると信じて運営されているそうです。
収益のところでは、アドネットワーク、タイアップ広告そして11月からはじめるECの3つとのこと。
ローカルメディアではかなり珍しい株式によって資金調達しているというお話はかなり衝撃でした。
最後は、宮崎てげてげ通信の長友さん
人と人を繋げ、宮崎を豊かにすることを願い、取材・執筆・情報発信、チャレンジをうみだす場づくりなどを行う。 テゲツー!を立ち上げて5年。現在、第二創業を目指して奮闘中。
言葉をたくさん覚えてきた2歳の娘とのコミュニケーションが、最大の癒し。
前回のレポートもぜひ!
特徴としてライターさんは全員本業を持ちながら活動をしているそうで、県外の方もいらっしゃって宮崎県の魅力を発信されています。
最初は経験者がいなかったので、1000本ノックのようにとにかく書いて書いて書きまくったそう。
運営についての話の中で出た「地域にとっての日常は、誰かにとっての非日常。当たり前の日常を丁寧に切り取って発信していく」というのはローカルメディアのおもしろい部分だなと思いました。
記事については、ヒトにフォーカスした記事に力を入れているのも特徴とのこと。
2016年からは「みんなで作るみんなのメディア」として寄稿するローカルライターさんを増やす取り組みを行い、長友さんが出産・育児で現場から離れられた際もたくさんのライターさんに助けられたそうです。
てげつーさんは多くの人が関わる参加型ローカルメディアとして「つながり」を大事にしているお話が印象的でした。
「これからの情報発信と伝達とは」from SmartNews
Keynote2はスマートニュース株式会社でマーケティング コンテンツ開発 担当ディレクターを務める松浦さんによるトークセッション。
松浦さんはライブドアやWIRED、GREEニュース、ハフポスト日本版創刊編集長という数多くのネットメディア立ち上げを経験されたすごい経歴の持ち主。
開催時の数字上では日本の10人に1人が読んでいるというスマートニュースは現在ローカルニュースにも力を入れているところで、各都道府県チャンネルの開設が完了し今後は市町村単位のチャンネルも増えてまさにローカル強化中とのこと。
ローカルメディアは大きなカテゴリではニッチ扱いされることが多いのでスマートニュースの中でもローカルニュースは都道府県チャンネル内でしか配信されないのかと思っていたら、たくさん読まれる記事は都道府県チャンネルを飛び越えて、エンタメやグルメなどさらに読者のいる大きなカテゴリに配信されて、さらに読まれるとTOPページに掲載される可能性もあるという地元民以外にもたくさん読んでもらいたいメディア運営者さんには夢のあるお話も。
今注目のスマニューさんの話ということで皆さん熱心に話を聞き入る姿が。φ(..)メモメモ
色々な話が出てきたのですが、情報の切り口として「3つの縁」として血縁、地縁、知縁をあげられたのですがこの話はローカルメディアの運営者にはとても参考になるかと思います。
1つ目の「血縁」は、ヒトに関するつながりの部分。
地元出身や関係のある有名人(地元のヒーロー)に関する情報はとてもポテンシャルがあると松浦さんは言います。
実際に都道府県チャンネルで取り上げられた地元の有名人の記事が、都道府県チャンネルだけではなくエンタメチャンネルなど幅広くよく読まれていると明かしました。
これからオリンピックもあるので地元出身の選手情報はローカルでも全国でも可能性ありますよね。
2つ目の「土地の縁」に関する情報として、その土地のグルメ情報は根強く人気のあるコンテンツで「まだまだ知られていないグルメ情報があるはずなので掘り起こすと面白い」(松浦さん)
そしておもしろスポットもテレビで1回出たら終わりではなく、情報はつねに更新されているので切り口を変えることでまだまだ可能性があるそう。
松浦さんによれば、地元のイベント情報もまだまだ埋もれているし、知らない人が多いのでそのあたりを掘り起こしていくと面白いとのことでした。
最後に「知る縁」として、スポーツに可能性がありそうです。松浦さんによると、プロ野球は情報があるが「Jリーグ」や「Bリーグ」「Tリーグ」などまだ知られていない情報が多いと言います。しかも、公式情報はあっても、地元のニッチな情報は少ないので「そのあたりの情報をローカルメディアはもっと発信できるはず」(松浦さん)
どんどんプロ化されて、各市町村にプロチームが増えているので、ローカルメディアのスポーツコンテンツは今後非常に伸びるというお話をされていました。
質疑応答では多数の質問があり、松浦さんが丁寧に回答されていました。
スマニューさんの動きはローカルメディア運営者の中でも注目が高いようでした。
「ローカルメディアトークセッション」
最初に出演者さんにKeynote1「ローカルメディア全員集合」の振り返りをしていただきました。
どういうコンテンツを作っているのかや、運営方針などを皆さんに聞いてみたいという話から「コンテンツ」の話題に。
最近バズった記事は?で「一番安い区間の切符で別の都道府県までいけてしまう「大回り乗車」をレポートする記事がすごいアクセス数になったという話から「交通コンテンツ」が熱いと盛り上がりました。
他にも家系ラーメンの話やボッタクリカフェや有名人が来た話や、地域の有名ラブホテルが閉店した話題などそれぞれの地元ならではのバズるネタが飛び出し会場にはたくさんの笑いの声が。
コンテンツに関するところで技術的な取り組みは?という中で「SEO」については、各メディアさんあまり意識していないようで、タイトルなど基本的なことはやっているという程度だそうです。
一方「SNS」は皆さん力を入れていきたいというのは共通していました。
