5月から始まりました新企画「枚方マニアックさんぽ」。
名前のとおり、何らかのジャンルに対してマニアックな知識を持つ方と街ブラをするという企画です。
第1回はビックリマン大好き人間カトゥー、第2回はシンガーソングライターのAYA1000RRさんと枚方の街をぶらぶらしましたが、第3回のゲストは……
三井先生(右)と葛原さん(真ん中)です!
(左は今回の案内人すどん@ひらつー)
三井先生
→枚方高校の生物飼育部の顧問をつとめていて、主体的に枚方を盛り上げていこうとする市が公募した市民団体ひらかたプロデューサーズ(通称:ひらぴー)の一員でもある先生。
生き物は魚類がメインですが、生物教師ということもあって、昆虫などにも造詣が深い、頼りがいがある方です。
葛原(くずはら)さん
→くずはみたいな名前ですが枚方高校に通う寝屋川市民。
生物に対する思いが尋常じゃなく、なんかいろいろとすごすぎて、僕すどんとしては今一番ひらかたで熱い女子高生やと思ってます。凄さに関しては多分この記事で伝わるはず。
おふたりは以前にもカスミサンショウウオの人工繁殖の研究で優秀研究賞を受賞した際や、山田池公園の池の水を抜いた時、天野川のフィールドワークの様子を取り上げた時などにもひらつーに出演してもらっています。
すどん@ひらつー
→ひらつーの開店閉店とかを担当する「枚方めっちゃ調査部」の自称部長。
生き物よりも食べ物派。
「それじゃあ早速、牧野を街ブラして、生物好きならではの視点で枚方を見ていきましょう!」
「へぇ〜今日はそういう企画なんですね。川に入るわけではないんですね!?」
「すみません、そういえば先生に企画趣旨について説明してなかったですね。それぞれ何か特徴のある人の街の見方を知って、枚方の見方を変えるという〜〜ペラペーラ」
「川に入るならサンダルでこればよかったなぁ」
「そんだけ川の話するんなら、まずは牧野駅そばを流れてる穂谷川沿いに行ってみましょうか」
(そうして歩き出した我々。撮影担当はガーサンです)
「まずは人となりから、というわけで今現在気になっている生物ベスト3について聞いていいですか?まずは葛原さんから」
「第3位 エボシカメレオン、第2位がミゾレウミウシ。第1位が……え〜〜〜……オキナワキノボリトカゲ?」
「全部知らん(笑)気になるけど一旦置いておいて、先生のベスト3は?」
「3位はヒキガエルかなぁ。今ちょうど育ててるんで。2位は学校で繁殖してるということでヘイケボタルです。で1位がカワバタモロコ。絶滅危惧種1類の魚で、繁殖させたいのでそれが1番気がかりです」
「先生の回答はリアリティのある、手の届く範囲というか」
「そうそう、今いてる範囲が気になるんです。あ、あそこから川へ降りられるんじゃないですか?」
「あれは降りられそうですね。でもこの辺ガサれるポイント少なそう(編集部注:多分アミでガサっとできる場所のこと」
「いやでも水が停まってるからいい感じやで」
「なんですかその2人の謎の意思疎通!魚がいるところがわかるんですか?」
「あんなところとか完全に水が停まってるので……」
「本流とつながってるけど、水の流れがほとんどのないので、ああいうところは魚がいたらたまってますね」
「へぇ〜生物好きは川のそういうところを見てるんですね」
「川沿いを歩いている時はどこが魚が取れそうかとか、個人的に来た時にどこから川に降りようかなぁとか。ずっと考えてます。新しい川を見たら絶対」
「私はどっちかというと民家を見て、あ、寄せ植えいい感じ、みたいな。でも川も見てるので首が忙しいというか」
(穂谷川沿いを進みます。ちなみに葛原さんは植物もイケまして、食べられる雑草を見分ける特技を持っているそう。なにその特技)
「あそこ気になる」
「あーうん。いい感じやなあそこ。あ!あそこ亀いてましたよ!クサガメかな?」
「え!?」
「あの青いペラペラのビニールのもう少し手前のところに2匹います」
「あ、ホンマや!動いた!この距離でよくわかりましたね〜!」
「でも魚も泳いでますよ。水面がチャポンチャポンってなってるじゃないですか。あの辺は魚がいてて、目視もできます。オイカワかな?たぶん」
「この距離でたぶんとはいえ魚の種類までわかるんですね笑」
「先生は川のプロフェッショナルです」
「いやいや、好きなだけやで」
