今回お話をうかがったのは、枚方育ち枚方在住の峰山和真さん。一般社団法人ELLYという団体で活動されています。
爽やかな短髪にスーツを着こなす現在は「男性」です。
峰山さんは「女性」として生を受けました。名前は唯(ゆい)。幼い頃から男の子と遊ぶのが好きで男の子のおもちゃに興味をもつ女の子でした。
小さい頃は男女の差はそれほど感じなかったという峰山さんですが、歳を重ねるごとに「男」と「女」の区別がハッキリと出てきます。
ところで皆さんはLGBTという言葉をご存知でしょうか?
一般社団法人ELLY より
峰山さんは「心と身体の性別に違和感を感じる」上記の分類で言うとトランスジェンダーでずっと苦しんできたそうです。
誰にも相談できずに自分でも自分がわからない。
LGBTという言葉すら知らなかった峰山さんは悩み続け、女性という区別の中でスカートを履くことを強いられ悶々とした学生生活を送り、高校の卒業式の日にマンションから飛び降り命を断つ決意をします。
あと一歩踏み出したら落ちる。
そこまでいって、ふと「自分の人生ってなんだったんだろう」と思い直したという峰山さん。そこから峰山さんの人生は大きく動き出します。
今回のインタビューでは枚方で育った峰山さんと一緒に、峰山さんの思い出深い場所をめぐり「LGBT」とはどんなものなのか、詳しく聞いてきました。
― 枚方の思い出深い場所ということで、命を断とうとされたマンション近くに来ました。
実は実家が近くなので自殺未遂をした時以降もちょくちょく近くには来るんです。
マンションを見上げる峰山さん
― 飛び降りる寸前で気持ちに大きな変化があったんですか?
自分の人生ってなんだったんだろう?
楽しいことなかったな…
もっと友だちと遊んでみたかったな…とか。そんな中で、
こんな風に性別で悩むのって別に自分は悪くないよな?って思ったんです。
別にたまたまじゃないかな…って。
それまでは誰かに自分のほんとうの事をいうと嫌われるんじゃないかと思ってたんですが、友だちもいないし家族とも距離があるし失うものはない…だからこれからは全部出してみよう!と思ったんです。
だって別に自分は悪くないもんって。
― それまではマイナスにしか考えられなかったのが、極限の状態になってはじめてポジティブに?
そうです。
そこから実家も出て環境も全て変え、大学時代はSNS(web上での社会的ネットワーク→Wikipedia)で同じような悩みがある人を探して会っていったんです。
ヒッチハイクをして色んな人に会っていって自分の悩みを打ち明けていくと、みんな否定的ではなく「そうなんや」と受け入れてくれて。
― カミングアウトしていったんですね。
はい。さらに大学生の時に胸を取る手術をして、男性ホルモンの注射をし、名前を「唯」から「和真」に変え、最後に子宮卵巣を取る手術をしました。現在は戸籍上も男性になっています。
― 手術までしないと戸籍上男性にならないんですか?
はい。日本の法律で決まっていて、そこまでしないと男性の戸籍にならないんです。海外はその必要はない国もあるんですが…。健康な身体にメスを入れるので、問題にはなっているんです。
そしてメスを入れるためには「性同一性障がい」という病名が必要になります。僕は心と身体の性別が違うだけで「障がい」とみなされるんです。
保険は効かないし、手術費用はいい軽自動車を購入できるくらいの金額はします。
ただ、それより女性として生きていくのはイヤだ、このままなら死にたいという気持ちがあったので手術をしました。
― いつから性別に違和感があったんですか?
よく聞かれるんですが、ものごころついた時から男の子と遊ぶのが好きで男の子のおもちゃが好きで小学校の頃はずっと男子と遊んでました。
私服も男子っぽいもので、親が選んだ服がかわいい系の時は学校へ行くときだけそれを着て、もう一組服をもっていって学校についたらすぐに着替えて…とかしていましたね。
自分の身体と気持ちの進み方が完全に追いつかなくなったのが中学生の頃です。男女別の授業で分けられる機会も増えてきます。
当時は自分の置かれている現状が理解できなかったですし、言葉も知らないのでどういうことなのかわからないけれど、周りに同じ状況の人はいない。周りからは「オカマ」とか「男女」とからかわれる。
完全に駄目なことなんだ、表に出してはいけないことなんだ、と思っていました。
ただ、中学時代はみんな仲良かったですし、小学校から一緒だった男友だちもいたので、休み時間はずっとサッカーをしていましたね。
でも、この頃から恋愛の話が出てくるので女の子は「◯◯くんが好き」という話になってくるし、男の子は下ネタも話し始める。そんな中でどっちにも入れない、どっちの気持ちもよくわからない。どこにも属せない気持ちでした。
好きな女の子に恋愛相談を受けるけれど、僕はその子のことが好きだったりもしましたし…。
当時にLGBTというのを知ることができていたら…とは思います。この頃は自分の未来が思い描けなかったですね。
― 高校の近くへは?