編集方針や編集部の運用について、記事の内容はライターさんに自由に書いてもらうというところが多かったですが「タイトル」「見出し画像」はライターさん任せにせず、編集長やTOPが決めるというところもありました。
最初の収益化はGoogle AdSenseなどのアドネットワークからスタートして、アクセス数が増えて企業とのタイアップ広告が取れるようになったという話から、行政からの案件をやっている話に。
しがトコさんはかなり行政さんの案件をやっているそうで、プロポーザルなど仕組みなども会場の参加者さんに向けて説明されていました。
手続きなど大変そうですが、アドネットワークやタイアップ広告以外で行政さんからの仕事は収益化のひとつの方法かなと思いました。
Kyotopi[キョウトピ]の林さんは代理店さんとうまく付き合って、いろいろな販促の中で自社を入れてもらうなど、ゆるくうまくやっていますとのこと。
宮崎てげてげ通信の長友さんは、広告記事何本というよりも、一緒にイベントをしたり深く取り組んで、もっと結果にコミットしてやって行きたいとのこと。
「モバイルで記事の読まれ方」from SmartNews
WEBメディア編集長の経験もあるスマートニュースの鷹木さんによるセッション。
タイトルの付け方など、実際の事例を基にどうしたらSmartNews上で読まれる記事を具体的に作っていくかを解説しました。参加者さんからは「内容に非常に納得感があり、すぐ心がけられるメソッドも多かったので満足度が高かったです」との声が。
「枚方つーしんのこの3年における取り組み」
枚方つーしん 本田一馬、原田一博
最後は枚方つーしんによるセッションです。以下、原田目線の書き方ですみません(笑)
ひらつー読者からその消息が心配されている枚方つーしん創業者の本田一馬も登壇しました。
元気でした(笑)
前半は枚方つーしんのこれまでを振り返りながら数値などを交えて紹介。
初年度10万PVほどだったアクセス数は10年で300万PVを超えるまでに成長しました。
アクセス数の変化として、スマートフォンが普及したというのはひとつ大きなポイントになりました。
そしてFacebook、Twitterと言ったSNSの普及がさらにアクセスを増やすきっかけになっていると思います。
昔はよくSNSは何をやった方が良いかという質問がありますが、できる限りやれることはやった方が良いというのが経験して思うことです。
編集に関しては本田が、事業面については原田が話を進めていきました。
ひらつーの特徴として外部ライターではなく社員もしくはアルバイトという形でライタースタッフを内製化しています。これはいくつか理由があるのですが、枚方つーしんを100%で考えて欲しいというのがあります。
特に収益源でもある記事広告の作成に関しては、先方のスケジュールもあることなので、すぐに動けるスタッフと考えると内製化する方が良いというのがあります。
収益化については、初期は収益化よりもいかに多くの人に見てもらえるかを二人とも意識していました。
本田から「枚方のネット上での一等地を目指せば収益はあとから付いてくると信じていた。」という話が出ましたが、一定の読者がいないと広告というモデルでは収益化は難しいと思いますので、読者が少ないときには収益化を考えるよりも、いかに読んでもらえるコンテンツを作るかというのを考える方が結果的に収益化への近道だと思います。
早い段階から広告のお問い合わせフォームは作っておいて、そこから問い合わせが来るようになったら、広告料金や広告メニューを考えてもいいんじゃないかなと思います。
広告メニューに関してはできるだけ広告主さんと短いお付き合いではなく、長いお付き合いになるようなメニューにするほうが、広告主さんの反響にも自分たちの収益にもつながり良い関係で続けていけるようになります。
質疑応答では、「コンテツのおもしろさについて?」や「メンバーの募集方法について」など幅広い質問がありました。
以上で、すべてのセッションが終了いたしました。
スマートニュースの松浦さんの乾杯でクロージングパーティーがスタート。
ローカルメディアサミット2017に続いて協賛いただいたINCLUSIVE(インクルーシブ)の原さん。
なんと枚方出身という枚方つながりです。
メディアの運営・収益化を事業とされていて、枚方つーしんも色々とアドバイスをいただいております。
▽INCLUSIVE(インクルーシブ)
(クリックでサイトに移動します)
これまでに出版社・TV局などを中心に60以上のメディアの運営・収益化の支援を行って来ています。
メディア運営における課題などお気軽にご相談下さい。
https://www.inclusive.co.jp/
anna(アンナ)
枚方つーしんもローカルカテゴリで記事配信中のanna(アンナ)を運営する株式会社 ytvメディアデザインの山畑さん。
読売テレビの人気番組の記事化のみならず、関西在住アンバサダーによるコラム、さらに関西に根差したローカルメディアの皆様との連携も強化中です。
今後も地域に根差し愛されるメディアを目指します。
https://anna-media.jp
参加者さん同士の交流が時間ギリギリまで続き盛りあがりました!
参加者さんからは毎年やってくださいとの嬉しいお声もいただきましたので、来年も開催できるように頑張っていきたいと思います!
次回開催のご案内を希望される運営者さまはぜひこちらのフォームから「お問い合わせ内容」に次回開催案内希望として送信ください。
それでは、ローカルメディアサミット2020でお会いいたしましょう!
【関連リンク】
ローカルメディアサミット公式サイト