「そろそろ話戻しますが、さっきのランキング3位から聞いていきます。葛原さんの3位は……なんかすごいトカゲやっけ?」
「エボシカメレオンですね」
「全然ちゃうかった。エボシカメレオンというと、普通のカメレオンじゃないってこと?」
「夏休み入りたての時にニフレルにいるのを見て一目惚れ♡」
「一般人が飼えるようなカメレオンなんですか?」
「飼うのは割とカメレオン全般が難しいんです。目がおっきいから、木とかが擦れてバイキンが入って病気にかかりやすかったりして。カメレオンは弱くて、飼いにくいって言われまして、まだ手を出せていないんです」
「そんなに詳しいってことは一回飼おうとした?」
「飼おうとしました(笑)真面目に飼おうと検討して…」
「あ、川に入れるところまで来ました」
(階段状になってて川辺まで降りられるところ。2人が川入る気満々だったのでつい)
「ちょっと浅そうですけど、深いところに魚がいるんですか?」
「それは魚によりますね。浅いところでも底の方にくっついてるヤツやったら。あそことか魚いますね。群れてるからオイカワか…」
「群れてると魚がわかるんですか!」
「はい。他にも泳ぎ方とかで」
「へぇ〜!川に降りるとやっぱり魚を探しちゃう感じなんですか?」
「そりゃもうずっとですね。ここにいる魚はもうなんていうか、イツメンですね(編集部注:いつものメンバーのこと)」
「あ!!カマツカおんで!」
「え!?うそ!?」
(カマツカを見つけてテンションが上がっている三井先生。カマツカってなんなんだ…?)
「ホラホラホラホラ!あそこあそこ!」
「なんですかカマツカって「あ、けっこうおるわ!めっちゃおる!」
「あ、おるおる!先生いきません?」
「ななななにそれ!!」
「カマツカおるならいこか」
「行きましょう!」
(カマツカの追い込み方を語る三井先生と、川に入る準備をはじめた葛原さん。街ブラが川ブラに変わる瞬間でした)
「こっちに追い込んだら勝てるな」
「勝てますね」
「これがプロの追い込み漁なんですね笑 いやぁ〜素晴らしいなぁ〜。街ブラはじめて10分以内で川に入る展開とか、最高ですね!」
「すごいすごい!めっちゃいるやん!あれ見えます?底にドジョウじゃないんですが、ピョンピョンってハゼみたいな形のやつがいるの。縞模様のやつなんですけど、あれがカマツカっていいます」
「あー!見えました!」
(そうしてはじまった魚とり。今思えば何も言ってないのに網持ってきてる時点で川入る気満々だったともいえそうです)
「……真ん中に来てるから……」
「……私ここの深いところから……」
「……そのモケモケのところを……」
「そんなわけで2人のエースによる捕物帳がはじまりました」
(捕まえる瞬間のGIF動画。最早コンビ芸)
「あ、入った入った」
「流石ですねぇ(笑)」
「カマツカをひとすくいで5匹も……すごいすごい」
「手慣れてますねぇ〜川魚ってそんな簡単に取れるもんなんですか!?」
「カマツカ好きなんですよ。見てもらったらわかるんですが、かわいいんですよ」
(捕まえたカマツカたち。かわいさがわかるにはまだレベルが足りないようである)
「こっちもカマツカいっぱいおる」
「カマツカがいっぱいおる川ってええ川なんですか?」
「ええ川です。カマツカはこういう砂地があって川の流れがちゃんとあるキレイなところに住んでるんですよ」
「そしたらここはええ場所ですか?」
「めっちゃええ場所ですよ」
「三井先生公認のええ川、穂谷川」
「先生はいつから魚が好きなんですか?」
「物心ついたころから。父親がすごい魚が好きで、三井家のリビングは人間が住んでるんじゃなくて、魚部屋なんですよ。水槽が30〜40とかあるのが当たり前の環境で、毎土日には父親とこうやって魚をとりにきてたんで……」
「エリートじゃないですか!血筋が違う!」
(三井先生がちょっと生い立ちについて語る中、魚を探し続けている葛原さん)
「葛原さんはいつぐらいから生き物好きなん?」
「物心ついたらアミをもって走ってました」
「物心エリートたちやん!」
「セミをずっと捕まえてて、コイツにアミを持たしたら近辺のセミがいなくなるって言われるくらい。近所の人がひくくらいのセミの抜け殻をアミいっぱいに詰め込んで歩いてた女の子」
「そういうことやるヤツおったけど!おったけど……」
(アミいっぱいって説明してるシーン。わかるけど!わかるけどさ!)
