最近、困っていることがあるんです。
それは、
▲こちらはイメージです。
子どもがお薬を飲んでくれないんです!!
え、そんな大変なん?って思われる方もいらっしゃるかもしれないのですが、バタバタしている朝に「イヤ〜、ペッ」とされるのが、数日間続くと結構ストレスなんです・・・。
ということで、3歳の息子に薬を飲ませるのに苦戦しているナーガが、
子どもが飲みやすいお薬を研究されている
藤多哲朗記念 臨床研究センター
でお話を聞いてきました。
左から山下教授、首藤准教授、三田村助教。
お薬の良い飲ませ方、今研究している飲みやすいお薬も特別に見せてもらいましたよ。
まず、臨床研究とは人を対象として行われる医学研究のことです。病気の予防・診断・治療方法の改善や病気の原因の解明、患者さんの生活の質の向上を目的としています。
センターでは、基礎と臨床を融合し医療現場で抱える問題を研究面から解決に導くことを目的に、専門分野の知識を集結してより現場に近い観点で研究を進めています。
藤多哲朗記念 臨床研究センター公式HPはコチラ
「本日は宜しくおねがいします」
「宜しくお願いします!」
「私、子どものお薬に苦戦しているのでとても楽しみです!ちょっと緊張していますが、色々お話聞かせてください」
「出来る限り分かりやすく説明しますし、何でも聞いてくださいね」
ということで、早速お話を伺っていきましょう。
「では、早速なのですが臨床研究センターとはどういったところなんですか?」
「僕はセンター長をしていますので、お答えさせてもらいますね。
摂南大学に薬学部が設立されたのが約30年ほど前で、こちらは2016年4月に設立しました。
私たちは日々、薬の開発や薬理についてを研究しているんですけど、もっと一般の方や患者さまに寄り添えるような場所やキッカケを作りたい、ということで臨床研究センターを立ち上げました」
「私たちの研究は最終的には社会の役に立つものなんですが、実際どんなことしてるのか見え辛い部分があるんです。
もっと一般の方向けに外へ発信して、地域の皆さんとセンターのテーマである小児医療について一緒に考えていけたらと思っています」
「もっと患者さんに近いところで起こってることを解決へ導くのが臨床研究なんですね。私たちは、そういうところをもう少し踏み込んでいきたいです」
「なるほど〜
学会などに発表する難しい内容かと思っていましたが、私たちに身近に起こっていることを解決していくセンターなんですね!
先ほどもお話に出てたいのですが、センターのテーマが小児医療環境を考えるということなのですが、どうして小児医療に焦点を当てたんですか?」
「やはり子どもが元気で笑顔でいて欲しいという思いがあります。」
「めっちゃえぇこと言ってくれますやん」
「え!?」
「どうされました??」
「しゃ、喋るんですね、おさなちゃん・・・。しかもめちゃくちゃ関西弁やん。
今、超高齢化社会でご高齢の方向けのお薬は多く開発されているんですが、小児製剤に関してはなかなか発展がゆっくりなんです。
でも、病気にかかったときにやはりお薬を飲んでくれないと治らないので、薬学の観点から考えて飲みやすいお薬を研究していこうということになりました」
「少子化ですし、ご年配の方向けのお薬の方が需要は高いんじゃないですか?」
「だからこそ未来ある子どもたちを守らないといけない、ということで小児医療にスポットを当てました」
「子どものお薬って臨床実験がほぼ出来ないので、大人用のものを子どもに想定して作ったり、薬剤師さんが現場で砕いたりして調剤してたりするんですよ」
「え、そんな手間がかかるんですね・・・なのに、なのに・・・
なかなか飲んでくれないぃぃぃ」
「ナーガさん、お気持ちはわかりますが落ち着いてください(笑)
現場も手間がかかっていますし、それを持ち帰ったお母さんたちも飲ませるのに苦労していたりするんですよね」
「実際はどういったお薬を開発されているんですか?」
「飲みやすいお薬と言っても子どもさんにとって違うこともありますし、薬と形状の相性もあるのでそういったもの全部含めて研究しています。
例えば、薬の形状を粉からゼリー状のものへ変えてみたり、お子さんが苦手な苦味を出来るだけ無味に近づけるようにしたりしています」
「飲むお子さんはもちろん、飲ませる方も苦痛にならないようなお薬を目指しています。
開発したものを大阪市内にある大阪赤十字病院で臨床試験で実際に使ってもらっていてアンケートなんかもとっているんですよ」
「そうなんですね。現場の方たちはどういった反応をされていますか?」
「コレはいらんな〜とか、もっとこうなってくれへんの?みたいな厳しい声もドンドン頂いております(笑)」
「やはり実際に入院されているお子さんにお薬を飲ませている看護師さんの声がとても参考になります」
「私たちは研究者であって実際の現場でお子さんに飲んでもらうという機会はほぼないので、とても参考になっています!」
「現場の声、参考になりそうですね
実際に研究されているお薬を見せてもらうことは出来ますか?個人的にも興味があります!」
「ほんまや、見たい〜」
「お、おさなちゃんも興味あるんやね」
ということで実際、研究中のお薬を見せてみらいました
「これが飲みやすいお薬を作り出す機械ですか?」
「まだまだ手作り感がありますが、こちらでお薬の試作品を作っています」
