ミロコマチコさんにインタビュー!
画家・絵本作家
1981年生まれ 枚方市光善寺出身の画家・絵本作家
大学時代に人形劇団で台本を担当。
卒業後、初めてマジックペンで描いたカメの絵本をきっかけに、実家の会計事務所で働きながら、絵本の学校へ。その後、展覧会を見に来ていた編集者に声をかけられ、念願の絵本を出版。
デビュー作『オオカミがとぶひ』で第18日本絵本賞大賞を受賞。
自由で伸びやか、そして躍動的な画風に全国で開催される個展に訪れるファンも多く、ペイントイベントや子どもを対象としたワークショップでも活躍中。
・『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)第18回日本絵本賞大賞を受賞
・『てつぞうはね』(ブロンズ新社)で第45回講談社出版文化賞絵本賞
・『ぼくのふとんは うみでできている』(あかね書房)第63回小学館児童出版文化賞
・『オレときいろ』(WAVE出版)ブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレ(BIB)金のりんご賞
画文集『ホロホロチョウのよる』(港の人)
画集『けだらけ』(筑摩書房)など
2013年毎日放送『情熱大陸』出演
2016年春より、『コレナンデ商会』(NHK Eテレ)のアートディレクターとして参加。
手前に置いてあるのは、枚方市立中央図書館で実際に貸出しされているミロコマチコさんの絵本や画集。
ふろ@ひらつーが借りてきました。
この日は、アルフレックス大阪で行われるイベントに出演されるために帰省されたミロコマチコさん。
その合間にインタビューのお時間を頂けることに。
▷〈イベント〉arflex×ミロコマチコ 「けはいのねっこ」開催!(イベントは終了しています)
ー 今は東京にお住まいということですが、「枚方つーしん」はご存知ですか?
ネットで配信されているんですよね・・・?正直、じっくり見たことはないんですが、地元の友だちとの会話でよくお店の情報なんかを『ひらつーで見た』『ひらつーに載ってた』と、名前は聞いてます(笑)
ー そうなんですか!「ひらつー」という略称を知って頂けているだけでも光栄です!今日は色々とお話を伺いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
『自由』
ー ワークショップやイベントでは、子どもたちと一緒に絵を描かれることが多いミロコさんですが、どうアドバイスされていますか?
あるとすれば、「とにかく何でもいい」というポイントかな。
「この順番でなくてはいけない」とか「この場所に描かないとダメ」という制限はしないです。
描く道具だって、筆やペン、手を使ったりして、体感して楽しんだらいいかなと思います。
絵を描くという枠から飛び出して、絵の具のついた手を匂って「くさい!」と思ったり、感触を楽しんだり。
ー 子どもは好きですか?
普通くらいかな(笑)
相手をすることが好きというわけではなくて、子どもたちの様子を見ていることがすごく好きです。
子どもたちってすごく素直で純粋でおもしろいので。
例えば、恥ずかしがってしゃべれへんとか、作業に飽きた時は素直に「飽きたー!」って言う子もいたり、ちょっとふざけたことをして、バレバレなのにそれがバレてないと思っていたり(笑)
かと思えば、子どもなりに気を使っていたり。
見ててすごく楽しいです。
ー 子どものその様子、すごくよく分かります!親としてはハラハラしますけどね(笑)6月には枚方T-SITEでもイベントを行われていましたね。
枚方T-SITEライブペイントの様子
ダイナミックに描かれたサイ。
背景を描くことで動物の輪郭が浮き出す様子に意表を突かれます(枚方T-SITE提供)
枚方T-SITEで開催されたワークショップの様子
(枚方T-SITE提供)
開催したワークショップが子どもを対象としたものだったので、お父さんやお母さんも一緒に来られるんですが、「枚方にこんなにたくさんのお母さん達がおるんや!」ってびっくりしました。
ー T-SITEのイベント会場となった5階の「子どもと学び」フロアはいかがでしたか?
イベント時にはミロコマチコさんの特設コーナーもあったとか。
絵本の表紙がよく見えるように、本も横に並べてあって。
スタッフの方が本当に親切で声をかけてくれるんです。
お客様をすごく身近に思ってくれているようで「私は関係ないわ」という雰囲気が全くないんです。
親切で熱心で、すごく本が好きな人たちが働いてるんだろうなと思いました。
イベント時の特設コーナーも本当にありがたいですよね。
すごく目に入る正面に飾ってくれていました。
ー 作品のどういうところを見てもらいたいですか?また、作品を通じて伝えたいことはありますか?