「小学校の時はいきものがかりで、メダカとか鯉とか金魚の世話してて、中学校の時は生物関係と携わることがあんまりなくて、小学校の時から続けてた吹奏楽部でウェイウェイやってて。高校入って吹奏楽部に入ったけど、なんか違うって思って辞めて」
「道を間違えたのはやっぱり先生のせいじゃないの?笑……いや、間違えたとは言い切れへんけど笑」
「いや、もう僕が葛原に声をかけた時には既に葛原はメダカを繁殖させてましたよ」
「たしか私が1年生の時の掃除場所が実験室で。掃除終わった後にメダカを見ていて『このメダカかぁ〜餌用で売ってるやつかぁ〜』と思ってたら先生から『好きなん?』って声がかかって。で気づいたらもう生物飼育部に入ってましたよね」
「うん。いやもう、君は生物飼育部に入らないといけないと思ったな」
「(笑)でも確かに高校生でメダカ繁殖させてるヤツは絶対に入らなあかんヤツやわ(笑)」
「逆になんで入ってないねんって(笑)」
「知らなかったんですよ生物飼育部の存在を(笑)」
「でも葛原さんのその様子を見てると生物飼育部に入ってよかったなって思う」
「楽しいですよ!」
「でもホンマに人生は変わっちゃったな」
「本当は私看護師になる予定だったんです」
「進路が看護師から生き物系の専門学校に!(葛原さんは鯉師とかダイビングインストラクターとか水族館の係員になれる学校に行くそうな)」
(そんな話をしながらも2人の手はとまらず、魚を狙い続けていました)
「あ、先生エアー入れときますね!日陰もつくって……」
「魚へのケアもバッチリか。恐るべし生物好き女子高生」
「クラスでもひかれてますよ。アイツは仕方ない、みたいな(笑)でもそのおかげで池の水全部抜くのテレビのロケに2回ほど出してもらったりと、いいこともありました(編集部注:山田池編だけじゃなくて、気に入られて小田原城編にも出たそうです)」
「あ、ガーサン、川の中に入ってるけどふっきれたん?」
(撮影係のガーサンが川の中から撮ってる写真。僕は座ってずっと様子を眺めていました。なんなんこの夏、2018とか思いながら)
ガーサン「いやもうどうせ乾くんで!」
「さすがひらつーナンバーワン野生児(笑)」
「なんか変わった魚がおった」
「ギルやんとかじゃなくて?(編集部注:たぶんブルーギルのこと)」
「オイカワの親くらいのサイズで、上から見たら背中が模様があって…」
「なんかヌシ見つけた的な真剣な空気になった」
「いや、でもショッピングセンターに行くとかより余裕で楽しいです。こんなことしてるから誰も誘ってくれないんです(笑)」
「いやいやいや(笑)素晴らしいで」
「あ、先生が完全に(さかなとる)スイッチはいった」
(葛原さん曰くスイッチ入ったモードの三井先生。腰の下げ具合がガチ)
「おらへんな〜〜……いやでも企画的に川から動かんと駄目ですよね?川だけになっちゃいますもんね」
「まぁ絵面的には動きたいですね。街ブラやのにずっと川(笑)」
「これがカマツカでコイツがドンコですね。これがタモロコで、スジエビ、ミナミヌマエビですね。あとシジミか」
「解説ありがとうございます!わかりません!」
「カマツカだけ持ってかえろか」
「いいところを知ってしまった……」
「うん、ココすごいわ」
「またフィールドワークに。これまで先生たちがココを荒らしてないから魚がいるとかそういうわけではないですよね?笑」
「なるほど(笑)でも確かに天野川も最近入る人が増えたんですよ。池の水全部抜くの影響かわかんないですけど、すごい増えましたよ。個人的に天野川に行った時とかも土日やと結構いてはる」