「どうやって使うんでしょうか。実際に作業をしてるところも見てみたいです!」
「それでは、実際に作ってみますね!」
こちらが一般的な水薬の容器。
メモリが付いていて、指定されたメモリ分だけ毎回コップに移して飲ませるのが一般的です。
「私、メモリ間違っちゃったり、急いでたらちょっとズレちゃったりするんですよね」
「バタバタしてても間違えんとってや、そこ大事やろ」
こちらに容器をセットしてお子さんの年齢に会った1回分量を流し入れていきます。
もちろん1回分、使い切りなので衛生面も◎。
「うわ〜!これって持ち運びもできるし、保育園に通っていたら先生に託すのも安心ですね!」
「そうや、ばあばの家に帰る時もこれやったら必要な分だけ渡せてラクなんちゃうん」
「そうですね、お家以外で飲む機会も多いと思うのでそういう時にも重宝すると思います」
飲ませ方は、上部分を切り取ってそのままクイッと飲ませるだけでとっても簡単。
「じゃぁ、せっかくなので実践してみますか?」
「え、飲ませるつもり??
まじで??ウチ、元気やで??」
「そうですね、せっかくなので。1つ実際にやらせてもらいますね」
「え、待って、ウチの話聞いてないやん。そんな段取りなん?聞いてない聞いてない」
このように切り取って、
「え〜、開けてるし〜ちょっと待ってや〜。ここだけの話、ウチ薬めっちゃ嫌いやねん!」
そのまま飲ませるだけ。
本当に簡単です。
「あかんって、あかんって〜!ホンマにあかんヤ・・・ツ・・・ゴクッ」
(もちろん実際は飲んでいません)
「うわ〜、めちゃ飲ませやすいこういう感じやったら子どももそこまで抵抗しなさそう」
「ふ、ふーん、確かにこれやったら飲む方もラクやったわ・・。いきなり飲まされて焦ったけど」
「イチイチ測らなくっていいから、バタバタしがちな朝とか良いでしょう?」
「そうですね!毎日のこととなると助かります〜」
「なぁ、さっきからなんでガン無視なん」
ちなみにこの容器は自立するので、口に入れる前にお座りさせたり、抱っこするのに置くことが出来ます。
「ちょっとグズった時は、お薬は一旦置いて抱っこしてあげてや」
もう1つ、子どもにもママ・パパにも嬉しいお薬があります!
そちらも見せてもらいましょう
粉薬がトゥルンっと飲めたらどんなにラクか・・ママの希望が詰まったゼリーになったお薬
「もう1つ。こちらは、お子さんがテンション上がるんじゃないでしょうか」
ゼリー状になったお薬です。
こちら1回分の粉薬が入ったものです。
「これってお薬なんですね」
「薬に見えないでしょう。容器がまだお薬っぽいのでもうちょっと可愛いものにしてみても良いかなと考えています」
「これ、完全に・・・おやつですやん」
「おやつと間違わないようにきちんと大人の管理が必要ですが、それは今のお薬もそうですからね」
「そ、そうですよね、おやつと間違えないようにしっかり管理しないと」
では、こちらも実際に作ってもらいましょう。
大蔵製薬さんが特許を取得されている混ぜたら出来上がるドライゼリーを入れます。
それをシェイクします。
「めちゃ楽しそう。ちょっとやってみたい。令和のダンシングベイビーになれるやん」
「え、この作業だけでゼリーになるんですか??」
「そうなんですよ。
もし実用化されたら、処方箋をFAXやネットを介して送れそうなら先に送って現場の薬剤師さんが作っててもらえると、患者さまもスムーズに受取りができるかと」
「そういうふうに運用してもらえるといいですよね。
あ、ソロソロ出来上がりますよ」
先程シェイクしたお薬を容器に流し込み少し待つと出来上がります。
「うわ〜、美味しそうやん」
「あ、試してみますか??」
「やった〜。ゼリー食べられるおやつの時間やしお腹空いててん」
「はい、じゃぁ、ナーガさんどうぞ、食べてみてください!」
「あ、私なんですね」
「そうなん?そういう段取りなん??今回はウチでも良かってんで?」
「じゃぁ頂きますね」
「ほんで、断らへんねや!」
「ん?!普通にゼリー、完全にゼリー」
「真剣な表情やけど全然大したこと言うてへん〜」
「味はないですね。
食感はちょっと杏仁のような感じでホントにトゥルンって喉を通っていく感じです」
「そうそう、これが子どもにあげるお薬やと思うと、どうです?」
「いやー、これはあげやすいですね!子どもにもゼリーやで〜、コレだけ食べたら終わりやで!って言いきかせやすいです」
「貴重なお薬を見せてもらい、ありがとうございました!このお薬が早く実用化されたら嬉しいんですけど、実用化までどれぐらいかかるんですか?」
「何度も試作品を作って本当にベストな状態のものになるまで検討を重ねます。
現場の薬剤師さんの作業負担も増えちゃうので、そういった手間の部分も考えたり」
「水薬の容器は手や口を切ってしまわないように何度も試作品を作ります。
絶対に安全なものじゃないと世の中に出せないですからね」
「そうしてあらゆることをクリアして、完全に世の中に出せる!となってから学会などで発表します」
「お薬の実用化って本当に色んな段階をクリアしていかないとなんですね・・・」
「早く飲みやすいお薬が出てほしいわ。ウチも毎回泣かないですむやん〜」
「私たちも早く子どもたちが苦痛でないお薬を届けられるように、日々研究を頑張っていきますよ」
正しいお薬の飲ませ方って?お薬って飲みきらないとダメ?質問コーナー!