特にメッセージを込めているわけではなくて、私の思う世界をカタチにしたいと思っているだけなんです。
その中で、読んだ人の想像を膨らませて欲しいから、心がけているのは文章もなるべく短くということ。
例えば
”風が北から南へ向かって吹いている”とか、”あんな感じでこんな感じで吹いている”とか、すごい説明が長いと、想像が限定されてしまうじゃないですか。
みんながみんな同じ世界を想像するより、それぞれの違う世界を想像することができたら、いいなと。
そしてこの本を読んだ後も、想像の世界を広げられると嬉しいなと思ってます。
ー 子どもの頃から絵はよく描いていましたか?
子どもの頃はお友だちと一緒に描いたりする時期がありますよね?
私もその時にそれなりに描く程度でした。
その後は、成長する流れで、自然と描かなくなって。
なので、まさか自分が絵かきになるとは思ってませんでした。
ー 少女時代にお友だちと描いていた絵はどんな絵だったんですか?
小学校の頃は、キラキラの女の子がたいてい耳が垂れている犬を連れている絵を描いてました(笑)
そうでしたよね?
あ、今思い出したんですけど、小学校3,4年生のときに、動物の絵が得意なヨウコちゃんがいて、その子が絵を描いているのをずっと見ているのが好きでした!
20分休みになると、お友だちとドッヂボールとかするよりもヨウコちゃんのところへ行って「描いて描いて!」って。
ー ヨウコちゃんに何を描いてもらっていたんですか?
ヨウコちゃんは動物を描くのが得意で。
それで「馬」の絵をよく描いていて、小学生ながらにすごく衝撃を受けました。
うん・・・。なんか今そのことをすごく思い出した!(笑)
あと、隣の隣のお家だったハナちゃんもすごく絵が上手で、
「ハナちゃんは絵が上手だけど、マッちゃんは・・・」という感じだったので、「あぁ、私は絵がダメなんや」って思ってました。
今思えば、「上手」とか「下手」とかそういうものじゃないと思えるんですけど、その頃はそうなんやと受け止めていました。
ミロコさんの纏っている柔らかで芯のあるオーラに惹きこまれるふろ@ひらつー
ー ほかにも子どもの頃の思い出と言えば、何が思い浮かびますか?
学校から帰ったら、蹉跎の公民館へ遊びに行ってました。
でも、週に4日は習い事で、なかなか友達とも遊べなくて。
それがすごく不満でした!
ー 週4も!?それは大変ですね!
私達(ふろとミロコさんは同世代)の時代に習い事がそれほど多い子は珍しかったのではないですか?
そうかもしれないです。
学習塾、そろばん、ピアノ、習字・・・
すぐ辞めちゃったのもありますけどね。
ー その中で身になっている習い事は?
あんまりない(笑)
でも強いて言えば、ピアノは下手ですけど好きでした。
すごく私を分かってくれるいい先生と巡りあえて。
「マチコちゃんは(ピアノが)上手くなりたいわけじゃなくて、好きな曲が自由に弾けたらええんやね。」という感じで。
レッスンも「こうしないといけない」ということがあんまりなくて、大学卒業するまで同じ先生に習ってたんですけど、時には先生と歌を30分歌ってたり(笑)。
私にはすごく合ってました。
ー「自由」「枠を飛び出して」「制限しない」ピアノのお稽古のキーワードも、今のミロコさんのワークショップと同じですね。
うん。そうですね。
もともと自由が好きやったってことですね。
あと、習い事が多かったっていう反発心から「自由」とか「制限しない」ことを求めてるのかもしれないですね。
ひらつーを見ながら擬似散策
ー 光善寺もひらつーでよく取り上げていますが、知っている所はありますか?
(iPadでひらつーを見ながら)
うん。うんうん。
もう、全部分かる(笑)
国道1号「中振」交差点地下道の壁画【枚方まちなかアート】より
ー この地下道の壁画はご覧になったことありますか?
あ、ありますよ!もちろん!
犬を抱っこしている絵とかありましたよね?
ミロコさんが言っていた犬を抱っこしている絵はこちら。
磯島高校(現在は枚方なぎさ高校)の生徒さんの作品です。
ー 気になった絵はありますか?
あります!
すごく強烈に印象に残っているのが、メガネのおばちゃん(?)の絵です!