「個人的にもいくんですね(笑)」
「私はプライベートやと天野川よりも芥川(高槻市)に行く方が多いですね。行きに川に入って、美人の湯(高槻の銭湯)に入って帰る、みたいな。お兄ちゃんも最近川にハマり出して」
「兄まで同じ道に引きずり込んだん?笑」
「生物部で海に行く時に、一回お兄ちゃんも来たんですよ。そっからお兄ちゃんも自分でアミを買ってハマって(笑)」
「完全に沼に引きずり込まれたやつやん(笑)」
「気づいたら兄の部屋のテレビの隣にアカハライモリがおったっていう」
「そういや川には両生類っていないんですか?」
「川は……カエルくらいですね」
「イモリとかが取りたかったら、田んぼのキレイな用水路の水停まってるところに」
「そうやなー」
「なんとも無駄な知識が増えてしまった……絶対オレの人生でイモリをとりたくなる時は来ないはずや!」
「そういえば、今うちの家にウーパールーパーの状態のアカハライモリがいるんですよ。大人になってないんです」
「ってことはイモリも生まれたときはあんな感じなん?」
「生まれたときはイモリはウーパールーパー的な感じなんですが、陸に上がる時にエラがなくなって、みたいな」
「ですので、ウーパールーパーは赤ちゃんの状態で大人になったという、幼形成熟っていうんですけど」
「生物部の先生っぽい発言」
「せやろ?ウーパールーパーの正式名称はメキシコサラマンダーなんです。メキシコサラマンダーのアルビノ(白化)の幼形成熟のことを、商品名として『ウーパールーパー』って言います」
「あのピンク色のボディの。野生の個体は黒です」
「そうそう、黒とか灰色とか。だから、ウーパールーパーも条件を整えてあげたら、イモリみたいな大人になるんですよ。赤ちゃんやから」
「おお、使えそうな豆知識!」
(開始早々30分を川に費やした我々ですが、いよいよ川を脱出しました)
「さて、阪今池公園になんかあるかなー」
「あでも、セミを素手で捕まえられる距離にセミがいてくれたら」
「女子高生がセミを捕まえてるシーンは確かに撮りたい!」
「セミの鳴き声は、アブラゼミは油を揚げる音に似てるからアブラゼミです」
「おお!覚えやすい!」
「あ、セミの抜け殻ありましたよ。葛原、もしかして判別とかできる?」
「ニイニイゼミ系?」
「ニイニイはちょっとちゃうな。クマにしてはちょっと小さいから、アブラかミンミンやと思う」
「いやそれはそんな種類とかじゃなくてただのセミの抜け殻でしょう!!……いやー面白いなぁ!こういうの求めてました!絶対一般人じゃわからへんし!」
「えっとね、クマゼミやったら(抜け殻の腹部を指しながら)ココにボコッとしたものがついてるんですよ。それがついてなくてサイズ的にアブラやと思います。ミンミンゼミとめっちゃ似てるんですけど、触覚で判断できるんです。でもこの抜け殻は触覚がちょっと抜けちゃってるんでわかりづらいんです」
「オスメスの判別とか……」
「この抜け殻はメスのはずやから……」
「え!?その抜け殻でオスメスわかるんですか?」
「ここに産卵管の部分があって……」
「へぇ〜!産卵管で判断できるんですね!」
「あ、とれそうな位置にセミがいるんでちょっと見てきます(結構高いところを指さしながら)」
「あれはとれそうな位置かなぁ!?」
(そうして魚ハントの次はセミハントタイムが訪れました。どんな街ブラなんだよ)
「しかも手でとるんや」
「手(笑)」
ガーサン「あ、2匹つがいでセミがいる!あれやったら僕もとれそうですね」
―とガーサンがセミを見たその瞬間!
