メディア出演多数!全国でも珍しいフリーランスの「科学コミュニケーター」ってどんな仕事?本田隆行さんにインタビュー【ひらば】

デンチュウばなー
ひらつーが運営するコワーキングスペース「ひらば」広報担当のデンチュウ@ひらつーがひらば利用者のみなさんがどんなお仕事をしているのか、どんな風にひらばを使っているのか、インタビュー形式でいろいろとお話を聴いていきます!

第14回目のゲストは
「科学コミュニケーター」で「ひらつー外部ライター」

ほんちゃん@ひらつー こと
本田 隆行(ほんだ たかゆき)さん

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本田 隆行(ほんだ たかゆき)さん
全国でも稀有な、フリーランス「科学コミュニケーター」を本業とする、ひらつーの外部ライター。枚方つーしんでは、「科学コミュニケーター」の仕事を活かして技術・科学系の記事を担当。本拠地枚方から、全国をまたにかけて活動中。(→ほんちゃん@ひらつーの記事)ビーバップハイスクールなどメディア出演多数。

– 今どんなお仕事をされているのか、自己紹介をお願いします。

フリーの「科学コミュニケーター」として活動しているほんちゃん@ひらつーです。不定期でひらつーの記事も書かせていただいています。

みなさん科学コミュニケーターってどんな仕事やねん!って思いますよね。僕の仕事は、学芸員でも研究員でもありません。

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科学の世界って一見、小難しくみえますし、一つ一つのことを「これは科学的にみると・・・」って言われても、なんだかよくわからないじゃないですか。

科学の難しい部分を分かりやすく、時には難しいことを難しいとちゃんと伝わるようにする。そんな科学の世界と、普段僕らが住んでいる科学とは無縁の世界をつなぐコミュニケーションの専門家。科学界の池上彰と思って下さい!(笑)

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(難しいことを伝わりやすく。写真はかつてのひらつー事務所)
生活拠点は枚方ですが、連携先の科学館は青森・福岡・東京・福井など全国各地にあるので仕事の度に出張しています。

「科学」のテーマから外れていなければ、僕ができることは何でもやっています。今一番多いのは、科学館のリニューアルのお手伝い。他にはひらつー記事を書くようなライティングの仕事、それから枚方T-SITEや茄子作の春日神社でワークショップの依頼なんかもいただいています。

科学館での仕事は、子供を対象に話をすることが多いです。じゃあ子供だけに伝わればよいのかというと、その子が家に帰って親御さんに「今日こんな話を聞いたんだよ」と話した時に、お家の人が「ふーん」で済ましてしまうような話だと、その子にとってはあまりいい経験になったとは言えないですよね。

だから大人も子供もその対象に一番合うような話、各対象に合わせた伝え方を大切にしています。

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「はやぶさ」のミッションに参加した大学時代

– 経歴、略歴を教えてください。

僕の経歴は、本当に節操がないというか(笑)

大学は、神戸大学で理学部を専攻していました。僕、どうしても理学部に行きたかったんです。そこにしかやりたいことがないって思っていて。

後期試験で合格したんですけれど、前期試験で落ちた時に高校の先生から「おまえみたいなあっちこっち興味が湧くようなやつは研究とかには向いとらん、おまえはしゃべれるし教師に向いてる、だから教育大に行きなさい」って言われたんです。

小中高大とやりたいことはずっと天文学で。将来何したいんですかって言われたらそれしか出てこないぐらい宇宙のことがやりたかった。

天野川

ただ宇宙が好き。宇宙とか理科、自然科学とか天文とか地震とかお天気とか。そういうのがもうちょっと勉強できたらいいなーと思って無理をして大学に行きました。

そして、大学の修士の時に、後のニュースでも話題になった「はやぶさ」(→Wikipedia)という探査機のミッションに参加することができたんです。

その時は自分も将来的には学者になりたいなってボヤッと思っていて。でも実際プロジェクトに行ってみると、当たり前だけど周りにはものすごい有名な研究者がいっぱいいるわけです。

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自分の担当させてもらった仕事ももちろん楽しかったんですけど、隣で全然違う研究をしている人、有名な先生の話など、いろんな話が聞くことができて、それが本当に楽しくて。

その時に思ったんです。僕は確かに宇宙のことが大好きだけれど、研究をすること自体が好きなわけじゃない。それよりも、いろんなことに関わったりいろんな人の話を聞くのが好きなんだって。

研究って1個のことを突き詰めていくことなんです。僕はそのタイプじゃないんだなって痛感しました。

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(研究者向きじゃないと思った)

そんなとき、地元の知り合いの役所の人に「枚方市役所がまだ空いているぞ」と教えてもらったんです。僕はずっと枚方に住んでいて、学生時代から枚方まつりや中学生会議など、なんだかんだ10数年枚方で活動をしてきたこともあったので、行政に入るんだったら愛着のある枚方が良かった。

それで、試験に無事合格し、5年間枚方市役所で勤務しました。いつの間にか、今までは本業だった宇宙の話とか科学の話は趣味に。反対にライフワークや趣味だったまちづくりが本業になりました。

東京で「科学コミュニケーター」の仕事に出会う

– 市役所を退職しようと思ったきっかけは?

