ついこないだまで、おばけだ仮装だって騒いでいたのに…
すっかり世間はクリスマス気分って、ちょっと気変わり早くないですかー
って、一人ハロウィンに乗り遅れたのでスネてるのは内緒
そんなほんちゃん@ひらつーがお送りするシリーズ企画。
「津田サイエンスヒルズ見せて!」
(シリーズ概要はこの記事をチェック!)
(過去の「津田サイエンスヒルズ見せて!」シリーズはこちらから)
20を超える企業・施設が集う場所、「津田サイエンスヒルズ」。
そこには果たしてどんな技術やお仕事があるのか…?
第6回目はここです!
「吉泉産業 株式会社」さん!じゃーん!
サイエンスヒルズ内での場所は、この辺りになります。
けっこう手前側、第二京阪のすぐ横ですね。
吉泉産業さんのwebサイトの中には、
「フードスライサーのエキスパート!!」
と書かれてあります。
エキスパートと言い切れるほどの自信があるということなのでしょうか?
さぁー、今回もできるだけ分かりやすく…楽しく取材するぞー!
(食べ物と聞いて、おなか減ってきた)
では、いってきます! !
1:「吉泉産業」って、どんな会社?
2:産学連携で、難しい技術にも挑戦!
3:未来はお客さんが教えてくれる? 〜まとめ〜
今回お話を伺ったのは、佐々木さん(代表取締役)です。
ほんだ
元々はどちらでお仕事されていたんですか?
佐々木さん
会社は昭和30年に守口で創業して、平成2年に村野浄水場の向かいのローソンがあった所に移転しました。その後、平成17年に津田へ移転してちょうど10年になりますね。創業から数えると今年が60年目、還暦を迎えます。
ほんだ
おぉ、節目ですね。創業時から、お仕事の内容は今と同じなんですか?
(ゆったり座って話を伺います)
佐々木さん
元々は熱処理をやっていました。
ほんだ
熱処理?
佐々木さん
焼き入れとか焼き戻しとか…金属に熱を入れて、硬さを調整するような仕事をやってました。元々はおじいさんの代から名古屋あたりでやっていたようで、縁があって先代(吉泉さんの父親)が守口に来たみたいです。
(今でも刃を作るのに熱処理を行っておられます。職人!)
ほんだ
おぉ、刀鍛冶さんみたいな感じですね。
佐々木さん
創業当時は熱処理をやっていたんですが、これだけだと将来性がないねぇという話になって。で、この技術を使って何ができるかという話の中で、機械の変速機(※1)を作るようになったんです。金属でできた歯車は硬くないといけないので、この焼き入れの技術を使う、ということですね。
※1…変速機:歯車を切り替えて、スピードやパワーを変化することができる装置のことです。自転車でもありますよね、がちゃがちゃと歯車を変えられるやつ、あれです。
(作っていた変速機、1Fにある企業ミュージアムより)
ほんだ
熱処理から変速機ですか。
佐々木さん
そうなんです。すると、あるときうどん屋のチェーン店から「ネギを切る機械ができんか?」という話がきまして。まぁ大量にネギを切らんとあかんので、その機械をこしらえてほしかったんでしょうね。うちは刃物も焼き入れで作れるし、変速機も作れるし、ほな作ろうかと。
ほんだ
おぉ、食品加工の道は偶然なきっかけだったんですね!
佐々木さん
そうですねぇ、ネギ切りから始まった流れで、そのまま食品を切る”スライサー”を手がけるようになりました。最近は切るだけじゃなく、洗浄したり脱水したりもする一連のシステムも作りますよ。
(屋上には芝をひいておられました)
ほんだ
実際に津田へと移ってきて、いかがですか?
佐々木さん
広さはそこまで変わらないですが、環境はいいですよね。ゴルフ場もあるし(笑)。第二京阪のインターチェンジも近いんで京都にも大阪にも30分ほどで出られるのはいいですね。また、津田サイエンスヒルズのイメージからか求人も集まりやすいんですよ。
ほんだ
へー、求人にも影響があるんですね。
佐々木さん
今、津田サイエンスヒルズのまちづくり協議会会長をしてるんですけど、働く人にもっと優しい環境にしたいですね。今、向こう側に食堂やってるんですけど、次はそこに託児所を作りたいと思ってるんですよ。
(ばばっちがひらつーグルメで吉泉食堂行ってましたね)
ほんだ
食堂は気になってたんですよ!働きやすい環境って重要ですものね。
ほんだ
食品に関する機械を作っている企業は他にもいろいろあるかと思うのですが、吉泉産業の「特徴」はどんな所に?
(パンフレットを見ながら話を進めます)
佐々木さん
まず、“食品機械”というのがとてもニッチな産業なもんで、工作機械のメーカーさんと違って小さい会社が多いんです。なぜかというと、まだまだ食品に関しては「手作り」の部分がたくさんあるんですね。例えば「ふぐ」って今ではスーパーでも売ってたりしますけど、さばくのは調理師でないとだめでしょ?
