こんにちは!最近新しくひらつーメンバーに加わったシュン@ひらつーです!
今回インタビューさせて頂いたのは、枚方市茄子作に工房をかまえる吉岡正見(まさみ)さん。御年77歳。
どのような方なのかというと…
このような五重塔などの建物の外観と断面の図面を描かれる方です。
描かれた図面が2016年秋にオープン予定の京都府立総合資料館で展示されるそう。
吉岡さんの作業場へおじゃまして詳しくお話をうかがってきました。
ー もともとは何のお仕事をされていたのですか?
もともとは大工で15歳のときに弟子入りしたんよ。
ケガをして70歳の時に引退したのかな。
ー ケガというのは…?
作業場で脚立から落ちてそのときに左手に大ケガをしちゃってね。
それで引退。
ー それは大変な目に遭われたのですね…
引退されたあとはどうなさっていたのですか?
ケガのあとに病院でリハビリしながら、近くで高速道路の工事をやってるって言うから、その様子を図面として描いて…
ー それ、もしや第二京阪道路(→Wikipedia)ですか?
そうそう、第二京阪。
毎日通って出来上がっていく様子を描いてね。
毎日来るからガードマンの間で「あれは何者だ?」って噂になってたみたいやね。 (笑)
吉岡さんが描いた際に第二京阪道路の図面の一部
ー そうなんですか…笑
製作にはどのくらいの期間がかかったのですか?
歩きながら枚方から門真まで描いていって、だいたい2年ぐらいかかったかな。
ー この第二京阪の図面を描いたのがきっかけだったと。
そうやね。自分としてはここからはじまったって感じやね。
吉岡さんの描いた第二京阪の図面を交野市がまとめてくれたもの
― そこから、なぜ寺社仏閣の図面を描こうと思ったのですか?
もともと興味があって、いつか(寺社仏閣を)描きたいってのはあってね。
昔から教科書に載ってる五重塔やら姫路城やらを模写してたから。
吉岡さんが描いた五重塔の模写
ー もともと歴史的な建造物に興味があったのですね。
なんというか、一種の美学みたいなものがあるというか。
だから惹かれるものがあったのかな。
それであるとき、建築の出版物の折り込みで付いてた五重塔の図面をもとに自分で描いてみた。
でも、描いてみると、屋根の長さが揃ってないのに気がついて。他にもおかしなとこがあちこちにあって。
ー 出版社が出したものが正確ではなかったと?
そう。だからこれではだめだってことで、自分でおかしな箇所を全部書き出して。
それでそれをもとに五重塔の正確な図面を描き直した、それがキッカケやね。
吉岡さんが初めて描いた五重塔の図面。
図面の矛盾点が細かく書き込まれている。
ー 図面を描く際は何を参考にするんですか?
図書館の文化財課ってとこに納められてる資料をお借りして、それを参考に描く。
そういう資料はだいたいA4ぐらいのサイズだから、それを見ながら大きく描いていく。
作業場に掲げられた様々な図面
ー 描く際に注意している点はありますか?
やっぱり、歴史的背景や宗派なんかによって細かな特徴が違う。
だから描く上でまず仏教やなんかの勉強もして、下地も知っておくようにはしてるよ。
やっぱりそういったところから先にしておかないと。
そこから、その建物にあわせた型を作ってね。
ー 型というのは…?
それこそ建物によって大きさや屋根の傾斜が違うからそれに合わせた木の型を作るね。
その型を使って、ペンで線を引く。ペンも描く場所によって細さを変える。
線を引くときはインク溜まりができちゃうから途中でとめちゃいけない。
遅すぎず早すぎず、一息に線を引く。
人様の前に出すものだから、半端なものは出せないしね。
バルサ(→Wikipedia)という木材で作られた型
ー 図面を製作する上で大事なことは?
まずは環境。
作業するのであれば、場所は静かな場所じゃないとだめ。
ー それは集中するためですか?
そう。雑念を払って自然体で。
こういったもの(図面を描くこと)は遡ったら職業になってくる。
だから人前に出すのなら、それなりの環境で取り組まないと行けない。
作業場には読売新聞に掲載された記事が置かれていました
ー 出来上がった図面を寺社へ奉納されたと聞きました。
うん。はじめに山口県の瑠璃光寺(→Wikipedia)と京都の東寺に五重塔の図面を奉納して、結果的には全国で23カ所に納めたよ。
京都の仁和寺からは感謝状を贈ってもらってね。
お寺さんからこうやって感謝状をもらったのは初めてだったよ。
ー 今後の目標はありますか?
目標ねぇ…
あるけど…まだ言いたくない。(笑)
ー えっ…それはなぜですか?(笑)
今の段階じゃまだまだだから。
だって世の中にはスゴイ人いっぱいいるじゃない?
自分は小さな小さな生き物にしかすぎない、どうってことないって思うもの。
でもとりあえずは秋に予定してる、新しい京都府立総合資料館のオープンがひとつの区切りかな。
ー 新しい京都府立総合資料館に吉岡さんの図面が展示されるんですよね?
そう、ガラスケースに入れて展示してくれるらしいよ。
まあそれがひと区切りとして、次のことはそのあとに考えるかな。
ー 常に次を考えているんですね。
そりゃそうよ。
なんていうか、次から次に前向きな姿勢というか、後ろ向いたらいかんって思う。
せっかくの人生だもん。
ー なるほど…勉強になります…!
いつ死ぬかってのはわからん。
だからその与えられた命を無駄のないように使う。
自然と同じ。
野菜を植えて、育てたらいつか大きくなって実をつけて食べられるようになる。
それと一緒で、人間も90(歳)にならないとわからないこともある。
だからまだまだ。今の時点でやれることをやってくだけやね。
これからのことは…まあ乞うご期待。(笑)
ー 最後にひとことお願いします。
まあ飾り気はないけどね。
この身一つでどこにでも行かれるし、どこでもできるから。
これからもずっと続けていきたいね。
インタビューは以上です。
吉岡さん、ご協力ありがとうございました!
新しい京都府立総合資料館が完成した際には、吉岡さんの作品を見に足を運んでみてはいかがでしょうか。
吉岡さんが広報ひらかたの市民登場に取り上げられた際の記事はコチラからご覧いただけますので、吉岡さんの活動が気になる方はぜひそちらもご覧ください。
広報ひらかた平成27年6月号
記事の途中にでてきた「第二京阪道路のレポート」を全部写真に撮らせてもらったので、明日記事で公開しようと思います!お楽しみに!