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市役所を辞めようって思ったってなかったんです。5年間で3回部署が変わって、大変やけど楽しいなって。

そんなとき、偶然東京に友人の結婚式があったので、ついでに東京の日本未来科学館に行ってみたんです。ホームページを見たら、展示を使って解説をしたり実演をしたり、コミュニケーションで社会のいろいろな課題解決を目指すような「科学コミュニケーター」の求人を見つけてしまって。

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(友人の結婚式で訪れた東京で科学コミュニケーターという仕事に出会う)

科学コミュニケーターなんて聞いたことないけど、どうも学芸員とは違ってコミュニケーション重視でお客さんと会話をする。科学は文化だから文学やスポーツ、芸術と同じように人がより豊かに生きるための1つのツール。科学コミュニケーターは、会話を通して社会の中に科学を浸透させていく仕事だという書き方をされていて。
もちろん行政でしかできない仕事もたくさんあります。

でも、しゃべりやし科学好きやし行政のまちづくりの世界も好きやし・・・ここならスイッチせずに両方とも仕事にできるんじゃないかという気持ちがあって。

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とはいえ自分の専門の現場を離れて5年経つので、そう甘くないということも分かっていました。

記念受験っていうのかな、できないままじゃなくてやってみて玉砕して終わる。砕け散ってスッキリして仕事に励めたらなんかモヤモヤがなくなるかなって。

書類審査が通って、一次面接、二次面接で東京に行きました。周りはすごい大学から来てる人ばっかりで、なぜか僕だけ枚方市役所から来ている(笑)

最後の試験は役員面接でした。館長で宇宙飛行士の毛利衛さんがいらして、「君はほんとうに市役所の仕事を辞める気なんですか?5年間の任期付きって知ってるよね。その後はどうするの?」って聞かれたんです。

実は、日本未来科学館の科学コミュニケーターは5年間の任期付きで、その後は自分で働き先を見つけなくてはいけません。

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だから、「僕は科学コミュニケーターに興味があって科学コミュニケーターになるためにここに来るのでここを通過した後に何になるかはまだ何もわからないです」と答えたんです。

そういう人も珍しかったのと、あとは科学者だけが科学を伝えるんじゃないっていうのがたぶんあったんだと思うんですよ。

科学の世界を1回離れて社会に出た人間がこういうポジションに入って科学を伝えると一体どういう伝え方ができるのかっていう挑戦にもなるんだろうなと。

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で、なんだかんだ受からせていただいて、市役所を辞める気はなかったのでドキドキしながら上司に話をしました。それで何とか辞めて、2012年の4月から東京に行って、今まで30年間枚方を離れたことなかったのに急に東京に住むことになり、3年3ヶ月東京で働きました。

独立後フリーの「科学コミュニケーター」へ

– 独立に対する不安はありませんでしたか?

任期があるからいつかは辞めなあかんねやろなっていうのはあったんですけど、初めの頃は独立するとは思ってなかったです。

どっかにまた就職するんやろなって。なんか独立って怖いじゃないですか。自分の何がお金に変えられるかもわからないし、特殊能力があるわけでもないし、不安は大きかったですね。

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ただ3年間やってく中で科学の世界を社会に伝えるには、どのぐらいの覚悟がいるのかを考えてみたんです。

例えば人前に立って科学を解説する時に解説した科学が間違ってるかもしれないし、その一言が全然予期せぬことを巻き起こすかもしれない。相当な覚悟が必要なんだなって。

だけど最前線でお客さんとかメディアに接して仕事をしていくと、もしかすると僕が今仕事としてやっていることは、誰にでもできる仕事ではないんじゃないかって考えるようになったんです。

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今、世の中に科学コミュニケーターがいないのは、その価値をうまく伝えられてないだけでまだ誰も耕してない畑があるんじゃないかと。