「つかまえたー」
(わかりづらいですが手にセミをもってます。セミを素手で捕まえる系JKが爆誕した瞬間でした)
ガーサン「ええええぇぇ!!!??うっそやーん!!!??」
「おった(笑)とりやすい位置にいたのでとれました」
ガーサン「昔からセミは手で?」
「取れる距離は手でいくタイプでした。アミよりも捕獲率が高かったから」
「ギギギギギギギギギギギギ!!!」
「また!またやりおった!!!」
(笑顔でセミを捕まえて持ってくる葛原さん。あ、コレ、今まで遭遇したことのない人種だって思った)
「これはクマゼミのオスですね」
「クマの方が穴をあけて地面から出てくる力が強いんですよ。最近クマゼミが増えてるのは、公園の土がカチカチになったからやという説もあります」
「へぇ〜!すごい豆知識!!」
「あ、アブラゼミが」
「まだ捕まえる気なん!?」
「あそことか、絶好のポイントですよ!とってくださいといわんばかりの!」
「あれね!じゃあせっかくやから普通の人がセミを手で捕まえられるのかってことでやってみるわ」
「スピードが足らないんですかね!?先生!」
「包み込むようにね!」
「公園ってそんなに生き物っていないんですかね?」
「写真映えするようなのはいないですが、小さいのやったらいますね。こういうところは蜂が来ちゃうから、蜜が出るような木があったとしても薬をまいちゃってたりしますから」
「なるほど。あ、池や。阪今池公園やし当たり前か」
「何がおるんやろ」
「水辺はやっぱり気になるんですね(笑)」
「あ、でも水なんかめっちゃ白濁してません?」
「ホンマやなー。あ、ザリガニは見える」
「ちなみに水質に関しては?」
「さすがに水質はわかりませんね(笑)」
「この辺にニホントカゲとかおらんかな?」
「いや、ここはあんまり望みないです」
「どんな条件が揃うといそうなんですか?」
「もっと静かじゃないと。あとこういう道やったらアウトです」
「あ、セミが手でとれる位置にいますけど、もう一回チャレンジします?」
「オレはもう無理や、ガーサン!ガーサン!!」
ガーサン「どういう感じでとったらいいんですか?」
「こうやって逃げられない隙間をつくってこう!」
(こう!)