ここからは子どものお薬に関する質問コーナーです。
今更聞きにくいな〜ということも聞いちゃいました
まだまだ、聞いちゃいましたよ〜
「気管支に貼るテープを取りたがるんですが、何か良い方法ってありますか?」
「テープからお薬が血中に入って全身に回って気管支に入るので、気管支の近くに貼る必要はないです。」
「そうなんですね・・・勘違いしてました」
「血液の循環が良いところに貼ってほしいので、上半身ならだいたいどこでも大丈夫と言われていますよ」
「他にも粉薬やカプセルのものがダメで泣きそうになりながら飲んでる、というひらつーメンバー(大人)がいるんですけど、何か良い方法はありますか?」
▲吉田さんは摂南大学枚方キャンパスの広報などを担当する職員さん。以前街ブラをしたことも。
「それ、僕もなんですよ・・・。未だにゼリーに混ぜて飲んでるんですよ、メロン味の」
「え、大人なのにぃ、飲めへんの〜?」
「それこそ、市販のゼリーは本当に良いと思いますよ!
カプセルは水で飲むと浮いてくるから喉に入れ込みにくいので、ゼリーにくるんでゴクッと!大人だったらいけると思います(笑)」
「ありがとうございます(笑)お薬が苦手なメンバーに伝えておきます」
お薬について皆さんから質問を大募集しちゃいます
「今日はありがとうございましたっ!
個人的にもとても興味深くて、色々質問もお答え頂いて良かったです〜!」
「質問からリアルなお話が伺えて、私たちもとっても参考になりましたよ。なかなか聞ける機会がないので貴重な場でした。ありがとうございました!」
「せっかくなので、もし良かったらもっとリアルな声をお聞きできたら嬉しいんですけど・・」
ということで・・・
コチラから質問フォームへ移ります
皆さんの質問が研究に活かされるかも!?
是非リアルなお声、お待ちしております
「いや〜今日はえぇ話聞けたわ」
「おさなちゃんにも分かりやすく伝わったみたいで良かったです!」
お忙しいなか、ありがとうございました
子どもの飲みやすいお薬がもっと広まって、実用化されるのを楽しみにしています。
取材後に時間があったので、特別に薬用植物園も案内してもらいました
薬学部の学生と教職員の教育・実習、研究などを目的として運営されている植物園があるんです。
左下らへんにズーームインっ。
温室の前には広々とした薬草園もあります。
▲一般人が入れるのは年2回くらい!摂南大学の植物園の見学にいって味覚の不思議体験&いろんな薬草について【ひらつーレポ】
初代お枚の方も訪れていましたが、イベント時など以外は基本的に非公開の植物園です
薬草にめっちゃ詳しく、話が面白い伊藤優先生が薬用植物園を管理されています
日本薬局方収載生薬の基原植物を中心にハーブ、香料や染料などの有用植物のうち、主に草本の植物を栽培しています。
中はジャングルみたい!そして、ちょっと暑い!!
温室なので当たり前ですが、外との温度差がすごくてカメラが曇っりゃうほどでした。
全て薬学部の試験に出るような草木ばかり。
どれもきちんと薬としての効果があり、新発見だらけで見ていて面白い
大学の薬学部のお薬の話って難しそう・・・と思っていましたが、実際には実生活に密着したお話で、「へぇ〜知らなかった、そんな研究がされてるんや!」という発見がありました。実際にお薬を触らせてもらって、本当にあったら助かる!と実感もしました。
果てしない研究の道は大変かと思いますが、将来困ってる人たちを助けると思うと素敵なお仕事。
是非、飲みやすいお薬が実用化されて少しでもお薬で困っている子どもさん、ママ・パパたちのストレスがなくなれば良いなと思います。
その日を楽しみにしています!
これからの研究の成果に大いに期待しましょう