ほんだ
そりゃ毒があって怖いですもんね。
佐々木さん
おなかを裂いて、危険な部位を手洗いして、皮を剥いで、身はてっさにして、骨のついたところはてっちりにしたり唐揚げにしたり…こんなの機械にポンと放り込むだけでは無理でしょ。別にふぐでなくたって、魚を加工するにはいろいろな行程があります。皮剥いて、うろことって、二枚か三枚におろして、切り身にして…。
ほんだ
確かに。
(切り身を作る機械はこのくらいの大きさです)
佐々木さん
ですので、食品機械はものすごいいろんな種類があるのが特徴です。ちなみにうちが作ったシャケを切り身にする機械は、取り付けたカメラの画像を処理しながら一切れずつの重量をそろえて、斜めに切っていきますよ。
ほんだ
形や大きさを変えてシャケを自動で切るんですか!?この画像処理のシステムもここで作られたんですか?
佐々木さん
産学連携って言うんですかね、「枚方地域産業クラスター研究会」というところに入っていて、今会長をやってます。この関連で大阪工業大学の先生に手助けしてもらいながら、こしらえたというところですわ。
(工場の中はずらりと機械が。真剣なところを撮影。)
ほんだ
なるほどー、連携しながら技術を高めておられるんですね。
佐々木さん
そうそう、この機械で文部科学大臣表彰をもらいました。一緒の時に受賞したものがあるんですが、何やと思います?
ほんだ
んー…(考える)
(表彰状がありました)
佐々木さん
スーパーコンピューターの「京」ですねん。同じ賞やけど、えらいレベルがちゃうやん、と(笑)。まぁ、教育研究部門としてスパコン、特許の部門でユニークな製品開発としてこの機械が入ったということです。
文部科学大臣表彰…文部科学大臣は毎年、日本の科学技術分野について「顕著な功績をあげた者」を対象として表彰している。吉泉産業が受賞した”技術部門”は「中小企業、地場産業等において、地域経済の発展に寄与する優れた技術を開発した者」が対象となっており、平成24年度は14件の受賞があった。すごい!!
ほんだ
いやぁ…これはすごいことですよ(しばし興奮)!そういえば、この機械ってテレビとか出てませんでした?
佐々木さん
そうですね、クイズとか情報番組とか…いろいろ出ましたね。まぁ、もう飽きてしまったのか、最近は全然でませんけど(笑)。
ほんだ
先ほど、特徴の話からシャケ切り機の話に飛びましたが…吉泉産業の「強み」とは?
佐々木さん
それは「一貫してできる」という点ですね。開発製造から販売、メンテナンスまで。
(話に熱が入ります)
ほんだ
というと?
佐々木さん
こういう分野は「セットメーカー」が多いんです。セットメーカーは、他の工場でいろいろ部品を作ってもらって、それを最後に組み立てた(セットした)ものを売るところです。すると、ユーザーさんから「壊れたから修理して」と言われても、1点ものの部品をまた購入して…というのは難しいですよね。
ほんだ
確かに。
佐々木さん
うちは図面もあれば、部品も作るのですぐに修理対応できます。販売も直接してますから、要望も直接きますし。
(どんどん進む話にのめり込む図)
ほんだ
自社で責任を持って対応できるってのは、ユーザーからしても大きなメリットですね。
佐々木さん
この分野は自然のものを相手にしてるでしょ。なので宿題が多いんですね。そして量産もできない。なので部品から販売・メンテまで一気通貫でする少量多品種の製品作りが向いてるんですよ。
ほんだ
確かに、一点ものだとまず完成品を作るのが難しいから、出してからちょっとずつ修正を加えて、そしてよりよいものを提供していく、と。
佐々木さん
例えば「ハモの骨切り機」。これも昔は高級やったけど、今はうちの機械があるからスーパーで買える。でも、まだ難しい加工もたくさんあります。これまでもそうでしたし、これからもたくさんそういった要望がくるんでしょうね。それに応えるのがうちの仕事です。
ほんだ
なるほど、今後の吉泉産業の展望というのはありますか?
佐々木さん
将来の展望は、お客さんが教えてくれます。自分らがこれや!って言ったところで、売れるとは限らない。でも、「これはなんとかできんか?」と言われるときに初めてその先が見えてくる。今後もこういうことが出来るようにアピールせなあきませんな。
(入り口にあった吉泉産業のキャラクター、ヨッシーくん)
ほんだ
これからも、お客さんの要望に応えて「すべて自社で作る」ことで、前へと進むんですね。
佐々木さん
そうですね、名刺もwebページも自分たちで作ってますよ。まぁうまく作るにはプロに頼まなあかんかなぁ、と思いつつ(笑)。
ほんだ
いやはや、意識が会社全体で徹底されているんですね。今日はお忙しい中、いろいろとお話をお聞かせいただきありがとうございました!!
(自慢の中庭に出て記念撮影)
取材の最後に佐々木さんは「これからの日本では、ニッチな業界の中で“小粒でもピリリと輝く”企業が増えるのが理想の姿」と話しておられました。その理由としては「海外との競争では大量生産だとどうしても弱い部分がある。数ではなく一点に技術やアイデアを込めていかねばいかんのでは」という提言をされていました。“長期的に見た経済の動きを見据えた活動”というのは、産学公の連携で社会との繋がりもつくっているからこそ、その気持ちも強いのかもしれません。
《おまけ》
◆関連リンク
・津田サイエンスヒルズ
・吉泉産業 株式会社