「もうセミが反応する前にやってまう、みたいな」
(無理でした。ついでにガーサンの顔に木がぶつかってダメージうけてました)
(そのまま池沿いから離れて、公園内を歩く3人)
「公園内やったら他どんなところを見ますか?」
「意外とトイレとかに生き物いるんですよね」
「夜やったらたしかにトイレ見ますね。電気がついてたらトラップ的な感じでカブト・クワガタが飛んでくるかもしれない」
「小さい虫食べにヤモリもきますし」
(公園を出て住宅街へと突入)
「生き物好きとしてはマンションとかってあんまり見どころない?」
「そうですねー」
「家がマンションなんですけど、いつも家に帰る時に、自転車置き場からマンションが一望できるんですね。そこから黒い塊があったらなんかおる!って思って家に帰らずにそれ見に行きます」
「なんの楽しみなんそれ」
「こんなところまでセミが来るとかやるな!とか思いながら」
「そろそろ尊敬できそうやわ。すごいな〜人生に楽しみがいっぱいあるな」
「生きてて楽しい」
「人生面白くないって思ってる人は虫を好きになったら人生変わりそう」
「毎日が楽しい」
「知識ある人と美術館いったら面白いって言いますし、自分が生き物とか虫の知識をもってたら、毎日がそんな感じかもしれないですし」
(そんな話をしながら牧野小を目指すことになりました。三井先生オススメスポットがあるとのことで)
「いまさらですが、最初のランキング2位について伺っていいですか?」
「ミゾレウミウシですね。ウミウシは海洋やったら一番好き。パスケースもウミウシのイラストのやつですし、靴下も持ってますし、キーケースもウミウシです」
(ウミウシのキーケース。たぶん今のJKのマストアイテムとかなんじゃないでしょうか)
「何がそんなにそそられるの?」
「出会った時に、コレが恋か……みたいな感じで。最初は海いって何このナメクジみたいなん、って調べだして。海遊館に行った時に、隣の施設でウミウシの展示をやってたんです。それを見た時に、これはハマるしかない、ハマらなければならないと思って」
「でも確かに図鑑とかでしか見てなかったヤツを、海行ったり川行ったりした時に見つけた時の快感というか、知的好奇心が満たされる瞬間みたいなんありますね。これがアレか!っていう」
「それでミゾレウミウシはここらへんには絶対いないんですよ。南の海の方にいるからまだ会いに行けない、けど絶対に逢いに行きたいです。一回ウミウシの聖地って呼ばれる高知県竜串ってところまで潜りにいったんです」
「そんな聖地があるんや」
「そこに行った時にやっぱりウミウシに会いたいなって。一番好きな色味というか。それで2位ですね」
「なるほど、それでは1位は!?ってところで目的地だった牧野小につきましたね」
(売れてないインディーズバンドのツアー写真みたいになりましたが、牧野小のそばです)
「あれ?ここって淀川の近くですか?用水路が見当たらない」
「もしかしてそれ、西牧野小かも。あの辺りは用水路いっぱいありますし」
「あーごめんなさい、西ですね」
「そしたらここまで来たら、すぐそばに船橋川があるんで、川をハシゴしましょうか(笑)」
(そうして船橋川にやってきた我々。街ブラじゃなくて川ブラであることが確定)
「ちょっと行けるかどうか見てきます(編集部注:危険なので真似はしないで下さい)」
「こういうところって蛇が出たりしないんですか?」
「出てきますよ。でも日本の蛇はビビリなんで、先に踏まなかったら大丈夫。だからガサガサやって先に逃してあげたら」
「すごいサバイバル術」
「(川の様子を見ている先生に向かって)カダヤシですか?」
「あー、でもメダカもおる」
「カダヤシは外来種なんでしたっけ」
その後、葛原さんがスーパーサイエンスハイスクールという制度の対象となっている高校に誘われて、台湾でゲテモノをいっぱい食べてきた話などを聞いていると、先生が戻ってきました。
「そういやランキング1位は?」
「オキナワキノボリトカゲですね。生物部で沖縄に行った時、めっちゃ会いたくて下調べもしていったんです。どういうところにいるとか、沖縄ではトカゲ釣りみたいな遊びで使われてるとか。でもいそうな木が一本もなくてスケジュールの都合上、断念しました」
「色も緑色でキレイやねんな」
「写真もあるんですよ(→画像検索)」
「おお!めっちゃ緑色!」
「もう一回いきたいなー」