車で旧1号線を通ることはあっても、こうして訪れることは卒業以来です。一番悩んで苦しかった時代なので。
― 制服はスカートですよね?
はい。当時は女子高生していました。
友だちも最初は作ろうと思ったんですが、スカートをはいた時点で自分を偽っていると感じて。女の子の輪に入って恋愛の話をしても面白くないし、スカートをはいているので男子の輪に入るのも躊躇してしまって。
高校の時は友だちがゼロだったんです。今だから話せますが、自分自身のことが男なのか女なのかわからなかったですし、思春期なので完全に男女グループがわかれて。
でも女の子とも話せないし、だからといって男の子グループにもいけないし…なぜ自分だけこんなに不幸なんだ…と視野が狭くなっていて。
先生の中にも悪気はないと思うんですが「オカマ」という発言をする人もいて、やっぱり周りの生徒も便乗するので…。そういう人って変なんだ、おかしいんだ、と僕自身も思い込んでしまったんです。
友だちはゼロでしたが、一回休むと行けなくなると思ったんで自分は空気だと思って三年間皆勤賞でした。
もし行かなくなったとしても、その先どうなるのかもわからない不安もあった。なのでルーティーンから逃げられないという部分もありました。毎朝気分悪くなりながら正門をくぐっていました。
次に校舎に入る時は講師としてLGBTについて教える立場で行きたいです。
僕が経験して「辛かったから・かわいそうだから優しくしてあげてください」という話をする訳ではなくLGBTについて正しく知ってもらうために話をできればと思っています。
― 今日はスーツですが思い入れがあると聞きました。
スーツってかっこいいなぁと思っていたんですが、自分がスーツを来て働ける姿がイメージできなかったですし、僕はスーツを来てネクタイをするだけで嬉しいんです。
現在はサラリーマンをしながら一般社団法人ELLY(エリー)という団体で「LGBT」について正しく知ってもらい「ひとりひとりが輝ける社会づくりを。」をミッションとして活動をしています。
最近よく聞かれるのは「過去の自分に何を伝えたいですか?」と聞かれるんです。
ありきたりですが、今は辛くても絶対いいことがある。今は視野が狭くなっていると思うけど本当は違うんだよ?と教えてあげたいです。
「真っすぐに前向きに!」というのがいつも使う言葉なんですが、この言葉を伝えたいです。
― 今後の夢を聞かせてもらえますか?
そのためには小学生などのできるだけ早い段階で、「性別はいくつかの要素が組み合わさって出来ていて、人の数だけ性別がある」ということを知ってもらえればと思うんです。
以上、峰山和真さんのインタビューをお届けしましたがいかがでしたでしょうか?
今回お話を聞かせてもらった峰山さんの講演会が今週末11月27日(日)15:00〜メセナひらかた会館6階大会議室で行われます!
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性別って2つだけ!?
〜LGBTってなんのこと?〜
日時
11月27日(日)
15:00〜16:00
場所
メセナひらかた会館 6F大会議室
枚方市新町2丁目1番5号(→Googleマップ)
定員
50名
参加費
無料
「この記事でLGBTを知った」「もっとLGBTのことを知りたい」「峰山さんの話を直接聞いてみたい」などなど、この記事でLGBTに興味を持った、峰山さんと会ってみたいという方は、ぜひこの機会に参加してみてください!
また、峰山さんの所属するELLY(エリー)ではLGBTを学びたい、取り組みたいと考えている教育機関・行政機関・企業さまへの出張LGBT講演会も実施中とのことです。
ぜひウチで講演して欲しいという場合は下記の連絡先から直接ご依頼くださいねー!