それで、いろんな人と話をしてるうちにじゃあ自分がどこに就職できるかというと、就職場所が見つからないんです。

学校の先生だったら相手は学校の生徒だけになるし、新聞社になると相手が見えなくなるし、もっと幅のある動きをしたいなと思った時に、なんでもできるのはフリーかなと。フリーランスなら、所属はなくなるけれど仕事の内容はこれからも続けていけると考えていました。

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そのためには、自分で仕事先を新規開拓していかなきゃならないですよね。よく考えたら自分はなんの営業もしていない。正直、今考えたら無謀なのですが、その時は日本未来科学館を辞めることだけを考えていました。

科学館時代にお付き合いのあった人には、そろそろ僕も卒業することになりました、その後は無所属なので何か困ったこととかあったらいつでも連絡ください、って連絡だけして、そのまま割とゼロに近い状態で枚方に帰ってきました。

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(枚方に帰ってきたほんちゃん@ひらつー)

枚方に帰ってくるのは科学未来館に入った時からずっと決めていました。

でも、枚方で科学の仕事は少ない。そんな時、科学館時代の同僚から、科学館のリニューアルの仕事で声を掛けてもらって、その後はメディアや人づてに口コミが広がり現在に至っています。

楽しいことを忘れるのはもったいない
もっと欲張ってもいい!
− 就職活動に対する不安、働くってどういうことだろうとイメージできない学生も多いと思います。学生に向けてメッセージをいただけますか?

しんどいことを全部よけられるわけではないと思うんですけれど、ただしんどいことが前にあるからって楽しいことを忘れるのはもったいないなって。

若い子って「僕はスポーツやってるから勉強しません」とか、「僕は受験するからクラブに行きません」とか、「僕はこれになりたいから恋愛はしません」とか、すごい二択になる傾向があるじゃないですか。

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でも、自分でそんなん決めんでもよくない?

やりたかったら2個でも3個でもやってみたらいい。欲張ることが悪いみたいな風潮があるんやけど欲張ることってすごくいいことやと思います!

1個しか手を出さなかったらそのことしか知れないけど、全然違うことしたら、つながりがあるかもしれないし、そこで得た人脈や経験がもう一つのことに活きることもあります。

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やるんだったら2個でも3個でもやってみて、ダメやと思ったらダメなことからやめていけばいい。要はやるやらない、という選択を人じゃなくて自分ができるかどうか。人任せにせずにね。

「あんた勉強できひんねんからクラブやめ」は人のセリフで、自分の意志で「僕は勉強がしたいから僕はこの時間も勉強します」って言えるならOK。結局は自分の意志。その練習が好きなことをやりながら何かするとか、バイトしながら何かするとか。いろんなことをやってみないと感じられないことがある、そう思っています!!

最後に…
ひらばについて!
− 最後に、本田さんもひらばを月に何回か利用してくださっているので、感じているところを一言ずつ教えていただけますか?

もちろん!

− ひらばの居心地はどうですか?
いいですよ〜。何と言っても、木があって、景色が良くて、リラックスできます。

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(最近のひらばの様子。観葉植物がたくさん住んでいます)

− どういう時に利用していますか?
デスクワークをする場所がないので、ゆっくり考えたり書き物をしたりするときに使うことが多いです。今後は本を読んだりインプットするときにも使いたいですね。

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(↑ほんちゃんがよく座ってる席)

− 「ひらばのココが良い!」というポイントがあれば教えてください。
さっきも書きましたが、景色でしょうか。あとは、ひらつースタッフの親近感でしょうか。

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(ひらばの運営はタクワン・おさや・デンチュウ・サトゥル4人のひらつーメンバーが担当しています)

− これからひらばを利用してみたい!と考えている人にメッセージをお願いします!
とにかく、気になったら一回ふらっといってみる、といいと思います!!!ぜひ、新しい自分の居場所として使ってみては。

− 最後です!ほんちゃんにお願い出来る仕事はどんな仕事ですか?また、お願いしたい場合はどうすればいいですか?
そうですねー、司会やワークショップや科学解説(ないか)
…まぁ、なんでも屋さんなので、まずは一度ご相談いただくのが良いかと思います。

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インタビューを終えて

フリーの科学コミュニケーターとして全国で活躍しながら、ひらつーの外部ライターもこなすほんちゃん@ひらつー。同じひらつーメンバーではあるもののお会いしたのは実は今回が3回目。

インタビューの中で「僕の経歴は本当に節操がない」とおっしゃっていましたが、最終的にそれが全部今の仕事につながっているから凄い。何事も2択じゃなくてもっともっと柔軟に。

ほんちゃん、素敵なお話をありがとうございました!

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