あ、もしかしたらおばちゃんじゃないのかな?怒られちゃうかな?(笑)
ー こちらは枚方西高校の壁画で、美術の先生の似顔絵だそうです。
国道1号「中振」交差点地下道の壁画【枚方まちなかアート】より
へぇー、美術部の先生やったんですね。
愛されてますね、先生。きっと嬉しいですよね。
こんな大きな所にずっと残るし。
壁画が描かれる前はちょっと怖い地下道やったけど、こういうのすごくいいですよね。
ー ほかに、思い出のあるお店などありますか?
めちゃくちゃ覚えてます。
誕生日ケーキは、いつもコンフェクトナカジマで買って貰ってました。
「コンフェクトナカジマ」の『シューアイス』【ひらつーグルメ】より
あと、実家が自営業だったので家に来るお客さんがお土産に買ってきてくれるんです。
だからお土産のあずき色の箱が見えると「あっ!コンフェクトナカジマや!」って思ってました(笑)
光善寺駅近くの「アラジン」が閉店するみたい より
アラジンも懐かしい。もう閉店したんですよね。
おもちゃとかペット用品もたくさんあって、日用品も買ってました。
ディスカウントショップのピロットもよく利用してました。
ピロット
アラジン行って、目的のものが無ければピロット。
ピロット行って、目的のものが無ければアラジンというコースでどちらかに必ず欲しい物が置いてあります。
ピロットは昔は市場で、お豆腐や八百屋さん、お魚屋さんもあったので、よくおつかいに行ってました。
そこで「今日はこれおまけや」って何か貰ったり。
「ブックス太陽」っていう本屋さん!
毎月ここで少女まんがの「りぼん」とか買ってました。
「ねこねこファンタジア」とか「姫ちゃんのリボン」とか「ちびまるこちゃん」をよく読んでました。今は無くなって寂しいですね。
こういう、店主さんがいる本屋さんがすごい好き。
無くなってすごく残念・・・
ー 今でも行かれるお店はありますか?
たぬきばやしやまつもとで、地元の友だちや家族と飲みに行ったりします。
たぬきばやしはお塩でお寿司を食べるんですよねーと楽しそうに話してくれるミロコマチコさん
特に小学校の時の友達とは帰省すると会います。国道1号線にあった「木曽路」でバイトしてた時の友達もイベントに来てくれたりします。
枚方の友達、今でもたくさん繋がってます。
実はインタビュー後も、こちらの草々徒で小学校からのお友だちとランチの約束をされていました。
どんな町であってほしいですか?
ー ミロコマチコさんも育った、故郷の町である枚方、そして光善寺。
今後、どんな町になっていってほしいと思いますか?
色々と便利になる一方で、どこかローカルさを味わえる町であって欲しい。
”ここにしかないお店”がたくさんあると思うんですけど、それがそのままであって欲しいです。
お店の人は「あの子がこれをいつも買うから、この日には仕入れておこう」とか覚えていてくれたり、そしてそこで育っていく人がいて。
特に光善寺はいい意味で変わらない、いつまでもそんな町であって欲しいです。
ー 最後にこんなお願い聞いてもらえますか?
ぼしひこくんを描いていただきたい!
ー 枚方つーしんには、ひこぼしくんならぬ、「ぼしひこくん」という個性的なキャラクターがいるのですが、もしよかったら描いて頂けないですか・・・?
枚方つーしんのキャラクターぼしひこくん
胸の「光」は光善寺の「光」なのだそう。
星であるぼしひこにもかかってます
ふろ「はぁ・・・(感無量)ひらつーみんなで大事にしますー!!」
こちらの絵はひらば(鍵屋別館4階)で飾らせていただく予定です。
みなさんもお立ち寄りの際は、ぜひ御覧ください。
インタビューは以上です。
ミロコマチコさんの絵も本のお話もとても好きなので、今回のインタビューを本当に楽しみにしていました。
実際にお会いしたミロコマチコさんは、とても自然体で、吹く風を感じるまま、でも風向きは選びながら自由に飛行しているような方でした。
制限のない自由な”想像”と”創造”を楽しんでいて、かつ ひょうひょうとしている様子に親しみを感じると同時に「自由に」というキーワードからブレない芯をしっかり持っていて、それがあのダイナミックで躍動感あふれる画風にも繋がっているように思えました。
とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
今後の活動もますます応援したいと思います!!
ふろ@ひらつー