(カットしましたが、熱帯魚屋さんの前ではシオダレという現象から海の魚も取り扱っていると推測されていました)
「こういう用水路もみたくなるんですか!?」
「見たくなりますね」
「でも水がちょっと少ないです」
「水が少ないとあんまり熱くないんです」
「わからへん……」
「たまにこんなところにコレおんの!?みたいなことがあるんですよ。変なところで川につながっていたりして。でそういうマニアックなところの方が外来種が逃されてなくて、生態系が残ってたりして」
「なるほど。じゃあそろそろ先生の3位の詳細を」
「ヒキガエルは今、大阪府では絶滅危惧種2類なんですよ。個人的に大阪府のとあるところでヒキガエルのオタマジャクシをとってきたんです。そのオタマジャクシがめっちゃ小さいんです。ヒキガエルって日本で最大のカエルなんですけど、オタマジャクシに関してはオタマジャクシから上陸(変態)した直後のサイズが日本最小なんです」
「へぇ〜!勉強になります」
「そこから何年もかけてドンドン大きくなっていくんですけど、捕まえてきたのも大人になって今2センチくらいまで育ちました。オタマジャクシから大人になる時で0.5センチくらい。餌のためにアブラムシとか捕まえてきたりとか。そんなヒキガエルが日に日に大きくなっていってるんで、それを大きくするのが今の楽しみです」
「正しく生物の先生っぽいですね」
「やっぱり日本の生き物で、捕まえて、育てて、繁殖させて……っていうのが好きなんで、捕まえられるやつが魅力的ですね」
「では2位はどうですか?」
「2位はヘイケボタルですね」
「ゲンジボタルじゃないんですね」
「ゲンジとヘイケはサイズと生息地が違いまして、ゲンジの方がサイズが大きくて光も強いんで人気があるから、ホタルを守ろう!的な団体はゲンジボタルの方が多いです。でも実はヘイケボタルの方が大阪府のレッドリストで準絶滅危惧種に入ってて危ないし、小さくて人気もないんですけど、その渋さが好き」
「枚方にもホタルいますし、意外と身近なところにもいますよね」
「多分穂谷とかの方にもヘイケボタルはいるんじゃないでしょうか。最終目標は学校の池、ビオトープでヘイケボタルを自生させるということですね」
「さすが!では最後となりました、1位はいかがですか?」
「カワバタモロコですね。枚方のとあるところでたまたま捕まえることができまして、カワバタモロコは図鑑でしか見たことのなかったんで」
「そんなにレアなんですか?」
「大阪で一番、くらい。絶滅危惧種にランキングがあるんですけど、1番いてない1類にカワバタモロコが入っています。それをとってきたので、絶対に繁殖させて、増やして戻してやりたいなと」
「そんなレアなやつって捕まえていいんですか?」
「そういう条例はないので大丈夫です」
「天然記念物がアウトです」
「なるほど。大阪で天然記念物って魚類系でいるんですか?」
「魚類系ならイタセンパラが一番有名ですね」
「イタセンネットって保護団体もありますし」
「なるほど……意外と身近にそんなレアなやつがいるって、枚方もまだ全然捨てたもんじゃないですね!なんか嬉しい!」
以上、第3回目となる生き物好きと巡る「枚方マニアックさんぽ」でした!
生き物好きの方はこんな風に枚方を見てたりするって思ってもらえれば幸いです!
ちなみに枚方高校生物飼育部は、先日の枚中校区ふれ愛まつりに続き、枚方高校ちかくの安居公園で8月中旬におこなわれる「第2回 あんご夏祭り」にもエビすくいで出店されるそう!
マニアックな知識の片鱗が伺えるかもしれませんし、興味がある方はぜひ!
なお、この企画では何らかのマニアックな知識をお持ちの方を募集しております。
ノーギャラですが、ひらつーでめっちゃ愛を語りたい方がもしいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。(※何か告知等を記事の最後に載せることは可能です)
もし出演してもいい、という方がいらっしゃいましたら下記フォームまでご応募ください。
例えば「Janne Da Arc好き」とか「岡田准一好き」とか、そういうのでも大丈夫ですし、「野鳥好き」「建築好き」などなど……
応募してくれた方全員というわけにはいきませんが、どんなにしょうもないことでもいいので、何か普通と違う目線で街を見ているという方はなにとぞよろしくお願いします!